領域5 知覚/認知
注意、見当識、感覚、知覚、認知、コミュニケーションを含む、人間の処理システム
類4 認知 記憶、学習、思考、問題解決、抽象化、判断、洞察、知的能力、計算、言語の使用
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NANDAー00161 知識獲得促進準備状態
領域5 知覚/認知
注意、見当識、感覚、知覚、認知、コミュニケーションを含む、人間の処理システム
類4 認知 記憶、学習、思考、問題解決、抽象化、判断、洞察、知的能力、計算、言語の使用
NANDA-00161 知識獲得促進準備状態
定義:特定のテーマに関する認知情報のパターン、あるいはその獲得パターンが、さらに強化可能な状態
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は「知識獲得促進準備状態」について学んでいきます。
定義を読みますと今回の診断では「特定のテーマ」に対しての知識が不足している状態に対して介入することが求められています。
類似の診断に「知識不足」があります。
両者の違いは、知識を獲得するための意欲が「ある(積極的に知りたがっている)」か「ない(積極的ではなく受け身である)」かの違いといっていいと思います。
促進準備状態で介入する、知りたがっている人は、学習意欲が高く知識も技術も習得が容易です。
ただ認知症があると意欲があってもすぐに忘れてしまうという難点がありますので、「知識獲得促進準備状態」ではない別の診断(「健康自主管理促進準備状態」)で介入し、知識の習得からそれが習慣化されるまでを目標にしていくとよいのではないかと思います。
そうした場合には本人様の努力だけでなく、周りの家族の協力も必要になります。
自己管理に関して類似の診断を挙げましたので参考にしてみてください。
・知識を得れば自分で対策できる人:「知識獲得促進準備状態」「知識不足」
・知識を得て具体的な方法を習得しようとしている人。疾患を自己管理してよい状態を維持するかあるいは増悪を防ぐことを目的とする場合:「健康自主管理促進準備状態」
・自己管理が必要な状態だが、あまり前向きでない・向き合う能力に欠ける人。まず正しい知識技術を習得してもらい、行動変容を促し、最終的には増悪を防ぐための自己管理ができるところまでを目標とする人:「非効果的健康自主管理」
お急ぎの方は下のジャンプをご利用下さい。
知識不足
健康自主管理促進準備状態
病気に罹患しており、退院後も治療のための自己管理が必要な状態である。自己管理のための生活習慣の改善、知識獲得、手技獲得、社会保障の手続きに対して積極的な状態の方を対象とする。
非効果的健康自主管理
まず、既に病気に罹患しており、退院後も治療のための自己管理が必要な状態であることが前提である。
その上で、以下の点で健康を自主管理するために必要な能力や情報が不足している。
①そもそも病気を受け入れられていない。病気という認識が低い
②理解力が低下している、理解できる年齢でない
③治療計画を正確に理解していない。自身にも改善が必要と理解していない。自分自身で何をどこまでやればいいかわからない。治療計画が複雑で実践できない。
④あきらめ、抑うつなど疾患と向き合える状態でない
⑤やる気があっても実行力に限界がありできない。サポートしてくれる人がいない。
⑥医療制度の手続きが難しくて分からない。面倒で手続きをしていない。
⑦エビデンスの曖昧な情報を信じている。民間療法、宗教など
→自主的な健康管理が必要な状態であるが、①~⑦などの理由で、関心がない・できない・わからない・やり方が違っている方が対象となる。
1.看護診断「知識獲得促進準備状態」の対象
ほとんど知識不足と対象者は同じにしています。
大前提に「知識の獲得に対しての意欲がある」ということがあります。
1)知識獲得に対しての意欲がある
2)1)が必ずあり、知識を獲得できなかった要因がある
・特定の知識に対しての学習の機会がなかった
・特定の知識に対しての関心がなかった
・認知機能低下で知識を忘れてしまった
・長谷川式:20点以下、MMSE:22点以下
・認知機能低下をきたす疾患:
・認知症
・アルツハイマー型、レビー小体型、血管性
・脳血管疾患
・パーキンソン病
・正常圧水頭症
・甲状腺機能低下症
・ビタミン欠乏症(Vit-B12欠乏※1)
・忘れる、思い出せない
・知能低下・未発達で意欲はあるけど理解ができない
・低学歴
・発達障害
・説明が理解できない
・精神疾患で意欲はあるけど、気分にむらがあり行動できない
・双極性障害
・情報を習得できない環境
・外国からの移民、その子供
・外国からの技能実習生 の子供(学校に行っていないことがある)
・外国の方(日本語がわからない、外国語で通訳してくれる人がいない)
・貧困(学校にいけない)
・ヤングケアラー(家族の介護や世話をしてるため自分のための時間が取れない若者)
・僻地(情報収集する機関や教えてくれる人が身近にいない)
・洗脳されている
・誤った知識を植え付けられている
※1 ビタミンB12欠乏
下の内容はAI(COPILOT)が日本認知症学会や厚生労働省のデータから作成した回答を掲載しています。
ビタミンB12の欠乏が認知機能に影響を与える理由は、ビタミンB12が神経系の健康にとって非常に重要な役割を果たしているからです。具体的には、以下のような理由があります:
神経細胞の維持
ビタミンB12は、神経細胞の維持と修復に必要な物質であるミエリンの生成に関与しています。ミエリンは神経細胞を覆う絶縁体のような役割を果たし、神経信号の伝達をスムーズに行うために必要です。
DNA合成と修復
ビタミンB12は、DNAの合成と修復にも関与しています。これにより、細胞の健康と再生が促進され、特に脳の健康に寄与します。
ホモシステインの代謝
ビタミンB12は、ホモシステインというアミノ酸の代謝にも関与しています。ホモシステインの高レベルは、脳血管障害や認知機能の低下と関連しているため、ビタミンB12の不足はこれらのリスクを高める可能性があります。
神経伝達物質の生成
ビタミンB12は、神経伝達物質の生成にも関与しており、これにより脳の機能が正常に保たれます。神経伝達物質は、神経細胞間のコミュニケーションを助ける化学物質です。
ビタミンB12の欠乏は、貧血や神経障害を引き起こすだけでなく、認知機能の低下や記憶障害、さらには認知症のリスクを高めることがあります。適切なビタミンB12の摂取は、これらのリスクを軽減するために重要です。
2.目標
目標は患者さんを主語に立てます。
・健康管理に必要な知識を獲得できる。
3.看護計画
1)観察計画(OP)
・基本的データ:年齢、国籍、家族構成、キーパーソン
・疾患
・治療計画の内容
・認知機能
・疾患に対する関心、自己管理の意欲
・自己管理能力、これまでの管理方法
・日本語理解の有無
・説明の理解度
2)行動計画(TP)
(1)認知症に対して
・環境を整備する。
・表示を見てその場で行動できるようにする。
・「トイレはこちら」
・「食前の薬」
・先にまとめて説明せず、適時に介入する。
・幻覚、妄想など周辺症状が出ているときには無理に刺激せず、傾聴して本人の不安の原因を聞きだす。
(2)双極性障害、自己効力感の低い方に対して
・まず人間関係が構築できるようにかかわる。
・気分転換活動を取り入れる。
・気分の波に合わせて、調子のよいときに声掛けをして、成功体験が得られるようにする。
・傾聴する。
・詰問口調にならないように気を付ける。
(3)外国からの移民や技能実習などで日本に滞在する人に対して
・相手が理解できるように工夫する。
ボディランゲージ、図を用いたパンフレットなどを用意し、すべてのスタッフが同じように説明できるようにする。
・説明した内容、相手の理解度をカルテに残し、何をどこまで説明し、相手がどのくらい理解しているかを関係職種間で共有する。
・文化の違いに戸惑いがある場合、傾聴しどんなことを困難に思っているか把握する。必要時ソーシャルワーカーにつなぐ。
3)教育計画(EP)
(1)認知症に対して
・治療計画、内容について、聞かれた場合には、医師やその他の関係職種からの説明を踏襲し、同じ説明を行う。
・服薬の継続の必要性や具体的方法について簡潔にわかりやすく説明する。
・ご本人だけでなく、ご家族(介助者)に対しても同じ説明をする。
・言うだけでなく、本人が行動する際にわかりやすい表示(大きく表示する、蛍光色で目立つようにする)などの工夫が有効であることを説明する。
(2)うつ病、自己効力感の低い方に対して
・ご本人の習得された内容についてあらためて振り返り、成功体験から自己効力感につながるようにする。
(3)外国からの移民や技能実習などで日本に滞在する人に対して
・通訳を通じて治療計画、自己管理の方法などを本人に伝わる形で伝達する。
・翻訳アプリなどを介して、治療計画、自己管理の方法などを本人に伝わる形で伝達する。
・図を用いたパンフレットなどを用意し、すべてのスタッフが同じように説明できるようにする。
(4)その他、全員共通
・治療計画や自己管理について聞かれたら覚えられるまで説明する。
・間違った知識を無理に否定せず、正しい知識に対する科学的根拠と効果について説明する。
(そのお考えも間違いではないかもしれません。
私どもが行う治療法は、このような根拠でこのような効果が得られることが期待できます。
実際に治療としても確立し、効果を得ている人がたくさんいます)など。
・ソーシャルワーカー、役所など必要な情報が得られる機関について説明する。
・社会保障、金銭のこと
・教育
・就職
・コミュニティ
・宗教
以下の看護診断も参考になさってください。
知識不足
健康自主管理促進準備状態
病気に罹患しており、退院後も治療のための自己管理が必要な状態である。自己管理のための生活習慣の改善、知識獲得、手技獲得、社会保障の手続きに対して積極的な状態の方を対象とする。
非効果的健康自主管理
既に病気に罹患しており、退院後も治療のための自己管理が必要な状態であることが前提である。
その上で、以下の点で健康を自主管理するために必要な能力や情報が不足している。
①そもそも病気を受け入れられていない。病気という認識が低い
②理解力が低下している、理解できる年齢でない
③治療計画を正確に理解していない。自身にも改善が必要と理解していない。自分自身で何をどこまでやればいいかわからない。治療計画が複雑で実践できない。
④あきらめ、抑うつなど疾患と向き合える状態でない
⑤やる気があっても実行力に限界がありできない。サポートしてくれる人がいない。
⑥医療制度の手続きが難しくて分からない。面倒で手続きをしていない。
⑦エビデンスの曖昧な情報を信じている。民間療法、宗教など
→自主的な健康管理が必要な状態であるが、①~⑦などの理由で、関心がない・できない・わからない・やり方が違っている方が対象となる。
参照文献
T.ヘザー・ハードマン 上鶴重美. (2016). NANDA-I 看護診断 定義と分類 2015-2017. 医学書院.
T.ヘザー・ハードマン、上鶴重美、カミラ・タカオ・ロペス. (2021年7月1日). NANDA-I看護診断ー定義と分類 2021-2023 原書第12版. 株式会社 医学書院.
リンダJ.カルペニート. (2014.1.1). 看護診断ハンドブック. 株式会社 医学書院.
岡庭豊. (2012). 看護師・看護学生のためのレビューブック. 株式会社 メディックメデイア.
岡庭豊. (2019.3). イヤーノート2020. 株式会社メディックメディア.
黒田裕子(訳). (2015). 看護成果分類(NOC)原著第5版 成果測定のための指標・測定尺度. エルゼビア・ジャパン株式会社.
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