18日に鎌ケ谷に足を運ぶことができたので、その試合から、日本ハムの大型野手・阪口楽(うた)内野手(21=岐阜第一)のバッティングについてリポートする。187センチ、96キロの左バッターは、いかにも長打を打ちそうな雰囲気に包まれていた。
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2回裏、ヤクルト先発は阪口皓亮投手(25)、打者は阪口楽。漢字も同じ「阪口」対決か、などと思って見ていると、打者阪口が素晴らしい本塁打を放った。
初球134キロフォークがボール。カウント1-0からの2球目、142キロのカットボールを豪快に右翼に運んだ。今季ファームでの11本目は、右翼ネットの上部に当たる、迫力ある一発だった。
阪口はプロ入りから気にしていたバッターだった。身長があるだけに、ここからどれだけ練習してたくましく、鋭いスイングができるようになるのか、試合で見るたびに意識してチェックしてきた。
第2打席はスライダーをファウル、カットボールをファウル、カーブをファウルで追い込まれながら、4球目の外の真っすぐを左翼へ、あと少しで本塁打という惜しい左飛。第3打席は外の真っすぐを2球続けられ追い込まれ、低めのフォークに空振り三振。第4打席も空振り三振という内容だった。
内角に対して積極的に振っていく姿勢がとてもいい。特に内角寄りのストライクゾーンは、真っすぐ、変化球にかかわらずいつでも狙おう、準備はできているという打席の雰囲気がしっかり伝わってきた。
内角球への自信なのか、内角をしっかり仕留めることをテーマにしているのか、そういう気持ちが強いからか、打席で構えた時の雰囲気がある。感覚の問題だが、こういう雰囲気は相手バッテリーには威圧感として伝わることもある。
まだまだ克服すべきポイントはあるが、ぱっと見た印象では、ソフトバンクの柳田や元阪神、オリックス、日本ハムの糸井が連想された。スイングが大きく、長打が期待できる。サイズもあり、スケールがでかい。
第3打席の攻め方を参考にするなら、外角で追い込み、低めのフォークで空振りを奪う、そういう攻め方をされそうだ。そうさせないためには、もう少し外角球への意識を強めたほうがいいだろう。
追い込まれるまでは内角球に比重を置き、追い込まれた後は外角球ならば左方向へ打ち返すバッティングを覚えれば、打撃の幅はかなり広がる。
プロでは追い込まれてから粘り強く打てるかで成績が大きく変わる。シンプルに言葉で表現するなら、よりコンパクトなスイングを意識し、外角球ならば逆方向を頭に入れたスイング、ということだ。
いろんな投手と対戦して、追い込まれてからのバッティングを試行錯誤し、多くの球種への対応を少しずつ覚えていくことだろう。外角球への対応をマスターすれば、結局はそのことによって相手バッテリーが内角を攻めるしかなくなり、従って阪口の打てる確率が高くなる。
今は打率も低く、長打はあるが打てなければ三振という大味なイメージもある。甘い球を仕留めることが、阪口の長所を伸ばすことにつながる。あまり打率を気にせず、得意な内角球のミート力をさらに磨き、外角球への対応をテーマに、どんどんチャレンジしてほしい。
ルーキーイヤーよりも2年目、2年目よりも3年目の今年の方が、上半身は大きくなったように見える。体の大きさに比例するようにスイングも鋭く、力強くなっている。まず、内角を仕留める確率を上げ、追い込まれてからのバッティングをどんどん試すこと。非常に、これから先が楽しみな大型野手だ。(日刊スポーツ評論家)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「田村藤夫のファームリポート」)