裁判員選任手続き、3割超が「欠席」 長引く審理で敬遠?
裁判員制度の開始から21日で8年を迎えるのを前に、最高裁は裁判員を選ぶ手続きを欠席する人が増えている原因について、「審理の日数が長くなっていることが影響している可能性が高い」との分析結果をまとめた。直近の集計では3人に1人以上が欠席しており、最高裁は出席率を上げるための対策を検討する。
地裁は事件ごとに候補者に「選任手続き」への出席を求め、くじで裁判員を選ぶ。仕事や育児で辞退が認められた人を除いた候補者のうち、選任手続きに出席した人の割合(出席率)は、2016年が64.8%。制度が始まった09年の83.9%から下がり続けている。
最高裁は「司法への国民の参加という制度の趣旨に照らせば、より多くの候補者に選任手続きに出席してもらうことが望ましい」として、15年までのデータを基に初めて民間委託で出席率低下の原因を調査。その結果、審理日数の増加が影響している可能性が高いことが分かった。
審理予定日数は09年は平均3.4日だったが、16年は6.1日。開始当初の2倍近くになった。裁判員の負担を考えて1日あたりの開廷時間を短くしたり、量刑などを話し合う「評議」の時間を長く設けたりしていることが背景にあるとみられる。
最高裁は「審理日数を長くすることには一定の合理性があり、参加しやすい日程とのバランスについて議論を深める必要がある」と説明。選任手続きへの出席を促すため、呼び出しの通知を再送するなどの対策を検討する。英米の陪審員制度など海外の事情も調べ、改善につなげるという。