2024.09.08

《秋田の三越》「お釣りはピン札、消費税は取らない」「休業後もネオン看板は灯り、草抜きも…」地元住民から「伝説」と呼ばれる「木内百貨店の謎」

「贈り物は木内」

秋田には「不思議」と呼ばれる百貨店がある。

店名は木内百貨店。JR秋田駅から徒歩10分。大通り沿いに構える同店は、かつて「秋田の三越」と呼ばれ、最盛期には130億円もの年間売上を誇った老舗百貨店だ。

前編記事『「従業員には朝礼で破産を告知」「日本の縮図」...地方で相次ぐ閉店で「百貨店業界」が直面している「悲惨な現実」』につづき、謎が謎を呼ぶ秋田の老舗デパートを紹介する。

 

地元住民が語る。

「昔は『贈り物は木内の包装紙でくるんでいないといけない』と言われるほど、市民の憧れの的だった。当時は屋上に観覧車が置かれた遊園地もあり、子供の頃は家族で木内に遊びに行くのが一番の楽しみだった」

なぜここまで秋田県民を惹きつけたのか。その理由にあるのが独特な経営スタイルだ。

「お釣りはすべてピン札。加えて商品は1万円の1万円、5000円なら5000円で販売する『消費税を取らないお店』として知られていた。営業時間は朝10時から午後5時まで。元々、定休日は木曜日でしたが、臨時休業前は水、木、日が休みで、週4日営業となっていました」(地元紙記者)

木内の創業は1889年(明治22年)まで遡る。秋田藩士であった木内俊茂が、前身となる木内商店を開業。1910年(明治43年)には座売陳列式を採用したうえで市内唯一となるウィンドウ付き店舗を設置し、話題を呼んだ。

昭和26年には百貨店としての営業をスタートさせ、32年に県内で初めてエスカレーターを導入。エスカレーターガールまで登場した。現在の木内百貨店が完成したのは1972年(昭和47年)のことだ。

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