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東京メトロ10月上場 「最強私鉄」、時価総額6400億円

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東京地下鉄(東京メトロ)は20日、東京証券取引所への上場が承認されたと発表した。輸送人員は首都圏の私鉄を大きく上回り、営業利益率も約20%と群を抜く。時価総額6400億円規模の大型上場となる。鉄道事業への依存度が高く、今後の成長戦略を市場にどう示していくかが課題だ。

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上場予定日は10月23日で、プライム市場に上場する。想定売り出し価格は1株1100円だ。証券会社や投資家の需要を踏まえて10月15日に売り出し価格を決定する。

東京メトロ株は国が53.4%、東京都が残りの46.6%を保有している。上場に伴い国が26.7%、都が23.3%の合計50%を売り出す。国は復興財源確保法に基づき同社株の売却収入を復興債の償還費用に充てる。都はインフラ整備に充てる案などが浮上している。政府保有株式の新規上場は2015年の日本郵政以来となる。

東京メトロは10月に上場を目指すキオクシアホールディングス(時価総額1兆5000億円規模)に次ぐ大型上場となりそうだ。私鉄大手の時価総額で比べると、京成電鉄(7825億円)や近鉄グループホールディングス(6722億円)と肩を並べる規模だ。

東京メトロの稼ぐ力は首都圏の私鉄のなかで突出している。東京都心を中心に9路線を展開し、総延長は195キロメートルに及ぶ。通勤や買い物、観光など移動の足として使われる。

首都圏の私鉄では、路線の稼ぐ力を示す1キロあたり収益(21年度)は東京メトロが約12億円で首位だ。路線別でも2位の銀座線や3位の日比谷線など8路線がトップ10に入る。「ドル箱路線」を多く抱える。

24年3月期の輸送人員数は23億8473万人で、2番目に多い東急の10億5214万人を大きく引き離す。営業利益率も19.6%と私鉄大手の2倍近い水準だ。まさに「最強の私鉄」だ。有楽町線や南北線の延伸計画もあり、今後も輸送人員の増加が見込める。

たださらなる成長には課題もある。国内の人口が減少するなか、他の私鉄大手は不動産事業などを収益源に育てている。東京メトロは24年3月期の営業収益の83%を旅客運輸収入が占め、競合の1〜2割台に比べて鉄道事業への依存度が高い。

東京メトロも不動産事業の強化を掲げている。東京メトロが保有する遊休地を活用して3月には高架下にスケートボードパークをオープンし、7月には介護付き有料老人ホームも開業した。沿線に多くの土地を持つ競合と比べると事業拡大の余地は限られる。

今回の上場では新株の発行はなく、東京メトロ本体の資金調達はない。今年度からは私募の不動産投資信託(REIT、リート)を活用して、外部から資金を募り不動産事業を伸ばす戦略を打ち出した。

SOMPOインスティチュート・プラス、シティ・モビリティグループの福嶋一太上級研究員は「高い収益率はインフラ企業として電力やガスと比較しても見劣りせず、昨今の中長期的投資銘柄が好まれる傾向にも合致している」と分析する。

東京メトロは20日、25年3月期の年間配当を前期より8円多い40円に増やすと発表した。使い道を示さずに現金を抱え込み続ければ、株主からの還元圧力は高まる。上場企業として市場と向き合うことになる。

(鷲田智憲)

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