日が沈むのが早くなり、夕日や昇りたての月を見る機会が増えてきました。この季節は、空を見上げる楽しみが多い時期でもあります。
「自称空好き」の私は、夕日や昇る月を眺めるのが好きで、この時期は特にアンドロメダやカシオペア、さらには土星や木星といった惑星の位置を確認するのも楽しみです。
ところで、皆さんは「今日の月は異常にデカい!」と感じたことがあるのではないでしょうか。もちろん、月が私たちに近づいているわけではありません。これは「錯覚」の一つです。では、なぜ昇りたての月や夕日が大きく感じられるのでしょうか?
この現象は、脳の素晴らしい補正機能によるものです。私たちの脳には、周囲の環境や物体と比較して相対的な大きさを判断する機能が備わっているのですが、時にはこの機能が誤った印象を与えることがあります。
例えば、空高く浮かぶ月は広大な空の中で小さく見えますが、地平線近くにある月は建物や木などと一緒に見えるため、脳がその相対的な大きさを自動補正し、実際よりも大きく感じてしまうのです。
この錯覚は、私たちの感覚が意外に頼りないことを示していると思います。もちろん、直感や感覚は非常に重要ですが、時には感覚が錯覚や誤解を引き起こすことがあります。これを認識しておくことで、より正確な判断ができるようになります。
特に、他者との会話や意見交換の際、一度気に入らない意見や態度に出会うと、その人全体を否定的に見てしまうことがあります。その結果、「どうせまた」と決めつけ、本質を理解することを妨げてしまうのです。特に感情が高ぶっているときは、正しい判断がしにくくなる傾向があります。
こういった思い込みや感覚の錯覚は、日常生活やビジネスでも私たちを誤った判断に導くことがあります。感覚が私たちを騙すことがあると認識し、他の視点や事実に基づいて冷静に判断することが必要です。
今年の中秋の名月は9月17日です。(ちなみに来年は10月6日)中秋の名月は、旧暦の8月15日にあたる満月を指します。
この時期日本では「月見」の風習があり、秋の空に大きく見える月を楽しみながら、収穫や豊作を祝う行事として親しんできました。秋は昼が短くなり、月の出が早くなり、長い時間月を楽しむことができます。こうした要素が重なり、この時期の月は特に美しいと感じられるのだと思います。
「今日の月は異常にデカい!」と感じるのと同様に、私たちの感覚も時には「これは大問題だ!」「これだけは許すわけにはいかない!」などと問題の大きさを錯覚することがあります。
冷静な視点を持ち、他者との協力や対話を通じて、バランスの取れた判断を心掛けたいと思います。