兵庫県の斎藤元彦知事(46)がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、いったん認めた元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)の3月末での退職について、正式な決裁を経ずに片山安孝副知事(当時)らが取り消していたことが明らかになった。当時は告発者の特定を進めていた初期段階で、事情聴取に元局長は関与を否定したが、片山氏は「調査のために必要」としてその場で退職願の不受理を通告。専門家は「公務員としての規範や倫理を逸脱している」と批判する。
告発者に「何か言いたいことあるか」
元局長は、知事や県幹部によるパワハラなど七つの疑惑を指摘した告発文を作成し、3月中旬に報道機関や県議に送付した。文書の存在を知った知事は同21日、片山氏ら県幹部と対応を協議。同25日午前に片山氏が聴取し、元局長の公用パソコンを持ち帰った。パソコンを解析した結果、告発者は元局長と特定した。
元局長は聴取の時点で、県庁内で出回るうわさ話を公用パソコンに書き集めたと認めつつも、告発文の送付は否定していた。
関係者への取材によると、片山氏は聴取の終盤、元局長が提出していた退職願について「退職願は受理しない。で、人事異動の内示をします」と述べ、3月末をもって解任すると説明。4月以降も告発文についての調査のために在職を命じるとともに、「追って通知する。何か言いたいことあるか」と畳みかけた。元局長は「ありません」と応じた。
元局長は3月末…
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