【高市早苗事件】日本の半導体産業を潰した高市エルピーダ国際犯罪を隠蔽する (2024.09.03) No.830




「WiLLというエセ愛国雑誌は単なる利権団体に過ぎないが、深田萌絵が高市早苗さんを批判していて”けしからん”という、しょうもない記事が出た。それに対して、私は全くおかしなことを言っていないことを詳しく説明していきたい。

半導体に関して、台湾の半導体利権をなぜか愛国雑誌が守ろうと必死になっているという構図が見えてきている。エルピーダが倒産した事件に関しては、坂本幸雄さんという元社長が『エルピーダが倒産したのは日本政府のせいであり、俺のせいではない』と主張しているが、実際はそうではない。

エルピーダ倒産は彼が仕組んだものであり、彼が政治家とタッグを組んで、日本政府から金を巻き上げ、さらに合法的に台湾に技術を移転し、日本のエルピーダを倒産させた後、株主である日本の投資家にはお金を返さず、台湾の投資家にだけお金を返した。こうして日本からDRAMメモリの会社は消え、その技術は台湾や中国に渡り、彼らが経済成長している。

これを可能にしたのは、二階俊博氏が経産大臣、高市早苗さんが経産副大臣だった時代の産活法という法律が元になっている。エルピーダという日本の半導体企業、DRAM企業は2009年に産活法に認定された。この法律により、エルピーダは資金に困っていたところ国から300億円をもらった。

産活法認定 経済産業省
『具体的には、今回の再構築計画の骨子は、大きく次の2つとする。まず、当社の広島工場を、より高付加価値かつ高生産性を実現できる最先端の設備(半導体の回路微細化レベル50nmを可能とする最先端設備)を主とする工場へと転換させるために、財務基盤を強化し、研究開発投資資金と設備投資資金を確保する。次に、汎用DRAMの製造の主軸を台湾に移行させるために、台湾DRAMメーカーとの関係性を構築・強化する。具合的には、現在、台湾当局主導により台湾のDRAMメーカーを1つのDRAM企業(台湾メモリーカンパニー(仮称)(以下「TMC」という。)(平成21年度中に設立予定))に集約させる検討が進められているが、そのTMCとの連携を強化し、資本面での提携も視野に入れた関係を構築・強化する方向で協議・調整を行う』

経産官僚は今回のTSMCと日本の提携について白々しいことを言っている。日本企業はダメになったため、日の丸半導体はすべて失敗してきた。だからこそ国際連携が必要であり、日台連携での半導体提携は初めてだから、台湾で成功しているTSMCと組むことが日本の半導体を復興させる鍵だと言っている。しかし、2009年にエルピーダがすでに日台連合を作り出し、それで台湾に技術を盗み取られて倒産したという実績がある。

そもそも、なぜ台湾の半導体と提携しなければならなかったのか。この産活法の認定で、『より高付加価値かつ高生産性を実現できる最先端の設備を備える工場へと転換させるために財務基盤を強化する』といった内容があるのに、なぜ設備投資資金を確保して台湾に製造を移管するのか。矛盾している。

ところが、エセ愛国雑誌WiLLは政治のことだけやっていればいいのに、経済や産業の話をしようとするから、トンチンカンなことを言ってしまう。坂本幸雄さんが言っていることがすべて正しいから、深田が言っていることは間違っていると主張する。

坂本幸雄社長という人はとんでもない詐欺師である。実は、彼は台湾ライトンの日本法人の取締役を務めていた。ライトンは、はっきり言ってエルピーダの競合企業である。これはどういうことかというと、日産の社長が起亜自動車や現代自動車の取締役に就任したと発表するようなものであり、背信行為ではないか。そもそも、なぜ日本の半導体企業の社長が外国の半導体企業の取締役に就任しているのか。また、なぜ外国の半導体企業が栄え、日本の半導体企業だけが倒産しているのか。これは坂本社長が潰したのではないかという話である。

当時、エルピーダが何をしていたかというと、エルピーダの社長である坂本幸雄氏がライトンの取締役を務め、その時に別途、坂本氏が株主のRAMAXELという会社を作り、そのRAMAXELからファーウェイにDRAMを納品するという仕事をしていたことが判明している。

なぜエルピーダから直接売らなかったのか。なぜRAMAXELという中国のDRAMモジュール大手の株主になり、そこからDRAMを納品していたのか。この点には謎が残る。これは背任行為ではないのだろうか。背任行為かどうかは分からないが、詐欺師のようである。

エルピーダはパワーチップという会社とパートナーになったのだが、このパワーチップからTSMCに技術が流出したのではないかと疑われている。2011年にパワーチップが製造するDRAM製品を全量購入することに合意しているのだが、パワーチップの半導体はTSMCが作っているわけであるから、TSMCが作り出したDRAMは、エルピーダは赤字になっても全て購入しなければならないという不平等条約を結ばされていたということである。なぜ経産省がこれに絡んでいたのか理解に苦しむ。

さらに、2011年にエルピーダ、PTI、UMCの3社が28ナノを含む先端技術向けのTSVに関する共同開発及びビジネス協力に正式契約を結び、エルピーダが持っていた最先端の28ナノ技術が台湾に移管された。そして2022年、エルピーダが台湾に無償で与えた28ナノ技術を、TSMCから日本は4750億円を払って買い戻すという馬鹿げた取引が行われた。

これは完全に詐欺であり、日本の政治家はこれをすべて理解しているはずだ。特に高市早苗さんは、2009年に自身が変更した産活法によって台湾に技術を移転し、10年後に同じ技術を4750億円という高額で買い戻すという詐欺行為を理解しているに違いない。

それでも坂本幸雄氏が良い人だと思う方がいたなら、それはとんでもないお人好しである。エルピーダの元社長である坂本幸雄氏について、エルピーダの有価証券報告書には日本ライトンの取締役であることは一切記載されていないが、日本ライトオンの有価証券報告書には、彼がエルピーダの代表取締役であることが明記されている。このような重要事項がエルピーダの有価証券報告書に書かれていなかった、隠蔽されていたというのは、一種の虚偽記載である。

また、エルピーダは、台湾のパワーチップと「レックスチップ」という会社を共同で設立している。
2006(平成18)年12月07日
台湾パワーチップとの合弁会社、台湾レックスチップ(瑞晶電子)設立発表
『エルピーダ・PSC 台湾におけるDRAM生産合弁会社設立に基本合意』
エルピーダメモリ株式会社とパワーチップ Semicondutor Corp(PSC)は台中にあるサイエンスパーク内にあらたにDRAM生産合弁会社を設立することに関し、基本合意に至ったことを発表いたします。(中略)
PSC、ChairmanのDr.Frank Huangは次のようにコメントしています。「エルピーダとPSC との強力なリレーションシップを重要視し、大規模な投資先として、シンガポールや中国、日本国内でもなく台湾を選びました。このような提携がなければ、台湾におけるDRAM生産規模を急速に拡大することはできないでしょう。PSCは新会社での成果を生かして、世界レベルのメモリソリューションカンパニーとしての地位を確保していく所存です。」

これはどういうことかというと、エルピーダは台湾にかなりの投資をしており、それで資金が足りなくなったために日本政府に資金援助を求め、それを受けて、さらに台湾に投資している。そして、台湾のパワーチップと合弁会社を設立し、日本で生産すればいいものを、わざわざ台湾に製造工場を作って増産しているということである。

この時のパワーチップのチェアマンが述べた通り、エルピーダは大規模投資先として台湾を選んだ。なぜ台湾なのか?台湾でのDRAM生産規模を急速に拡大することができたのは、エルピーダのおかげであると言われているが、台湾パワーチップという会社がどういう会社なのかというと、パワーチップの社長は2007年3月にインサイダー取引の容疑で起訴され、2010年には背任罪で起訴され、2013年に有罪判決を受けている。このような企業と提携していたのである。

また、2018年に発生したJHICC事件を覚えているだろうか。
『2018年10月 台湾聯華電子(UMC)と同社幹部らが米国マイクロンのDRAM技術を違法に入手し中国の福建省晋華集成電路(JHICC)に技術移転しようとしたとして米国司法省から提訴された』
という事件である。

JHICCは中国のDRAMの会社であり、このDRAM会社が台湾のUMCと製造技術開発契約を締結している。ところが、この日本UMCの社長は一時期坂本幸雄氏であった。彼は技術移転をおこなうことを生業としていたのではないかと思うくらい、色々なところに顔を出していた。

『検証ポイント:起訴された台湾UMCの幹部はエルピーダ台湾連携の中軸である台湾パワーチップ社出身の元エルピーダ子会社の経営幹部である。この様な企業にエルピーダを経由し、日本の公的資金が投資されたのか?』
台湾連携強化のために経産省はエルピーダに公的資金投入をおこなった。そして、エルピーダと台湾パワーチップは提携し、合弁会社 台湾レックスチップを設立した。そして、エルピーダは米国マイクロンに売却され、倒産した。エルピーダと同様のDRAMメモリが深圳闇市場に大量に流出し、DRAM価格が暴落して倒産に至ったのである。社長がそのようなことをおこなっていたのだから当然の結果である。

エルピーダは米国マイクロンの子会社となり、台湾レックスチップも同様に米国マイクロンの子会社となった。そして、台湾パワーチップ出身の台湾レックスチップの経営幹部が、そのままUMCの経営幹部に就任するという茶番劇がおこなわれた。ここまでで、十分に日本と台湾の連携は崩壊している。台湾だけが利益を得て日本は損失を被るという構図が出来上がってしまっている。

そのような状況であるにもかかわらず、さらに日台の関係を強化するために2010年に産活法の計画変更が行われた。『日台間の連携、支援措置の活用を含め、さらなる提携を視野に入れて関係を構築・強化する』ということが述べられ、ここから更に、日本は狂ったように台湾に多くのものを吸い取られていく。

TMC(台湾メモリカンパニー)構想が破綻したにもかかわらず、なぜ更なる台湾との連携強化が推進されたのか?これが謎である。台湾メモリカンパニー構想は失敗しているにもかかわらず、その失敗を見直すことなく、さらなる連携強化を経済産業省は進めてきたのである。その当時の経済産業大臣、副大臣は誰だったのかということだが、これが日本救済ではなく、台湾半導体の救済であったことは明白である。

産活法の検証ポイントは、当時の二階大臣と高市副大臣、経済産業省の商務情報政策局が主体となって計画を認定していたのだが、その際に発生したのが、経済産業省審議官によるインサイダー取引事件であり、その際の情報国際企画室が足立康史氏だったということである。

私がなぜ足立康史氏にまで噛みつかれているのか、皆さんも少し気づかれたかもしれない。この話は非常に複雑で大きな問題であるため、すべてを話すとなると1時間、2時間とかかってしまうため、今日はこのくらいにしておこうと思う。

このエルピーダ事件により、日本の経済成長は確実に阻害されている。エルピーダという日本のDRAM技術を結集した企業があり、その技術を台湾に移転するために、当時の経済産業省の大臣や副大臣が産活法を利用したのである。この産活法によってお金を提供し、その代わりに台湾と連携し、台湾に技術を移転するというのが実態であった。

その結果、エルピーダは倒産し、私たち日本人は日の丸半導体企業であるエルピーダメモリを失い、今や米国マイクロンの子会社となって一体化している。多くのものを失ったのである。それを振り返って検証もせずに、TSMCに資金を流すことに対して、私が文句を言うことがおかしいとは思わない。

そして、『IT戦争の支配者たち』という本に多くのことを書いている。エルピーダ事件のことも少し書かれている。こういった事件について、高市氏が知らないとは思えない。高市氏ほど経済安全保障に詳しく、半導体についても分かっている人はいないからである。彼女が分かっていないとは思えない。

本来ならば、今のTSMCへの助成金も止めなければならない。なぜならば、2009年の産活法のもとでエルピーダに流れたお金は台湾に流れ、技術もエルピーダから台湾に流出し、日本は多くのものを失ったからである。

2021年から始まった半導体不足は、本来ならば起こるはずがなかった。日本が今でも半導体製造を国内に留めていれば、そのような事態は避けられたはずだ。日本企業に助成金を提供し、製造力を高めておけば、日本で半導体不足は起こらなかっただろう。それははっきりと言えることである。それをなぜ、自称愛国者と称する雑誌がこの事実を隠蔽しようとするのか。それは私にとって許せないことである。

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