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八日町空洞化の加速懸念

ツルハ閉店で空洞化の加速が懸念される八日町
ツルハ閉店で空洞化の加速が懸念される八日町

八日町空洞化の加速懸念

気仙沼市役所前で唯一の大型小売店「ツルハドラッグ気仙沼八日町店」が、15日で閉店した。近隣住民や周辺事業所で働く人たちの買い物需要を支えた店だっただけに惜しむ声が聞かれるほか、中心市街地から大型店が消えたことで地元商店街関係者らは市役所移転(2027年度)を前に空洞化が加速するのでは―と懸念する。
 ツルハグループ(本社・札幌市)の仙台オフィスによると、八日町店の閉店は「まちの変化に即すための店舗の在り方見直し」に伴うもの。同店がオープンしたのは13年9月で、東日本大震災で被災した中心市街地一帯の買い物需要を支えてほしい―との地元の声に応え、市役所前交差点の一角に出店した。
 医薬品や日用雑貨に加え、日配食品、弁当なども取りそろえたことから、近隣住民だけでなく市役所職員や来庁者、周辺事業所で働く人たちなどに重宝された。旅客船発着所に近いことから大島地区からの利用も多かった。
 同社によると、八日町店の出店は「震災後、まずは地元の買い物需要を支えるための復興支援の意味合いが大きかった」という。その後、復興過程で南気仙沼店(市内仲町)や東八幡前店などを出店したことで需要が分散したため、市内の店舗配置を見直した。
八日町店は、地理的制約で売り場と駐車場が狭い上、大島大橋開通に伴って大島地区からの利用が東八幡前店にシフトしたことなどを総合的に判断して閉店を決めたという。
 豆腐や納豆などを買いに通っていたという八日町地区の一人暮らしの女性(84)は「足腰が弱く、手押し車が頼りの生活。歩いて買い物に行ける店がなくなり、どうしよう」と表情を曇らせた。
 八日町商店街振興組合の渡邊栄専務(69)は「市役所移転を見越して懸命ににぎわいを創出しようとする中、集客の核だった大型店がなくなるのは痛手」と空洞化の加速を心配する。
 ツルハの気仙沼エリア担当者は「徒歩で来店いただいていたお客さまなど、近隣の方々に不便を掛けることになり心苦しいが、事情を理解いただきたい。八日町店は閉店するが、今後もまちの動向に即した形で新規出店を検討しながら、多くの皆さんに便利に利用していただけるよう努めたい」と話している。