豹変した妻が信じたもの
2020年3月。
日本中が新型コロナウイルスの脅威に怯え始めていた頃、こんな夫婦がいた。
妻は、新たな感染症にかなり敏感だった。
が、数か月経った頃から妻の態度が激変する!
テレビを見ていると…突然妻が「マスコミってウソばっか」「コロナなんてただの風邪じゃん」「あんなん政府とテレビが大騒ぎしてるだけ」などと世間の報道とは、かけ離れたことを言い始めたのだ。
何か、おかしな情報を信じてしまったのか?と思った夫はこう言った。
夫「例えば、僕の友達にはメディア関係で働いてる人もいるし、かかりつけですごいお世話になってるお医者さんもいる。その人たちもみんなウソを言ってるってこと?」
すると妻は「その人たちは気づいてないだけ」と答えた。
こうして、コロナウイルスの情報が原因で夫婦は大喧嘩になったという。
夫によると、実は妻は新型コロナを恐れるがあまり自分なりにネットで調べ、さらに知り合いの話を聞くなどしているうちに、コロナワクチンに関するありえない情報が気になり検索を進めてしまっていた。
つまり根拠のないニセのデマ情報に妻は影響されてしまったのだ。
喧嘩をして以来、夫はコロナなどの話は避けるようにした。
妻もそれを避けているように見えた。
だが、「PCRはコロナ以外にも反応するんだよ!」などと妻からはたびたび根拠不明の情報が何度も送られてきた。
夫は、妻の考えを知るため妻が信じている情報を読み漁った。
しかし、全く理解ができない。
やがて、娘も妻に影響され「コロナはウソ~」などと言うようになった。
夫は、このままでは娘が学校でいじめを受けるかもしれない。
そう思い、妻が信じている事は根拠がないと厚生労働省などが出すデータを元に、説明をした。
だが、妻からは「あなたは専門家じゃない」と言われ聞き入れなかった。
その後、夫婦の間にほとんど会話はなくなり大切な家庭を壊さないために、干渉しない日々が続いた。
そんな中…届いた新型コロナワクチンの接種券。
妻からは死んでしまう人が多いからとワクチンを打つことを止められた。
娘からも反対されたが、夫は妻には言わずにワクチンを接種した。
副反応が出ても、妻にバレないようにビジネスホテルに泊まった。
妻はなぜこんなにもネット情報を信じたのか?
実は、夫婦や親子、または友人関係において、コロナに関する考え方の違いで苦しんでいる人は少なくない。
原因は一体何なのか?
専門家によると原因の一つにフィルターバブルというものが考えられるという。
フィルターバブルとはネット利用者個々の検索履歴などを勝手に自動的に分析し、個々が好きそうな情報を優先的に表示するため、自分の考えや価値観にあった情報のバブルに閉じ込められ、他の情報を見る機会を失う状態の事を言う。
そうなると、自分とは異なる意見が目に入りづらくなってしまい、「それが根拠のないものであっても目にしている情報が正しい」と思い込みやすくなる。
その代表的な例が2016年に行われたアメリカ大統領選挙と言われている。
SNSを駆使したトランプ氏。
支持者もFacebookなどSNSで応援をするとトランプ氏支持の投稿ばかりが表示され他のメディアが、トランプ氏の問題発言やスキャンダルなどを報じても、それを見ることはなくなっていく。
逆に、クリントン氏にまつわるスキャンダル虚偽の情報は次々とSNSで目にすることになってしまった!
専門家によると、日本では科学的に正しくないとされている情報は大手メディアが警告を出すなど対応を行っているためコロナワクチンに関してフィルターバブルの影響は小さくなっていると思われる。
ただ、対策が取られる前は、動画サイト等で一部の人たちですがコロナワクチンに関する政府の見解とは異なる情報ばかり出るようになったと言われている。
日本でこのような根拠のない情報が出回ったフィルターバブル以外の原因にエコーチェンバー現象が起きていたと考えられる。
エコーチェンバー現象とはSNSにおいて自分と似た価値観をもつ、ユーザーの主張ばかりを見ていると、そのような価値観を持った人たちが集まった世界でのやり取りが繰り返され、自分の意見や思想が肯定されるのであたかも世の中における正解であるかのごとく勘違いしてしまう現象。
今回の新型コロナに関する情報もワクチンに関する情報も同様に、自分自身がSNSなど狭いコミュニティーの中にいることに気づけない場合がありその場合、真実を見失いやすくなるので気をつけたい。