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ラストマンシップ:会社の命運を分けるもの

取引先や自分の会社の将来性を推測する方法はいくつかあります。
例えば、現場が「この件は自分に全責任がある」という覚悟で最後までやり抜ける会社は強いです。
この「自分のところでこの問題を解決する」という気概のようなものを「ラストマンシップ」と私は呼んでいます。
経営者であれば誰しも持っているはずですが、役員、部長、課長、メンバー・・・と降りて行くに従って通常は薄れて行きます。だからこそ、現場がラストマンシップを持っている会社は貴重です。

その逆は、責任のたらい回しです。大企業病のひとつかもしれません。
何かトラブルが発生した時に「これは他部署の責任だから」と暗に自分に関係がないような態度が横行している会社は危ないです。
意思決定ひとつにしても「これは他部署の確認が必要」と言うところまではよいのですが、ダメな会社は平然とそのまま放置します。では強い会社の現場担当者がどうするのかと言うと、他部署の内部事情にまで踏み込んでフォローします。

例えば、製造部のミスで顧客への納品が遅れたとします。
営業部の立場からすると「製造部が悪い!ちゃんとやれ!」というのは全くその通りなのですが、そうやって一時的に溜飲を下げたところで問題は何も解決しない場合がほとんどです。
営業部にとって重要なことは「お客さんに迷惑をかけてしまった」ということであり、どうすればリカバリーできるのか、どうすれば再発防止できるかを考えて実行する方が建設的です。
一過性の特殊要因が原因ならともかく、構造的な原因で問題が発生している場合は早めに根治療法を実行しないと、また同じ問題が発生します。そういう場合はほぼ例学なくもう自分たちだけでは解決できない状態に陥っているため、「解決してください」と外野から言うだけでは何も変わりません。

ラストマンシップは、プロフェッショナリズムとも似ています。
私自身も以前コンサルティング会社で修行していた時、慢性的な長時間勤務が祟って体調を崩してしまい、自分の担当作業が遅れてしまったことがありました。
私(若手)の立場からすると「これだけ毎日遅くまで働いて、休日も出た結果で体調を崩してしまったのだから、少しぐらい大目に見てくださいよ」という心情だったのですが、当時パートナー(プロジェクトの責任者)に言われたのは「でもそれはこっちの事情であって、クライアントには何の関係もないことだ」でした。
内部のあれこれ(今なら「若手を働かせすぎ」と問題になりそうです)は、クライアントにとっては「どうでもいいこと」です。我々に求められているのは、クライアントに約束した成果をきっちり出すことだからです。

コンサルティング会社の強みは、このように「プロフェッショナリズム」という形で末端のメンバーにまでラストマンシップが浸透していることだと思います。(最近は薄れつつあるような気もしますが。)

「役割分担して効率化」と言うと聞こえはよいのですが、これが行き過ぎてしまうとラストマンシップが失われてしまいます。
末期症状の会社では、他部署の領域に踏み込んで問題解決を試みた人が
「越権行為だ」とか「配慮を欠いている」と糾弾の対象にすらなります。
そういう会社は、ベクトルが完全に外部(市場や顧客)よりも内部(社内)に向いてしまっています。
その結果、「部署を超えて問題解決をしよう」というラストマンシップを持つ人材は絶滅します。潰されて何も言わなく(言えなくなる)なるか、見切りを付けてさっさと転職してしまうからです。

不祥事の記者会見で社長が「現場が勝手にやったことだ」と言い放つ会社は、ラストマンシップがゼロです。
かつて経営破綻した山一証券の社長が「社員は悪くありませんから」と涙で訴えた記者会見が、今になって賞賛されるのもわかる気がします。

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福岡県出身⇒外資系戦略コンサル2社⇒ITベンチャー起業⇒コンサル会社代表。 仕事のヒントやスキルアップ系+最近は教育関連も発信しています。 大学やUdemyで講座も持っています。
ラストマンシップ:会社の命運を分けるもの|深田ともふみ
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