【ネタバレ解説】「あの夏休み自販機」の先にあったもの
この記事は2024年8月24日〜8月31日に開催された、サントリーのイベント「あの夏休み自販機」のネタバレ解説です。
「あの夏休み自販機」公式サイトはこちら
予想を上回る多くの反響とご予約を頂き、参加頂けなかった方もいらっしゃったので、こちらの記事で本イベントの全容をご紹介できればと思っています。
なお、本記事はイベントの内容に関するネタバレを含みますので、ご留意ください。
・
・
・
8月のとある1日、
「あの夏休み自販機」の先に何があったのか、
参加者の一人になった気分でお楽しみください。
販売中止中の自販機
「あの夏休み自販機」の参加者には、
事前にこんなメールが送られてきます。
渋谷区のとある駅から5分ほど歩いた先にある閑静な住宅街。
路地を抜けていくと、青い自販機が現れます。
メールに記載されていた通りにボタンを押してみます
・・・・ピンポーン
なぜか自販機から住宅のチャイムの音が鳴ります。
すると自販機の後ろから…
家の中から、お母さんが現れました。
そのまま、家の中に招かれます。
どうやらカツヤの同級生と思われているよう。
家の中へ
家の中からはどことなく「人の家の匂い」が香ってきます。
そのまま2Fへ案内されます
どうやらカツヤにはお姉ちゃんがいるようで、
お姉ちゃんの部屋からは何やら電話している声が聞こえてくる。
お母さんの後を追って、2階の奥にある「カツヤ」の部屋へ。
カツヤの部屋
そうして案内されたのは、小学4年生の「カツヤ」の部屋。
お母さんは「飲み物持ってくるから!」と下へ戻っていき、参加者は知らない「友達」の部屋に取り残されます。
どうやらここは20年前の夏休み最終日、2004年8月31日のカツヤの部屋。
よく見ると、部屋の至るところから「夏休みが終わる気配」を感じることができます。
いま2パーくらい」
部屋を物色していると、
お母さんが持ってきてくれました。
「カツヤがいないと静かね〜」と、部屋にあるCD/MDプレイヤーで音楽をかけ始めるお母さん。
参加者は再び取り残されます。
シークレットボックス
お母さんがいなくなったので、部屋の物色を再開します。
カツヤに頼まれたので、夏休みワークをやってみます。
何かのカギの数字が見つかりました。
カツヤの「シークレットボックス」を探すことに。
盗み見されているカツヤが可哀想になってきますが、
見つけやすいところにパスワードメモを置きっぱなしにしていたカツヤが悪いということにしておきましょう。
鍵のついた引き出し
カツヤの新曲に夢中になっていると、お母さんが部屋に入ってきました。
「そういえば夏休み前のテスト、カツヤが全然見せてくれなくて〜」
と話しかけてくるお母さん
せっかく頼まれたので探してみることにしましょう。
お母さんに報告すると、お母さんは「これは家族会議ね・・・」と焦っていました。
そしてテストを探している間に、もうひとつカツヤが隠していたものが見つかりました。
ここはヒトミという女の子との思い出をこっそり隠した机コーナーのようです。そういえばシークレットボックスの数字、113もヒトミの語呂合わせでした。
またカツヤの秘密を覗いてしまいました。
謎の扉
喉が渇いてきたので、お母さんに飲み物のおかわりを頼みました。
飲み物のおかわりと一緒に、知らないガラケーを置いていきました。
誰のものなのでしょうか。
お母さんはついでに、カツヤの先週の試合のユニフォームを部屋で探していました。1週間も経っているのに出していないので怒っている様子。
そう言って、水筒も回収して嵐のように去っていきました。
エナメルバッグと水筒が回収されて、机の下が綺麗に。
さっきまでバッグがあって見えていなかった机の下に、何かがあります。
まず落ちていたのは、海外の大学の学生証。
名前欄には Katsuya Hirose とあります。
そして、壁には南京錠が掛かっています。
4桁の数字を探します。
そういえば
シークレットボックスに入っていたカツヤの新曲。
曲名は「ベストナンバー」でした。
Yo Yo !カツヤとアキラの
背番号知ってるか?
2人がそろえばベストナンバー
どんなトビラも開くぜオープン
カツヤとアキラの背番号で
どんなトビラも開くとのこと。
1710
扉の先には、「もう一つの部屋」がありました。
もう一つの部屋
中に入ると、先ほどまでとは全く異なる雰囲気の、もう一つの部屋が。
ここは、現代のカツヤが「あの夏休み自販機」を開発している部屋。
ホワイトボードによると、自販機の中に埋め込まれた「時空投影装置」というものによって投影された空間に今迷い込んでいたということです。
『このファイルに辿り着いたあなたへ』全文
はじめまして。広瀬勝矢です。
せっかく家にまで来てもらったのに、不在で申し訳ない。
今日は、イベント「あの夏休み自販機」に参加してくれてありがとう。
私のこれまでの人生で一番おいしかった飲み物は、「夏休みの最終日、みんなで宿題を終わらせながら飲んだ、お母さんが持ってきてくれたキンキンに冷えた飲み物」だった。それをいつでも飲める場所を作りたい、という思いが、この自販機を設置したひとつのきっかけとなった。お楽しみいただけただろうか。
・・・この部屋にたどり着いたということは、この部屋の存在など、このイベント内にあるさまざまな謎の点について、疑問をお持ちかもしれない。
特殊技術に関する情報をあまり大きく外に漏らさないために、告知する際に皆様にはお伝えしきれていなかった部分もあるので、ここで説明させていただくことにする。
今日のこの機会は、私が開発した「時空間投影装置(Time Space Transporter Unit - TISTU)」の実証実験でもあった。「時空間投影装置(TISTU)」はいわば時空間のプロジェクターのように過去の時空間を投影することのできる装置で、この家の中は今日、2004年8月31日の時の姿がそのまま投影されている。
諸々の事情があり、起動装置として自販機を借用させていただいているので、普段とは違う自販機の挙動に驚かれたかもしれない。突然の出来事に戸惑わせてしまったのであれば申し訳ない。
この機械を最初に発案したのは、20年前の夏休み最後の日、2004年の8月31日だった。
夏休みが終わるのがあまりにも寂しかった私は、自由研究で「夏休みを永遠に繰り返せる装置」を考えた。考えたと言っても、当時の私にできる限りの調べ物をしただけであったが...。その頃はまさかそんなものが本当に実現できるとは思っていなかったが、そこから量子力学にどんどん興味を持っていった私は大学、大学院でも近しい分野を研究することになった。そして今年、奇しくも20年前に自由研究で考えていたものと全く同じような技術に辿り着くこととなった。
その技術の最初の実証実験の場として選んだのが、僕が幼少期を過ごしたこの家だった。投影する時間には、この研究に辿り着くきっかけとなった2004年の夏休み最後の日を選び、家の前にあった自販機の中に機構を隠した。
本来であれば、私がここに一か月ほど滞在して時空間移動の実証実験を行うはずだったのだが、一つ予測しきれていなかった問題が生じてしまった。家の中で時空間を跨いで存在している僕の母親に、20年後の僕が会ってしまうとタイムパラドックス的な問題が発生してしまう、という点である。
私がずっと試験運用を行う訳にはいかないが、作動の確認はしなければいけない...頭を悩ませたが、そんなときにひとつの記憶が蘇ってきた。
思い返せば2004年のあの日、僕は友達を家に呼んで一緒に宿題をしていた。キンキンに冷えた飲み物を飲みながら、焦って自由研究を終らせようとしていたあの日の記憶は鮮明に残っている。あの日であれば、母親にも友達が来ると伝えていたはずだ。
そこで、友達として試験の参加者を家に招待することにした。まだ論文の発表前なので、この技術に関して大々的に告知することは出来なかったが、イベントとして告知することで、興味を持っていただけそうな皆様を集めさせていただいた。
これを読んでいるということは実証実験は成功したはずだが、いかがだっただろうか。
楽しんでいただけたのであれば幸いだ。僕の部屋にあるものは勝手に遊んだりして構わないので、折角なので2004年当時の部屋を存分に楽しんでくれ。(20年前の僕が隠した箱や紙は見ないでほしい。とくに僕が書いた曲や小説、マンガなどは恥ずかしいので絶対に見ないでいでくれ・・・!)
最後に、一つだけ皆様にお願いがある。
私の母がこの空間の存在や私の研究について知ってしまうと、先ほども書いたようなパラドックス的な問題が発生してしまう可能性がある。私の母が、2004年の人物で唯一この時空の歪みに巻き込まれてしまっている人物だからだ。
だから母に何か聞かれたとしても、この装置やこの部屋の存在については内緒にしておいてくれ。
机の奥にこの空間があることも母に知られると良くないので、くれぐれも母に気付かれないようにしてくれ。
では、今日は参加してくれて本当にありがとう。
よろしく頼んだ。
メッセージを読むと、このイベントは謎の小学4年生の友達・カツヤの家に招かれる懐かしい夏休み体験イベントであるだけでなく、大人になったカツヤ張本人によって開催されている時空投影装置の試験運用でもあったということ。
Diary & Black Box
秘密の部屋のPCには、他にも開けるファイルが。
すぐ見られるところにパスワードをメモってしまうところは20年前から変わっていない
カツヤは「家の中にある好きなものベスト3」を書いています
プロフ帳のランキングも、ここに書いたものをそのまま使ったのでしょう。
カツヤが大学院で時空投影装置研究を始めた日から書いている研究日誌。
通常はカツヤしかわからないメモなのでしょうが、
カツヤの20年前の部屋にアクセスできてしまう私たちにはすぐわかってしまいます。
R+ E + D + CA + R
完成した単語は、「RED CAR」
2人とも、大人になりましたね。そっとしておきましょう。
家の外へ
秘密の部屋をずっと物色していると、1Fからカツヤのお母さんの声が聞こえてきました。慌ててカツヤの少年時代の部屋に戻ります。
「お母さんから電話かかってきて、お買い物行くから帰ってきて〜って!」
どうやら帰る時間のようです。慌ててお母さんの声がする一階に戻ります。
本当にどこ行ったのかしら」
冷蔵庫からなっちゃんとCCレモンを持ってきてくれました
こうして、自販機のボタンを押して始まった
ひと夏の不思議な体験は、一瞬で終わっていきました。
終わりに
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「あの夏休み自販機」の先にあったものを解説しました。
実は、このnoteに入りきらなかったものもあります。お姉ちゃんの電話の内容、カツヤの壁の落書き、クローゼットに隠された工作、ヒトミとの思い出のキーホルダー、恩師からの手紙、転校前の学校でのモテエピソード、カツヤが作ったオリジナルキャラクターなど、カツヤを巡る様々な記憶が詰まっていました。(誰にも見つかっていないものも、多くあります。)
この企画の始まりは、「夏休みに友達の家で飲んだ飲み物って美味しかったよね」という小学生の頃の記憶でした。この「あの夏休み自販機」がそんな懐かしい人生の一瞬が蘇るような、あなたの記憶を刺激する一助になれば嬉しいです。
2024年8月31日
「あの夏休み自販機」制作チーム
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?
コメント