2020.09.13
# Vtuber

月給1000万円超のVtuberも!2大事務所「にじホロ」のスゴい戦略

急成長する市場と、ウラにある課題
古田 拓也 プロフィール

同社は今年の6月には任天堂、7月にはCAPCOMに無許諾で実況配信を行っていたことが明らかとなり、その度に声明の発表や、所属Vtuberの配信アーカイブを削除することとなった。さらに、8月には同社が新たにプロデュースするVtuberのひとりが、デビュー前に未公表の容姿等を漏洩したとして謹慎処分となり、31日に卒業(引退)を余儀なくされた。

他にも、炎上の話題は尽きない。過去にも、有力個人Vtuberがネット上での情報漏洩および誹謗中傷を行っていたという疑いが強まり、YouTubeでの活動を休止するといった騒ぎも発生している。

このような、”大人の事情”ともいうべきトラブルはファンの”興醒め”を引き起こす恐れがあり、ひいてはVtuber市場全体の縮小につながりかねない。この点で、事務所のマネジメントや人材の見極め能力がタレントの才能と同じ程度か、それ以上に求められてくることになるだろう。

2つ目の課題は、「ライバーの養成」だ。ライバーの養成とは、いわゆる「中の人」の養成だ。

Vtuber業界では、「中の人」を「魂」と呼ぶ習慣がある。そして、現在活躍している多くのVtuberの「魂」は、ニコニコ生放送といったのライブ配信のキャリア等を経て一定の実績を残した配信者やクリエイターの比率が高く、全くの素人から大手事務所のVtuberとなったタレントは数える程しかいないとみられている。

 

伝統的な芸能事務所では「才能あるもの」の採用のため、自社で候補生を養成し、才能に磨きをかけている。一方で、Vtuber事務所については、自社でのタレント養成に踏み切れていない。現状はオーディションに応募が殺到する買い手市場だが、いずれ鉱脈は枯渇し、有望な人材が市場に供給されなくなり、自社での養成が求められることになる可能性がある。

高成長を持続的に遂げるうえでは、事務所がVtuberの成功パターンを再現性のある形で構成し、経営資源としてのノウハウとして蓄積していくことが求められてくるだろう。

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