なぜマイナス75度必要?振動NG?コロナワクチン
新型コロナウイルスのワクチンについて、医療従事者への先行接種が始まった。「mRNAワクチン」という新しいタイプだ。超低温での保存が必要とされており、インフルエンザワクチンなどと比べ、取り扱いには注意が必要だ。なぜこうした性質があるのか。専門家に聞いた。
もっと高い温度でも保存可能になる?
米製薬大手ファイザーのワクチンは零下75度、米バイオ企業モデルナのワクチンは零下20度での保存が必要とされている。どちらにも、ウイルスの遺伝情報の一部が「mRNA」という成分として含まれている。接種すると、その情報をもとに体内でウイルスのたんぱく質がつくられる。これによって免疫細胞を活性化させ、感染に備えるしくみだ。
RNAワクチンに詳しい国立医薬品食品衛生研究所遺伝子医薬部の井上貴雄部長によると、超低温での保存が必要なのは、この遺伝情報をもつ成分「mRNA」の化学構造によるところが大きい。mRNAは「リボヌクレオチド」という物質が、鎖のようにたくさんつながってできている。だが、構造の特徴から、つなぎ目近くで化学反応が起きやすく、鎖が切れてしまいがちだ。これが「RNAは不安定」ということにつながる。
mRNAは私たちの体の中で…
- 杉浦奈実
- 熊本総局
- 専門・関心分野
- 生物多様性、環境、科学
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