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映画『シザーハンズ』から考えるマイノリティ(※ネタバレあり)

 若き日のジョニー・デップが主演を務め、30年経った今でも多くの人から愛される不朽の名作『シザーハンズ』。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジャック・スパロウや、や『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカでおなじみのジョニー・デップですが、本作でも、両手がハサミの人造人間という一癖も二癖もある役どころを見事に演じていました。人造人間と少女の切ない恋模様が感動的な本作ですが、今回は、エドワードという特異な存在が何が原因であの結末に至ったのかを考えていきたいと思います。

※以下ネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。

あらすじ

 冬の夜に一人の少女が「なぜ雪が降るの?」と祖母聞き、その理由を話し始めた祖母の話から物語は始まります。
 ある山の上のお城に住む発明家の老人が一人の人造人間を作り上げ、彼をエドワードと名付けました。エドワードは言葉を話し感情を持ち人間そのものでしたが、手だけが未完成でハサミでできています。手をハサミから人間の手に変えてもらうはずでしたが、発明家の老人はそれを成し遂げる前に病気で死んでしまいました。
 その後しばらく一人で寂しく暮らしていたエドワードですが、ある日お城に一人の女性がやってきます。彼女は化粧品の訪問販売をしているペグという女性で、最初はエドワードの容姿に驚きましたがすぐに彼が孤独で悲しい思いをしていることを知り、ペグはエドワードを家に連れて帰ることにしました。
 エドワードのペグの家での生活が始まり、すぐにご近所さんにエドワードの噂が流れます。両手がハサミである姿に、最初はご近所さんたちも不気味がっていましたが、エドワードが器用にハサミで庭の草木を刈ったりヘアーカットをしたりすることで、ご近所さんたちの人気者になっていきます。
 そんな時、キャンプで出かけていたペグの娘キムが家に帰ってきました。エドワードはキムに一目惚れしますが、キムにはジムというボーイフレンドがいたのです。ジムはエドワードのことが気に入らず彼に嫌がらせを繰り返していましたが、クリスマスの夜に悲劇が起きてしまいます。エドワードは不慮の事故でキムの手を傷つけてしまいジムに家から追い出されてしまうのです。さらには、キムの弟のケヴィンを車から守ろうとして怪我をさせてしまい、町の人からはエドワードはハサミで人を傷つける危険な人物だと思われ町から追い出されることになってしまいました。
 お城に戻ったエドワードでしたが、彼を追いかけてきたジムと激しいもみ合いになり、さらにそこにいたキムも巻き込まれ、キムに手を出したジムに怒りが頂点に達したエドワードはジムを窓から突き落とし殺してしまいました。キムはエドワードに「愛してる」と伝えると城を後にし、彼のものではないハサミを持ち帰って町の人々に見せて「彼はもう死んだ」と事の終息を伝えたのです。エドワードはその後町に戻ることなくお城で一人暮らしていくこととなりました。
 冒頭で昔話をはじめた祖母は、毎年雪が降る理由はお城のエドワードがハサミで彫刻を削っているからだと話します。そして、その祖母がキム本人であり、自分の身にあった本当の話を孫に話していたことが最後に明らかになるのです。

パステルカラーの住宅街が意味するものは?

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画像はイメージです。

 この映画の舞台となっている住宅街は、かわいらしいパステルカラーのお家が印象的です。きれいな等間隔に並んだ家から毎朝同じ時間に主人たちが車で出勤し、またみんな同じ時間に家に帰ってくるシーンも面白いです。一見、ただの住宅街のようにも見えますが、なぜみんな同じ形で同じパステルカラーの家に住んでいるのでしょうか?あくまで私の考察ですが、これはこの町の人々が周りと合わせて暮らすことにこだわり、逆に人と違うことをするのを嫌っている、という隠喩なのではないかと思います。実際、この町の人たちは人とは違う異質なエドワードをとても警戒します。そしてみんなが彼のことを認め始めると次第に全員が彼を認め、逆に彼を危険だという意見が出始めると途端にみんなで彼を追い払おうとします。人に合わせて生きていくこの町のそんな人々の象徴が、パステルカラーで整列する家々なのだと思います。

悲劇の発端はご近所さんの同調行動?

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 あらすじでも書いたように、この映画はどんどん悪い方向に向かっていき、最後には悲しい結末を迎えることになってしまいます。では、どうしてこんな結末を迎えることになってしまったのでしょうか?様々な要因が重なった結果だと思いますが、やはりご近所さんたちがエドワードを悪者扱いして町から追い払おうとしたのが直接的な原因と言えるでしょう。ジムについては彼自身の人格にかなり問題がありますから置いておいて、ご近所さんたちはエドワードに恨みがあるわけでもないのにあんな接し方をしてしまったのです。それはなぜか?答えは、「同調行動」だと言えます。同調行動とは、周りに合わせて意見を言ったり周囲と同じような言動をしたりすることで、心理学で使われる言葉です。人間は人と同じであることに安心感を持ち、逆に人と違うことに不安を覚えるそうです。パステルカラーの住宅街に住む人々は特にその傾向が強く、集団が「エドワードを追い払おう」という方向に進んでいったら、誰もそれを止められなかったのでしょう。エドワードに危害を与えられたわけではないのに、「みんながそう言うのならきっとエドワードは悪いやつだ」と同調してしまった人もいたのではないでしょうか。集団の中で生きていく上で同調することは重要なことですが、時にはそれによって誤った道へ進んでしまうこともあることを映画を観て感じました。これは決して映画の中だけの話ではなくて、現実社会でも常に起こっている問題です。ご近所さんたちは私たち人間のリアルな姿を描いているのではないでしょうか?

現代社会のマイノリティとエドワード

 この映画の主人公エドワードは、前述したように周りの人とはちょっと違う異質な存在です。両手がハサミでできている人はなかなかいませんから、彼は「マイノリティ(少数者)」に当てはまります。現代社会では、マイノリティとして生きる人々とそれに対する対応についてよくネットやテレビで話題となりますが、中には周りからひどい対応を受けて深く傷ついている人や生きづらさを感じている人がいます。きっとエドワードもそのうちの一人だったのではないでしょうか。彼は見た目が人とは違いますが、人を思いやる優しい心を持っているし器用な手先で人を喜ばせることもできます。そして、ペグとキムは彼のそんな本質を理解し彼のことを大切な存在としていました。彼女たちは、「手がハサミでできている」という1つの情報ですべてを判断するのではなくて、他の部分にも目を向けて彼と向き合えっていたのだと思います。彼女たちのような気持ちを持って人と接することができる人が増えたら、世界がより優しいものになるのではないかとこの映画を観て強く思いました。そしてそんな世界ではきっとエドワードも幸せに暮らせたはずです。

最後に

 『シザーハンズ』が30年経った今も多くの人の心に残る作品となっているのは、ファンタジーとして楽しめるだけでなく、エドワードがペグたちと暮らした日々について考えさせられる部分が多くあるからではないかと思います。すでに本作を観たことのある方も多いかと思いますが、エドワードを現代社会のマイノリティと照らし合わせて観てみるとまた違った見方になるかもしれません。この機会にぜひ観てみてはいかがでしょうか?


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映画を愛してやまないOLです。平日の夜にお酒と共に映画を鑑賞すること、週末に映画館をはしごすることが日々の楽しみです。新作映画のレビューや動画配信サービスでのオススメ映画について、洋画、邦画、ジャンル問わず幅広い記事を書いています。
映画『シザーハンズ』から考えるマイノリティ(※ネタバレあり)|まどか
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