総裁選の討論を見ていて不思議なのは、選択的夫婦別姓の議論で、候補者の誰一人「少数者の権利を多数決で決めるべきはない」と言わないことだ。 姓を失うことはアイデンティティ(自分であり続けること)を失うことだと感じる人がいる。この問題は通称使用の拡大では解決しない。 歴史を振り返れば、少数者の権利は多数者によって侵害されてきた。ハンセン病、水俣病、優生保護法、同性婚も同じ構図だ。少数者の権利を守るためには、多数決(世論調査)ではなく、人権そのものに意味があるという原理に立つ以外ない。 例外は危害原理(他者に対して危害が及ぶ場合)だ。該当するとしたら別姓を選択した夫婦間に生まれる子供(私は危害が及ぶとは思わないが、あえて言えば兄弟間で姓が異なる混乱?)だが、結婚時に子供の姓を決めておけば混乱は回避できるだろう。総裁選を契機に自民党はこの問題に正面から向き合うべきだ。
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