このCMは公開から2日後、「不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、お詫びするとともに、このWeb CMは取り下げさせていただきます」という、定型表現に満ちた謝罪の言葉がTwitterに投稿され、削除された。
結論を先取りするならば、報道番組である報道ステーションの使命として、「一般企業の広告が批判されたときと同じように、紋切り型の「不快な思いをされた方が(以下略)」謝罪をして、取り下げる」ということだけで本当に良かったのか、報道番組としての社会的責任を取る必要はないのか、と問いただしたい。
このCMが「なぜ批判されたのか?」「誰に向けて、どのようなプロセスで企画され、制作されたのか?」「制作プロセスの途中で、疑問の声は上がらなかったのか?」——これらの問いは、これまで多くの一般企業の広告において差別的なジェンダー表現が批判された際に、さまざまな媒体を通じて報道が問いかけてきたものである。
むろん、報道ステーションの番組内のスタッフが、今回のCM制作にはほとんどかかわっていないだろうということは推測できる。しかし、批判されたことを受けて、定型謝罪に終わるのではなく、ぜひ番組内で企画から制作までのプロセスをつまびらかにし、番組内でもジェンダー平等の問題について取り上げるなど、今回のCMによって起きた議論に真摯に取り組んでもらいたい。
では、このCMの何が問題であったのか、もう少し詳しく見ていこう。
今日のように通信と放送とが融合した時代には、多様な視聴者がコンテンツを観て、直ちにソーシャル・メディアで感想や意見を表示し、意見交換を行えることから、広告のメッセージが「どのように伝わるか」ということは、送り手の技量と、メッセージが受け取られる際のコンテクストに大きく依拠するようになった。