県内初の強制起訴 被告に懲役6か月の判決 一部は無罪に

知人の女性からクレジットカードをだまし取り、現金を引き出したとして、検察審査会の議決によって、長崎県内で初めて強制的に起訴された佐世保市の被告の裁判で、長崎地方裁判所は一部の事件については無罪としたうえで、懲役6か月の判決を言い渡しました。

佐世保市の無職、野田尚仁被告は3年前、出会い系アプリで知り合った女性にうそを言ってクレジットカードをだまし取り、現金あわせて150万円余りを引き出したなどとして逮捕されました。

その後、検察が不起訴にしていましたが、2度にわたる検察審査会の議決によって、詐欺と窃盗の罪で去年8月に県内で初めて強制的に起訴されました。

これまでの裁判で、検察官役の指定弁護士は懲役3年を求刑したのに対し、弁護側は無罪を主張していました。

4日の判決で、長崎地方裁判所の太田寅彦裁判長は「知人の女性が、罪の成否に関わる核心部分で一貫性の乏しい供述をしていることは、証言の信用性を判断するうえで無視することはできない」などとして、詐欺と窃盗の一部については無罪としました。

一方で、「知人の女性との関係を利用して他人名義のクレジットカードを私的に利用しており、利欲性は高い」などとして、残りを有罪とし、懲役6か月の判決を言い渡しました。

【強制起訴とは】

強制起訴の制度は、15年前の2009年5月に始まりました。

検察が不起訴にした事件については、国民からくじで選ばれた一般の市民で構成する「検察審査会」が2度、「起訴すべき」という議決をすると、強制的に起訴されます。

最高裁判所によりますと、3日までに検察審査会の議決によって強制的に起訴されたのは、今回の裁判を含めて全国で15人で、長崎県では今回が初めてです。

このうち、有罪が確定しているのは、▽徳島県石井町の元町長が女性に暴行した罪に問われたケースと、▽長野県松本市の柔道教室で元指導者が小学生にけがをさせた罪に問われたケースだけとなっています。

長崎のニュース