ご当地キャラ「ミズモ」in美里町ラベンダー園
秋田県美郷町
3042号(2018年6月4日)秋田県美郷町
美郷町は、秋田県南部に広がる仙北平野の南東部に位置しており、東は奥羽山脈を境に岩手県に、南は横手市、北・西は大仙市にそれぞれ接しています。
奥羽山脈の麓、豊かな湧水と土壌に恵まれた県内有数の穀倉地帯であり、田園の風景に四季を感じることができる自然豊かな美しい町です。また、美郷町は、清水の町でもあり、町内126カ所で水が湧き出しています。その半分以上は六郷地区(旧六郷町)に集中しており、湧水は環境省の「名水百選」、国土交通省の「水の郷百選」、林野庁の「水源の森百選」に選ばれた名水です。その名水を使った地酒、流しソーメン、ニテコサイダーは名水のおいしさを存分に味わえる一品です。
初夏の美郷町ラベンダー園には白色のラベンダーが咲き誇ります。それがホワイトラベンダー、美郷町オリジナル品種『美郷雪華』です。『美郷雪華』は、東北でも有数の規模を誇る美郷町ラベンダー園で発見されました。平成25年に品種登録され、美郷町がオリジナル品種を保有することになりました。
香りはラベンダー特有の爽やかさを有しながら、優しく可憐な甘さを感じることができます。「美郷町の初夏に美しい雪の結晶〝雪華〟が見られるように」との思いから名づけられた『美郷雪華』。初夏のラベンダー園では紫色と白色の美しいコントラストを楽しむことができます。近年はその白いラベンダーの評判を聞き県外から訪れる観光客も年々増加しています。
また、美郷雪華の花より採取された酵母「美郷雪華酵母」を使った日本酒や、美郷雪華から真空低温抽出法で抽出したフローラルウォーターを使用したルームフレグランスも商品化され、お土産としても大変好評です。
美郷町ラベンダー園”美郷雪華”
「美郷雪華」コレクションの品々
ホワイトラベンダー『美郷雪華』、美郷町の「清水」は、平成25年に連携協力協定を結んだ、日本航空㈱(JAL)発行の雑誌『SKYWARD』にも取り上げられ、美郷町を知っていただく機会も増えています。JALとの連携は、双方が所有する資源や機能等を活用することで相互の理解を深め、環境保全活動の推進と地域の活性化等を図ることを目的としています。
連携事業の内容は、JAL本社から社員の方々が来町し、水環境保全キャンプとして、住民と協力して清水の清掃活動を年1回行っているほか、冬期の降雪時期には地域貢献活動キャンプとして高齢者世帯の除雪活動を行っています。
このほか、水資源の根幹をなす水源涵養林の保全活動として町が行っている植樹活動への参加、町の観光資源ラベンダー園の空港PR、園児を対象とした『空育Ⓡ「折り紙ヒコーキ教室」』の開催など、JAL社員と美郷町民との直接交流を中心とした連携事業を行っています。
また、こうした機会に社員の皆さんが来町し、本町の観光資源や地域特産品などの情報を得て、広く発信していただくことで、新たな観光需要創出を図り、地域全体の活力向上を目指しています。
「空育」の折り紙ヒコーキ教室に興味津々
美郷町は㈱龍角散及び(公社)東京生薬協会と生薬の国内栽培体制の確立のため連携協定を締結しています。
美郷町の基盤産業は稲作を中心とした農業ですが、農業者の高齢化や担い手不足による休耕農地の増加が懸念されており、農地の有効活用による農業所得の向上を図るため、新たな農産物による産地化を模索していました。
高齢化社会の進展により漢方薬の需要の伸びが見込まれることや、原料となる生薬は、その大半を中国に頼っており「第二のレアアース化」が懸念されていること、また、かつて美郷町(旧六郷)でカンゾウが栽培されており、秋田藩内に広められた史実があることや、「ゴホンといえば龍角散」の㈱龍角散の創設者が美郷町出身であることに着目し、生薬を新たな農産物として産地化を目指すため“生薬の里美郷”構想を立ち上げ、平成25年2月に連携協定を締結しました。
現在、美郷町で取り組んでいる薬用植物は、カンゾウ、キキョウ、エイジツ、コウボクの4種で、カンゾウ、キキョウ、エイジツの3種は町試験圃場と町内の薬用植物栽培に興味のある農家の圃場で本格栽培に向けた試験栽培を行っています。コウボクについては町有林地に平成26年度から毎年100本の植樹を行っており、これまで400本が植樹されました。
今後は、生薬栽培に取り組む農家の拡大と医薬原料の基準となる薬効成分向上、各品目の地域に合った栽培方法と安定的な出荷生産体制の確立、新たな栽培品目の拡大などに取り組んでいく予定です。
コウボク薬樹の森植樹事業
「生薬の里」実現に向けた薬樹の森づくり活動
まちづくりの中で、特に力を注いでいる取組の一つに、2020年東京オリンピックに向けたタイ王国と美郷町との交流活動があります。
タイ王国と美郷町の交流のはじまりは、平成27年4月、タイ・ナショナルジュニアバドミントンチームが当町で合宿をしたことが契機となっています。この合宿の練習会場は平成19年に秋田県で開催された第62回国民体育大会「秋田わか杉国体」のバドミントン競技の会場であった美郷総合体育館「リリオス」でした。
また、宿泊施設は学校統合により廃校となった旧仙南東小学校を改修・整備し、平成27年4月にオープンした宿泊交流館「ワクアス」を提供しました。
この合宿により当町の練習環境が評価され、タイ王国において平成27年8月、タイ・バドミントン協会、秋田県、秋田県バドミントン協会、そして美郷町の4者による「相互の交流キャンプに関する基本合意書」を締結しました。こうした取組を経て、秋田県と美郷町は平成28年1月、2020年東京オリンピック「タイ王国」の〝ホストタウン”として登録されることになりました。
また、平成29年7月にはタイ王国において、タイ・バドミントン協会、秋田県、秋田県バドミントン協会と2020年東京オリンピックの「事前キャンプに関する基本合意書」を締結。同年9月には、タイ王国ナショナルチームが当町で合宿を行っております。
こうした経緯の過程においては、平成28年6月、美郷町長がタイ政府並びにタイのスポーツ庁を訪問するとともに、同年8月には駐日タイ王国特命全権大使バンサーン・ブンナーク閣下がご来町され、美郷総合体育館「リリオス」、美郷町宿泊交流館「ワクアス」などを視察されました。
当町では、これまでバドミントンを通じたタイ王国との交流や取組を主に行ってきましたが、同国の〝ホストタウン”として、文化的な面での取組も行うことで住民の機運をさらに高めることを目的に、平成29年10月1日から10月31日まで「タイ王国文化展」を美郷町学友館で開催しました。この展覧会では、在東京タイ王国大使館並びにタイ国政府観光庁東京事務所のご後援、国立民族学博物館の特別協力をいただき、各機関から提供していただいた資料約200点を展示しました。
タイ王国バドミントンナショナルチームによる美郷中学生へのバドミントンクリニック
タイ王国バドミントンナショナルチーム美郷町合宿風景
駐日タイ大使(右から2人目)来町(ワクアス内にて)
タイ・バドミントン協会と「事前キャンプに関する基本合意書」の締結
こうした国内外を問わない取組を通じ、各地域共通の課題である人口減少に対峙するとともに、町民が自らの町“美郷町”に誇りを持っていただくよう、今後も各般にわたる取組を重ねてまいります。皆様には秋田県美郷町への応援をよろしくお願いいたします。