時代劇の都、京都・太秦を舞台に描く、ヒロイン美月の映画人生。
MUSASHIの最終カットを撮り終えた、美月(岡本綾)。錠島(長嶋一茂)も笑顔で、美月に思いを伝える。クランクアップの報告に訪れた社長室で、杉本(堺雅人)は美月にこれからの映像業界について、そしてこれからの二人について熱く語る。数日後、スタッフルームでラッシュを見る美月の所に来た錠島に、思いを伝える美月。部屋の外で杉本も聞く。2001年3月、美月に関わった人たちが見つめる中、特別試写会が始まる。
武蔵(錠島:長嶋一茂)が少年を斬る一条寺下がり松のシーンの撮影が近づくと、美月(岡本綾)は悩んで眠れなくなっていた。一階の愛子(賀来千香子)の横に寝に来た春海(大橋梓)を二階に送り返し、そんな春海の後姿を見ても子供を斬った武蔵を思う。幸太郎(佐々木蔵之介)に悩んでいることを見透かされた美月は、幸太郎のひと言で吹っ切れて、錠島と気持ちが通じ合うことができた。そしてラストシーンの撮影に臨み…。
美月(岡本綾)は、武蔵(錠島:長嶋一茂)の弱さを描きたいが、錠島の武蔵は自信がありすぎる、とNGを連発する。美月は錠島に、錠島の武蔵は強過ぎる、自分は人間的に弱い武蔵を描きたい、と説明する。錠島を説得した後、美月は武蔵の弱さを表現するため、追加シーンを書くが、プロデューサーの杉本(堺雅人)は、予算の問題で反対する。困った美月に、カメラマンの宮永(白川明彦)が予算をかけずに撮れるアイディアを出し…。
杉本(堺雅人)は、あくまで参考だ、と18年前の台本を美月(岡本綾)に渡す。美月は、なぜ武蔵が少年を斬ったのかの答えが見つからないまま、笹守の一室になった雪の一番に籠って脚本を書く。同時に錠島(長嶋一茂)は、虎之助(菊池隆則)を相手に殺陣の稽古。早乙女清(佐々木蔵之介)は、晋八(仁科貴)に基礎からたたき込まれている。杉本に何度も書き直しを命じられ、ようやく「MUSASHI」の脚本が出来上がり…。
悩む美月(岡本綾)を幸太郎の息子・清(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。清は美月に、幸太郎が昔作った、という小次郎の物干し竿の刀を見せる。無邪気な清の勢いに圧倒されるが、自分の時代劇への思いに改めて気づかされる美月。晶子(永田めぐみ)の病院を訪ねて、家のことを話した美月は、春海(大橋梓)を連れて、幸太郎(佐々木蔵之介:二役)に会いに行く。幸太郎の小次郎に対する思いを聞いた美月は、杉本(堺雅人)に…。
錠島(長嶋一茂)に、杉本にクビを言い渡されたと話す美月(岡本綾)。錠島は美月に、役者の女房は嫌か?と聞く。驚く美月。家に帰ると、愛子(賀来千香子)と一緒に寝ている春海(大橋梓)。美月は愛子に、春海は二階で寝かせたほうがいい、と言うが、春海が下りてきてしまうらしい。愛子は、滝乃の気持ちがわかるような気がする、と美月に話す。愛子に励まされる美月だが、翌日カツドウ屋で酒を飲んで、晋八(仁科貴)に絡み…。
武蔵のプロット作りに行き詰る美月(岡本綾)。女の監督に武蔵は無理、と言われてそれを覆そうと思ってきたけど、当たってたかもしれない、と晋八(仁科貴)に弱音を吐く。美月は晋八を、武蔵ゆかりの場所に一緒に行こうと誘うが、美月が錠島(長嶋一茂)も連れてきていて、ショックを受ける。晋八は錠島に木刀を渡し、夢死郎の時の痛みのある殺陣を思い出させる。考えるほど武蔵に共感できなくなった美月は杉本(堺雅人)に…。
武蔵のオーディションは錠島(長嶋一茂)、虎之助(菊池隆則)はじめ大京映画の大部屋俳優たちに、幸太郎(佐々木蔵之介)の息子・早乙女清も受けていた。最終カメラテストで美月(岡本綾)と晋八(仁科貴)が考えたのは、スピーチの最中に不意打ちで襲いかかられた時の身のこなしや集中力を見るもの。ここで錠島は自分から仕掛け、圧倒的な身のこなしで、見ていた黒田(國村隼)、関川(石井正則)、杉本(堺雅人)も即決する。
晶子(永田めぐみ)が梓(茂山逸平)に、引っ越そうと提案する。自分の手が回らない時は愛子(賀来千香子)の手を借りたいが、自分が早く帰った時は春海(大橋梓)を離してほしいというやや自分勝手な物言いに、強く言い返せない梓。梓は美月(岡本綾)に相談するが、美月は春海をもっと信じてみてもいいんじゃない?と梓をなだめる。大京映画では、錠島(長嶋一茂)と虎之助(菊池隆則)に、武蔵をやると杉本(堺雅人)が…。
佐々木家では、美月(岡本綾)の姪の春海(大橋梓)が愛子(賀来千香子)の部屋から戻らず、家に遅く帰ってきた晶子(永田めぐみ)が梓(茂山逸平)に、なぜ連れて戻らなかったのかと責める。美月は春海のことを、昔の自分と重ねて見ている。杉本(堺雅人)は幸太郎(佐々木蔵之介)に社長就任のあいさつをし、映画出演を頼む。黒田(國村隼)と関川(石井正則)にも、美月を監督にして、宮本武蔵を撮りたいと宣言し、美月に…。