上川外相、中国外相と会談「反日的なSNSの投稿」の取り締まり要求

松山紫乃 北京=井上亮
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 国連総会に出席するため米ニューヨークを訪問中の上川陽子外相は現地時間23日午後(日本時間24日未明)、中国の王毅(ワンイー)・共産党政治局員兼外相と会談した。中国・広東省深圳市で日本人学校に登校中の男児が襲われ死亡した事件をめぐり、「根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿は子どもたちの安全に直結し絶対に容認できない」として、早急な取り締まりの徹底を強く求めた。

 上川氏は、事件の動機を含む事実解明と日本側への明確な説明、中国に在留する日本人の安全確保のための具体的措置も要求した。これに対し、王毅氏は「今回起きたことは、我々も目にしたくない偶発的な個別事案であり、法律にのっとり処理していく」との反応があったという。

 また上川氏は、東京電力福島第一原発処理水の海洋放出をめぐる中国の日本産水産物の禁輸措置の緩和について「20日に発表された日中両国間で共有された認識を踏まえ、追加的なモニタリングを早期に実施し、規制撤廃に向けた進展を確実に示していきたい」と訴えた。8月に中国軍のY9情報収集機が長崎県沖で領空侵犯した問題をめぐっては、中国側へ具体的かつ明確な説明を速やかに行うよう改めて求めたという。

 中国外務省の発表によると、深圳の事件について王氏は「日本側は冷静かつ理性的に扱うべきであり、事件を政治化し、拡大させることを避けるべきだ」と求めた。事件の調査は法に基づいて進めるとし、「これまで通り中国にいる全ての外国人の安全を保証する」と強調した。(松山紫乃、北京=井上亮)

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この記事を書いた人
松山紫乃
政治部|外務省担当
専門・関心分野
外交、国内政治、ジェンダー、若者
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    江川紹子
    (ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
    2024年9月24日16時9分 投稿
    【視点】

     日本側が中国側に対して「根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿」について「取り締まりの徹底」を要求した、というニュースに、「はて…」と考え込んでしまった。  他の要求は、いずれももっともだ。とりわけ「事件の動機を含む事実解明と日本側への明確

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