自民総裁選 人口減少への対応などめぐり論戦【日曜討論】

自民党総裁選挙の候補者はNHKの「日曜討論」に出演し、
▽急速に進む人口減少への対応、
▽東京一極集中を是正する方策、
▽中国で日本人学校に通う男子児童が男に襲われ死亡した事件への対応、
▽東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出をめぐり日中両国が日本産水産物の輸入再開で合意したことなどについて論戦を交わしました

候補者9人のうち林官房長官は石川県能登地方の大雨対応にあたっているため、番組には陣営の選挙対策本部長を務める田村元厚生労働大臣が代理で出演しました。

この中で
▽高市経済安全保障担当大臣は「企業の本社機能は東京の方がよければ置いておけばよいが、研究開発拠点や中核的な製造拠点をインセンティブをもって地方に移してもらうことや、地方の魅力ある研究大学を応援する政策をしっかり拡充したい」と述べました。

また、「中国ではSNSで日本人学校への悪意と誤解に満ちた動画がはんらんしており削除を求め続けなければならない。日本人の安全確保策や再発防止策を中国に示してもらわないかぎり日本政府は納得しない」と述べました。

▽小林鷹之氏は「地方で雇用の機会をつくり所得の水準を底上げしていくことが重要だ。新たな産業のかたまりを地方につくり、農林水産業や中小企業、保育、介護、看護などの所得を上げる。地方でも質の高い教育環境をつくり、地方の活力を引き出したい」と述べました。

また、「中国を含め他国の動向に右往左往しないためには特に経済安全保障の戦略をつくるべきだ。前提になるのはインテリジェンス能力の強化で 相手に対する日本の強みを理解し、それを増やす努力を続けることで日本の外交力が高まる」と述べました。

▽林官房長官の代理の田村氏は「企業の本社機能などを、どうやって地方に分散するかは非常に大きな課題だ。跡継ぎがいない地方の企業に対し経営能力を持った人を養成して支援するような仕組みをつくり、魅力ある地方をつくっていく」と述べました。

また、「中国で反日的な思想が一部に広がっており、しっかりと統制してもらわなければまた問題が起きる。その結果、中国に対する日本の投資がなくなる。みずからの国の問題として考えてもらわないといけない」と述べました。

▽小泉進次郎氏は「首都機能の分散について官民で真剣に議論する場を立ち上げたい。首都圏で起きると予想される直下型の地震を座して待つわけにはいかない。また、海外からの投資を地方に呼び込むための総点検を行いたい」と述べました。

また、「6月にも日本人の親子が襲われたが明確な説明もない。中国がさまざまな投資を呼び込みたいのであれば、事件を放置することが国際社会での評判や信頼にとって全くプラスにならないことをしっかり伝えるべきだ」と述べました。

▽上川外務大臣は「今はまさに地方分権を進め新しい国家像を作っていく極めて重要な時期だ。ネットワーク大国を目指しているが、海外からダイレクトに人が来てもらえるような地方空港の国際化を徹底して進めたい」と述べました。

また、「中国に対して科学的知見に基づき、IAEAの枠組みのもとで行うことを前提に理解と協力を求める交渉をしてきた。日本は輸入規制の完全撤廃という立場なので、その方向に向かってさらなる交渉をしていきたい」と述べました。

▽加藤元官房長官は「東京から地方に戻ってもらうだけでなく、東京にいながら地方に関与する、地方にいながら東京と仕事をすることがデジタルでできるようになっている。関係人口を増加させることで地域が再生していく」と述べました。

また、「児童が死亡した事件については政府として真剣に考えメッセージを出していくことが大事だ。中国は尖閣諸島などわが国の領海でいろいろな動きをしてくるが防衛力を整備し日米を主軸に同志国と連携をしていく」と述べました。

▽河野デジタル大臣は「東京とは違った地方の魅力を増していかなければいけない。18歳人口の地方からの流出があり、首都圏の高等教育機関のあり方を考える必要がある。国立の大学を徐々に東京、首都圏から地方に出していくことをやるべきだ」と述べました。

また、「欧米をはじめ自由、民主主義という共通の価値観を持っている国と一緒になり、中国の人権問題や過剰生産の問題、それに対中投資について、しっかりとした戦略を持ち、メッセージを出していくことが大事だ」と述べました。

▽石破元幹事長は「国の政策を根本的に変え若い人が来てくれる地方を考えなければならない。地方に魅力的な仕事がなければだめで、どうしたら農業、漁業、林業、サービス業の生産性を上げ、収入が増えるかは考える余地があり、そこに集中するべきだ」と述べました。

また、「中国は世論をいかようにでもコントロールできる国で、柳条湖事件が起きた日に、国営メディアは反日の番組をばんばんやっていた。認めがたい、許しがたいと言わなければならない。中国の姿勢を正さなければ変わらない」と述べました。

▽茂木幹事長は「地方の活力アップは私の政治の原点だ。地方に『ミニ東京』を作るのではなく『ここにしかない』という産業や大学、研究機関を作っていく。単純に地方活性化や地方分散ではなく特色を持った地域をつくることが一番大切だ」と述べました。

また、「何の罪もない子どもが刃物で刺されて亡くなったが中国は事件について説明していない。人道問題を隠ぺいする国でいいのか。そういう国には投資もされず皆が引き揚げるという国際的なプレッシャーを与えることが極めて重要だ」と述べました。

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