完璧な人はいないと言う人を見ると「わかりきったことを言うな」と思う。だからどうしたと思う。どうせなら「完璧じゃない人はいない」くらいのことを言ってくれと思う。誰も言わないから俺が言う。完璧じゃない人はいない。俺たちは、今、このままの姿で完璧なのだ。完璧な人はいないと言う人に限って、自分を愛するとか言う。彼らの愛は湿っている。市役所の職員が高齢者を相手にする時に、赤ちゃん言葉で話すのに似ている。なめんじゃねえよと思う。

誰かが「ありがとうって伝えたくて」的な内容の歌謡曲を歌う。私は「勘弁してください」と思う。お前のありがとうは湿っている。こんなものは、愛の歌ではない。自己愛の歌である。自分に酔った人間の歌である。言葉は悪いが、お前がスッキリしたいだけだろと思う。ありがとうよりこの野郎だろと思う。この野郎って伝えたくてと言われたら、わかる。ありがとうって伝えたくてと言われても、言われた方は「はあ」である。もしも、そんな言葉に感動するのなら、言われた方も湿っている。共依存の可能性が高い。正解は「そんなことより遊ぼうよ」である。ありがとうと伝えられても、スッキリできてよかったですねとは思うが、仲良くなることはできない。一緒に踊ることはできない。

東京在住の女性Ａ様から「坂爪さんと相撲をしたい」と言われた。私の正しい使い方である。Ａ様は、男に対する恨み辛みを満載していた。それを、私を使って浄化したいのだと言った。相撲の後に話をした。相撲の最中はいい顔をしていたＡ様も、言葉を使った途端に深刻になった。デフォルトは呑気なのに、言葉を使って過去や未来を語り出した途端、シリアスになる人は多い。なぜか。自分を否定するからである。楽しかったのに「こんなことをしている場合ではない」となり、散々笑ったのに「笑っている場合ではない」となる。自己肯定感が低いと、今を楽しみながら生きることは、罪悪になる。

私は「自分の愛に条件をつけるな」と思った。今の自分は幸せになるにはふさわしくないと思って、体重が減ったらとか、仕事が見つかったらとか、給料が上がったらとか、時間ができたらとか、恋人ができたらとか、条件をつける。結果、自分の幸せが後回しになる。自分の幸せに責任を持てと言いたい。自分を責めている人は、表面的には健気だが、実際は他人のことも裁いている。自分を条件付きで愛する人間は、他人も条件付きで愛する。自分の不幸を「誰かのせい」にする。当たり前だが、誰かのせいで不幸になる人間はいない。全部、自分次第だ。しなければならないなどとつまらないルールで自分を縛るのではなく、自分が選んでいるのだと思うこと。自分が選択しているのだと思うことで、自覚的になる。選び直すことができる。

Ａ様から「坂爪さんは仕事をしていないんですよね」と言われた。そして「仕事をしていないってことは、収入がないってことですよね。収入がないってことは、臨時収入だけで生きているってことですよね」と言われた。ザッツライト。その通りである。臨時収入だけで生きているだなんて、自分のことなのに凄いと思った。Ａ様から「お前は乞食なのに堂々とし過ぎだ」と言われた。だが、私は、堂々とすることが大事だと思う。自分を責めるのは、自分を否定しているからだ。本当はこんなはずじゃないとか言いながら、今の自分を肯定できないから苦しいのだ。否定をするな。肯定しろ。完璧じゃない人はいない。現在の自分が、完璧な自分だ。三連休は熱海の家で暇をしている。会いたくなったら呼んでくれ。日本には坂爪圭吾がいる。