なぜ「乗り物オタク」は公式発表にあっさり騙されるのか? 戦闘機・鉄道・自動車み~んな同じ、軍事ライターが冷静に分析する
自分で判断できない
第三の理由は、「自分で判断しないこと」である。マニアは判断を他人任せ、特に趣味集団における評価に委ねている。
「みんながどのようにいっているか」
に流されてしまう。
これも「F-2は日本のオリジナル」が膾炙(かいしゃ。広くいわれていること)した理由である。まず第一、第二の効果で軍事マニアが受け入れる。そうなると「みんなもそういっているから正しい」と信じてしまうのである。
集団への没入ゆえに異論も拒絶する。悪化すると反論も自分の信念が揺らぐので直視できなくなる。反論がウェブ記事なら「PVを稼がせない」と合理化して読まずに一蹴する。このあたりは
「鉄道マニア」
も同じである。趣味集団の価値観に染まりきっている。
“過激派”は世間との調節もできなくなっている。線路内立入や大光量のフラッシュといった鉄道安全への挑戦や、公衆面前での“罵声大会”に疑問を抱かない。
それでいて出てくる写真はみんな同じである。だからか、収差に至るまでの出来を持ち出して競っている。ピクセル規模でも「ちょっとピンボケ」は門前払いにする。(ロバート・)キャパが撮っても失敗作の扱いである。
国産にしなければよかった
当事者はこのマニア連をどう見ているのか。
現場は「公式発表を素直に信じるものだな」と見ている。意図ある公式発表にも正確にミスリードされるからである。
当事者だから組織方針の誤りもよく見えており、だますことにも批判的である。
実際に国産機について自衛隊員に「よかったところはなんですか」と筆者が聞くと
「国産なんかしなければよかった」
と答える。これは国産哨戒機P-1の話である。
「石破防衛相のいうとおりP-8にすればよかった」
ともいっていた。
「担当も『今のうちにP-8を買わないと将来が』と危機感を持っている」
との話も別に聞いている。
だが、マニアは心地よくない話は信じない。筆者が聞いた「P-1のうち飛行可能な『ステイタスA』は半分もない」や、さらに踏み込んだ清谷信一さんの「可動機は三割」の話は受容できない。F-16コピーの事実提示と同様に
「ボクの大好きな国産機が失敗作なわけがない」
と拒絶するのである。