今回は、ニッカウヰスキーのスーパーニッカを改めて飲みます。

元は妻への愛が詰まった創業者の渾身作

DSC_1372_01現在のスーパーニッカの立ち位置は、ブラックニッカよりもワンランク上、更に上位にはセッション、ザ・ニッカがありますが、当初はフラグシップでありプレミアムなボトルでした。

きっかけとなったのは、創業者である竹鶴政孝の妻でスコットランド人のリタが亡くなったことでした。
彼女は政孝がスコットランドにウイスキー作りを学ぶために留学中、遙か東方の青年が祖国でウイスキーを作りたいという情熱に感銘を受け、密かに結婚し、共に日本へと向かったのでした。

政孝がニッカウヰスキーの前身である大日本果汁を創業し、ウイスキー作りを隠すために、創業の地である余市のリンゴを使ったジュース製造、販売をするも売れ行きがイマイチの際に、リタはりんごジャムやケチャップ、ワイン、シードル、ブランデーのアイデアをもたらしたと言われています。

そんな献身的に支えてきたリタが亡くなった際に政孝は号泣、錯乱し、しばらく本業に手を出せない精神状態にありました。
しかし、リタが結婚のきっかけとした、本格的なウイスキーを作りたいという願いを思い出し、政孝は彼女に捧げる最高のウイスキーを作る決心をしました。

そうして作り上げた最初のスーパーニッカは当時としては最上級のウイスキーで、ボトルもカガミクリスタル製の手吹きのもので、全く同じ形状のものはないと言われるほどでした。

その後スーパーニッカは、宮城峡蒸溜所が操業して新しいモルト原酒、さらにカフェグレーンを加え、そしてベンネヴィスをはじめとしたスコッチモルトをブレンドする方向となり、現在に至ります。
価格も全体から見て比較的安価なボトルとなっています。

1980年代から比較的手軽なボトルになってからはCMもいくつか作られています。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはラムレーズン、ピート、りんごの香りが広がります。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

炭っぽさを持つスモーキーな香りが広がり、レーズン、ドライマンゴー、りんご、バナナの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みは比較的少なく、酸味が比較的強く、奥から甘さがほんのり感じられます。

ロック

ストレート同様のスモーキーな香りが先にやってきて、シナモン、バナナ、レーズン、りんご、カカオの香りが続きます。

味わいは、少々ほろ苦さがあるものの、ストレートよりも酸味が抑えられ、甘さが強く感じられるようになります。

ハイボール

リンゴ、ハチミツの甘い香りが前に出るようになり、レーズン、カカオの香りが続きます。
一方でスモーキーな香りは奥に潜みます。

味わいは、酸味が強めになり、その後に軽く甘味が感じられます。

ブラックニッカよりまろやかで、初心者向け

全体的にもスモーキーさこそあれど、アルコール感が少なく比較的まろやかな印象です。
ハイボールにしても、レモン果汁を入れずとも香りが良くて甘味もそこそこあり、初心者にも受け入れられるでしょう。

クセが少ない分、ウイスキーを飲む人間には物足りなさがあるでしょうが、香りや味わいの広がりは十分あり、下手に安いウイスキーを飲むよりははるかにいいと思います。
700mL、アルコール度数43度で、価格は3000円ほどです。
なお、500mLボトルも売られています。

<個人的評価>

  • 香り B: 炭っぽさを感じるスモーキーさ。リンゴ、レーズン、ドライマンゴー、バナナと甘くて濃厚な香り。
  • 味わい B: アルコール感は少なめで、酸味が主体。奥から甘み
  • 総評 B: そつがなく、ウイスキーらしさをしっかり留めているブレンド。