カーブを29球投げていたが、カウント球として非常に効果的だった。真っすぐ、フォークの精度を加味すると、このカーブが効いていたから、西武打線も手こずった印象だ。5回に、左打者鈴木にこのカーブを狙い打たれているが、カーブを打たれたのはこの1本だけだった。

初球は内角スライダーでストライク。ここで鈴木はまったく反応していない。打つ気配がなかった。カーブに狙いを絞っていたのだろう。そして2球目のカーブを左前打とした。3巡目に入り、この日の小園のカーブを狙おうという意図を感じた。

これで真っすぐ、フォークの出来がもう少し良ければ、打者は3巡目にどういうバッティングをしたのか。そこは非常に興味がある。その状況で小園がどこまでのイニングをしっかり投げきれるか、そこを確かめたかった。

この日はナイスピッチングとは言えない。自分のピッチングで抑えたというよりも、相手のミスショットに助けられて、結果として0点だったという感覚になった。

小園はそういうタイプの投手ではない。3球種で勝負できる極めて高い潜在力を秘めている。3年目が終わろうとしている。まずは真っすぐの強さをしっかり念頭に置いて、小さくまとまらないでほしい。

3球種すべてが好調ということはそうそうない。だが、せめて2球種はしっかりマウンドで修正して試合に臨めば、もっと力を発揮できるはずだ。こういう姿を見ることもファームに足を運んだかいがある。ここからどこまで成長するのか、そこを楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「田村藤夫のファームリポート」)