フランス革命はこうして、1ヵ月半で1300人以上ギロチン処刑し、数万人を虐殺する「恐怖政治」に至った

9/20(金) 7:00配信

フランス革命の事実上の終結

断頭台のロベスピエール(GettyImages)

共和暦は十進法をもとにして月の区切りや名前だけでなく、時間の単位まで変えたために不評で、結局、ナポレオンが皇帝になった2年後の1806年1月1日からは従来のグレゴリオ暦に戻りました(共和暦では1分は100秒、1時間は100分、1日は10時間、1週は10日で、3週でひと月でした。日もすべて名前がついていて、たとえばテルミドール9日は「ミュール(桑の実)」となっていました)。ロベスピエールらの恐怖政治に反対する勢力が勢いを増し、器に注がれる液体がそのままではやがてあふれ出すように、テルミドール9日、国民公会でロベスピエール派の糾弾が決議され、一旦は市庁舎に逃げ込んでいたロベスピエールらは翌夕方には断頭台に送られました。さらに翌日、ロベスピエール派の活動家が続けて処刑されましたが、その数は70余名に達しました。ジャコバン派が終焉を迎え、フランス革命は事実上の終結となりました。

高遠弘美(フランス文学者/翻訳家)

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個人的にこの件で一番教訓とすべきは、弁護士だった頃のロベスピエールが、困った貧民のために無償で弁護を引き受け、今の日本とは比較にもならないほどに腐り切った政治家
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革命は「内戦」。すなわち「戦争」。一たび血が流れると、理性がマヒして、「殺し合い」モードに入る。ナポレオンが出て収束したが、今度は「革命の輸出」で、エジプト遠征やらモスクワ遠征やら。暴れん坊将軍・ナポレオンが、欧州の封建制にとどめを刺した。市民革命の時代を経て、欧州で近代市民社会が誕生した。革命歌、ラ・マルセイエーズの歌詞は、その興奮状態を表現しているが、フランス国民の愛唱歌でもあるが、精神を鼓舞する力がある。

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個人的にこの件で一番教訓とすべきは、弁護士だった頃のロベスピエールが、困った貧民のために無償で弁護を引き受け、今の日本とは比較にもならないほどに腐り切った政治家たちの中で、唯一汚職とは無縁な清廉な人物だったことだと思う。それどころか当時他にいたかもわからない死刑懐疑論者ですらあった。善人が政治家になったときに善政をしいてくれるとは限らないし、正義に燃える理想主義者に国を任せると、理想通りに国が変わらなかったときに何をするかわからないという、これ以上ない好例。