時代劇の都、京都・太秦を舞台に描く、ヒロイン美月の映画人生。
昭和40年夏、6年生になった美月(大橋梓)は新聞部で学校から帰るのも遅くなることが多くなり、帰りに撮影所に寄ってもバレなかった。滝乃(大竹しのぶ)と愛子(賀来千香子)は相変わらず言うことは正反対で、滝乃は「いい家にお嫁に行け」と言いながら茶道の稽古をし、愛子は「世間を知っておいてほしい」と八百屋で野菜の選び方を教える。君江(藤山直美)は杉本(堺雅人)への思いが募って、滝乃に「暇をください」と…。
編集者の吉村(中川浩三)に熱を上げる住み込み従業員の泰子(内田直)に、高望みするな、と釘を刺す滝乃(大竹しのぶ)。美月(大橋梓)は「高望み」を辞書で調べる。泰子は愛子(賀来千香子)に、滝乃の言うことはおかしいと訴え、愛子は「恋愛は、その人が責任を取れれば自由」と答えるが、滝乃は愛子に、泰子に無責任なことは言うな、と注意する。春夫(段田安則)は美月に、写真はアングルが大事と言い、映画の招待券を渡す。
昭和39年の東京オリンピックに合わせて、椿屋はカラーテレビを入れる。開会式のテレビ画面の写真を撮る美月(大橋梓)。途中春夫(段田安則)が来て、「オリンピックの何が素晴らしいのか」と言って水を差すが、美月たちは気にしない。一方、モモケン(林与一)・クリキン(舟木一夫)両御大の大河ドラマの出演依頼を大京映画の黒田(國村隼)は断るが、モモケンとクリキンは「なぜ相談しない」と腹を立て、フリー宣言をする。
美月(大橋梓)の11歳の誕生日。プレゼントを渡し終えて、お母ちゃまとして滝乃(大竹しのぶ)がケーキを持って現れる。「愛子(賀来千香子)がお母ちゃんじゃないの?」と子供たちは一瞬混乱するが、滝乃が「私は、若いおばあちゃんだから、お母ちゃまと呼ばせてる」と説明し、愛子も美月も安心する。美月は春夫(段田安則)が来ないことを祈っていたが、春夫は8ミリカメラで撮影しながら現れ、春夫のカメラをプレゼントする。
美月(大橋梓)が部屋で宿題の絵を描いていると、春夫(段田安則)が部屋に来て、自分の人生は自分で決めればいい、と諭す。美月は愛子(賀来千香子)、春夫、滝乃(大竹しのぶ)がそれぞれ違うことを言うので混乱し、倒れてしまう。滝乃は、愛子と春夫を部屋に呼び出し、三人がそれぞれ違う意見を言うのはやめた方がいいと提案し、「私の考えが違うと思ったら私に直接言え」と、二人に頭を下げて頼む。その晩愛子は家に帰らず…。
大京映画の黒田(國村隼)が椿屋で、大事な接待だからと滝乃(大竹しのぶ)に、美月(大橋梓)に顔を出してもらうよう頼む。滝乃も愛子(賀来千香子)も驚くが、クリキン(舟木一夫)が美月を気に入ってるから、というのが理由だった。黒田の狙いは、クリキンとモモケン(林与一)にテレビに出てもらうことだったが、二人とも断る。「私の夢」という絵を描く宿題で、撮影所の絵を描いた美月に滝乃は、絵を描き直すよう説得する。
滝乃(大竹しのぶ)は、美月(大橋梓)が使用人の君江(藤山直美)と仲良くすることに腹を立てていた。君江と美月が映画に出たのが気に入らないのだ。滝乃は美月に、映画の世界に近づかず、お嬢様として生きることを約束させる。たまたまその映画を見ていた春夫(段田安則)が愛子(賀来千香子)に、美月が映画に出ていたと話すと、愛子は滝乃に話を聞きに行く。愛子は美月に、撮影所に行きたかったら内緒にせずに私に言えと…。
部屋に閉じこもったまま寝ていた美月(大橋梓)は、悪夢を見て隣室の滝乃(大竹しのぶ)に抱きつく。滝乃は、君江(藤山直美)と楽しそうに笑う美月を思い出し複雑な気持ちだが、抱きしめる。美月のことが心配で眠れなかった愛子(賀来千香子)が心配して様子を見に行くが、眠りながら滝乃に抱きつく美月を見て、ショックを受ける。翌日、お茶の稽古に君江と出かけた美月は、撮影所の前で君江を振り切って、撮影所に駆け込んで…。
美月(大橋梓)は、小学校の保護者参観日のお知らせを春夫(段田安則)に隠していたが、部屋を掃除に入った君江(藤山直美)が隠していた紙を見つけ、春夫にばらしてしまう。小学校にかけつけた春夫が教室に入ってきたとたん、それまでの快活さとは打って変わって元気がなくなる美月。春夫が気にせず教室で場を盛り上げるので、落ち込んだ美月は部屋に帰って閉じこもり、愛子(賀来千香子)と滝乃(大竹しのぶ)は困惑する。
昭和39年になると、大河ドラマ「赤穂浪士」も始まり、映画の観客動員数は、33年のピークからわずか5年で半減していた。美月(大橋梓)は小学5年になり、滝乃(大竹しのぶ)の自家用車で送迎されて、弟の梓(小谷力)は、愛子(賀来千香子)の教育方針で、近所の公立学校へ通っていた。愛子は、美月と少しでも一緒にいるために、椿屋の手伝いをしている。役員たちに喝を入れ、大京映画の起死回生を図る黒田(國村隼)は…。