自立支援施設での未成年飲酒・喫煙を職員が黙認 関係者が証言
引きこもりの子どもたちの自立支援をうたう全寮制施設「粋塾」(愛知県東海市南柴田町)で、施設内での未成年の飲酒や喫煙を職員が黙認していたことが、関係者への取材でわかった。
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粋塾をめぐっては、県警が、施設に入所する15歳未満の子どもたちを働かせたとして、経営者の氷室優容疑者(46)ら男2人を労働基準法違反の疑いで今月13日に逮捕している。
取材に応じた複数の粋塾関係者によると、粋塾の寮で暮らす小中学生が職員の前で酒を飲んだり、たばこを吸ったりする場面が複数回目撃されているという。また、職員が子どもたちに酒を買い与えたり、「たばこ吸おうぜ」などと誘ったりすることもあったという。
施設に入所する子どもたちの飲酒や喫煙については県警も情報を把握。東海市などによると、県警や市、児童相談所などが連携し、複数回にわたって情報交換をしてきたという。
粋塾の担当者は、朝日新聞の取材に対し「対応は弁護士に任せており、お答えすることはない」と話した。
粋塾は、引きこもりや不登校の子どもたちの自立支援をうたう全寮制の施設。県警によると、氷室容疑者ら2人は昨年4月~今年3月、東海市内の建設会社で当時10~13歳だった男児4人をトラックの荷下ろしなどの業務に就かせた疑いがある。そのうち1人の男児(当時11歳)については油圧ショベルを運転させて廃材を運ばせた疑いもあるという。氷室容疑者はこの建設会社の代表取締役も務めており、県警は3月に会社や粋塾などを家宅捜索していた。
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今月23日には、県警は氷室容疑者の義父(61)を入所者の男児(12)に散弾銃を貸し与えた銃刀法違反幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕。氷室容疑者の妻(38)を違法に散弾銃を所持したとして逮捕した。氷室容疑者のスマートフォンを解析したところ、妻と男児が船上で銃を持ち、海へ向かって発砲している動画が見つかった。銃は義父が狩猟などの目的で所持許可を持っていたものだったという。(伊藤舞虹、奈良美里)
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- 伊藤舞虹
- 名古屋報道センター|労働福祉・SDGs担当
- 専門・関心分野
- 子どもの福祉、社会保障、ジェンダー