プロ3年目の左腕・秋山正雲(21=二松学舎)のピッチングに注目した。11日に鎌ケ谷スタジアムで行われた日本ハム-ロッテ戦(延長10回5X-4)を見て、秋山に内角球を軸に、ピッチングを組み立てようとする明確な意思を感じた。

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秋山は2番手で登板し、1イニングをノーヒット2三振と完璧な内容だった。日本ハム打線は矢沢、野村、有薗という打順だったが、このイニングに限れば秋山が抑えるべくして、きっちり封じたと感じた。

組み立てはきわめてシンプルだった。左打者には内角を真っすぐできっちり攻めてから、外のスライダー。右打者にも真っすぐやスライダーで内角を突いてから、今度は外へチェンジアップという配球だった。

捕手出身の私ではなくとも、ファンの皆さんでも、とても分かりやすい組み立てと言える。それこそ、次の攻め方を予測できるのではないだろうか。打者からしても、分かっていても仕留め切れない。そこに秋山のプロで生きる道が見えてくる。

あらためてピッチングの重要な部分を解説しておくが、秋山の攻め方は内角の真っすぐ(右打者には真っすぐとスライダーを使い分けて)を軸に、外への変化球で打ち取るスタイルだ。では、なぜ打者は分かっていても打ち損じるのか。それは、内角を正確に厳しく攻めるコントロールにある。

この日は最速143キロだった。特別に速くはない。プロの世界では左腕としてはまずまずの球威だろう。ベース板で他の投手とは明らかに異なる強さを見せるわけでもない。目を引いたのは、その正確さだった。

左打者にしろ、右打者にしろ、踏み込めないギリギリのところにきっちり制球されていた。この真っすぐやスライダーでの内角球があることで、バッテリーはその後の配球で主導権を握ることができる。それは、内角への残像が鍵になる。

投手が意図を持って突いてきた内角球は、打者にとっては絶対に外せないボールになる。また内角に来るかもしれないという感覚が残るために、思い切って外角の変化球に対して踏み込めない。

ゆえに、外へのスライダー、あるいはチェンジアップが効果を発揮する。踏み込めない、かつ残像があるために遠くに感じる。何とかバットに当ててもバットの先であったり、本来の強いスイングで捉えることができない。

私も解説していて、とても根本的な攻め方であるために、この正統派とも言える組み立てを、ほぼ完璧にやってのけた21歳に大きな魅力を感じる。