コンビニでスペースを占有するサラダチキン関連商品
セブン-イレブンでは“サラダチキン専用”のサムゲタンがヒット
『味の素 サラダチキンで作る 参鶏湯』は火も包丁も使わない手軽さも人気のひとつだ
そもそもサラダチキンを売り始めた動機は「チキンをサラダに混ぜたりして、野菜と一緒に食べてほしいという思いだったんです」と、商品開発担当者に聞いたことがある。
しかし、フタを開けてびっくり。「丸ごとかぶりつく」人が続出したのだ。そこで「もっとおいしく、飽きずに食べられるようにしよう」と、フレーバーの種類を増やしたり、開けやすいパッケージにしたりと進化してきた。つまり売り手の予想を覆し、消費者自らが進んで自由に食べ出したところに、サラダチキンのヒットの芽があったわけだ。なんてフリーダムな商品だろう。
その自由さを十分に発揮させ、セブンは17年秋に「味の素 サラダチキンで作る 参鶏湯」(213円・税込み)を発売。「スープに入れるだけ」という簡単&斬新な食べ方を世に提案したのは周知のとおりだ。ここまでヒットしたのは、多くの消費者が、身近になったサラダチキンのアレンジメニューを待っていたことの証しだろう。
「スープの素は当初からお問い合わせが多く、今ではサラダチキンの横に並んでいます。最近は、ほぐしたチキンやダイス状にカットしたサラダチキンも好調で、そのまま召し上がるだけではなく、料理に使う方も増えているようです」(関口さん)
セブンでは「プレーン・ハーブ・カレー・スモーク」が“人気フレーバー四天王”だというが、最近は「冷し麺」などのトッピングとして「ほぐしチキンサラダ」(198円・同)を買う客も出てきた。実は筆者もよくやるが、セブンのサラダチキンは風味が繊細なので、どんな料理にも合わせやすい。
現に、自宅で作るカレーやシチューに、ダイスカットしたサラダチキンを「お肉がわりに投入!」というアイデア主婦もいるのだとか。多忙な人にとって、毎日の献立は悩みのタネであるため、ヘルシーで保存の利くサラダチキンは精肉より扱いやすく便利だ。
ローソンはサラダにチキンを入れたものを「商品化」
サラダをメイン食事にする人も増えており、ボリューミーなサラダの需要は高い
ローソンがPB(プライベート・ブランド)の「サラダチキン プレーン」を売り出したのは2014年。現在は7種類あるという。
「ハーブ・スモーク・プレーン」が売れ筋だが、片手で食べられるスティックタイプの「バジル」や、国産チキンを使用した「レモン」といった女性にウケそうなヘルシー感あるフレーバーを出しているあたり、「マチの健康ステーション」を標榜しているローソンらしい。
また、あまり気づかれないようだが、サラダチキンが“商品化”されているのもトレンドだ。
例えば「蒸し鶏のサラダ」(450円・同)は、キャベツ、かぼちゃ、レタス、ミニトマトなどの野菜やキヌアの上に、サラダチキンがドーンとのったボリューミーな一品。糖質制限ブームで「白米なし」の食事をする人が増えた今、多品目入って腹持ちのいい「お食事サラダ」のポテンシャルは高い。
ファミリーマートは“おつまみニーズ”を狙う
このほかマイルドなカレー味も用意するなど、幅広い層に届ける工夫が見られる
これは、コンビニでは目新しい全粒粉入りパンにサラダチキンを入れたヘルシーさが、女性に刺さっているようだ。
「さらに冷し麺などと一緒に買われる方が多いことから、『もう少し食べたいけど、低カロリーのサラダチキンのサンドイッチならいいかな』という“ギルトフリー市場”を掘り起こした手応えもあります」(篠崎さん)
現在、ファミマのサラダチキンシリーズは、全6種類。特徴的なのは、売れ筋上位に「スパイシーBBQ風味 国産鶏サラダチキン」(239円・同)のような濃い味のフレーバーが入っていること。食べてみた感じ、ファミマのサラダチキンの味つけは、全体的にしっかりとしている。そのまま食べる“おつまみニーズ”にも合致しているのだ。
と、改めてサラダチキンを調べてみると、商品自体の進化はもちろん、3社3様の個性がとがっていておもしろい。「プレーン」だと、なかなか商品の差がつかめないので、各社でヒット中の「スモーク」フレーバーあたりを食べ比べてみると、味つけの傾向の違いがよくわかりオススメ。GWを機にじっくり味わってみると「サラダチキン、ここまで来たか!」と驚くこと間違いなしだ。
(文/コンビニ記者・吉岡秀子)
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