二次創作・総合目次



・ストリートファイターシリーズ、シュガーラッシュ、ツイステッドワンダーランド、奇面組シリーズなどの二次創作小説を扱っています。
・基本的にクロスオーバー大好き人間なので、今現在置いてある小説は上記の何かしらのクロスオーバーになります。
・そしてお耽美ナルシストキャラ大好きでもあるので、メインになるキャラはストファイならバルログ、ツイステならポムの3人、奇面組なら色男組になります。


ストリートファイターⅡ×シュガーラッシュ
 Beauty'sDutyシリーズ(長編)
 映画シュガーラッシュのゲーセンに住むストⅡのバルログが主人公の長編及び派生作品ですが、頁数多いのでリンク先にまとめてあります。女体化あるので注意。


ストリートファイターV×ツイステッドワンダーランド×シュガーラッシュ:オンライン
 美の競宴・他
 もしもバルログとヴィル・ルーク・エペルが知り合ったら。世界観としてはシュガラ同様、各キャラ自分がゲームキャラだという認識を持っています。
 下記の『アダムとイブと林檎達』と顔ぶれはほぼ同じですが、また別の世界線での話です。

 アダムとイブと林檎達
 バルログの女体化MODコピーである主人公が、バルログ本体による支配を逃れ『ツイステッド・ワンダーランド』なるゲームへと侵入し、3人の少年と出会う。
 女体化MODがヴィルを口説いたりルクハンと恋仲になったりするけど怒らない方のみどうぞ。

 硝煙のサバト
 女体化したヴィル、ルクハン、エペルが女体化MODのバルログと共に『スローター・レース』でギャングを組む話。イデアも参謀的に登場する。無印は基本的に女ヴィル中心、冥王編以降は女バルログとイデア中心に進む。


ツイステッドワンダーランド×ハイスクール!奇面組
 ポムフィオーレ!色男組  
 体育倉庫で見つけた鏡から、ツイステッドワンダーランドはポムフィオーレ寮に飛ばされた色男組の面々の話。


ツイステキャラのぬいぐるみのお話(絵本風)
 じょしゅせきのルーク・ヴィル・エペル
 大体トイストーリーみたいな世界観。


その他
 一次創作
 だいたい二次創作をオリジナルに換骨奪胎したもの。

  

目次・アダムとイブと林檎達

これは『シュガーラッシュ:オンライン』のオンライン世界に住む『ストリートファイターV』及び『ツイステッド・ワンダーランド』のキャラの登場する小説です。以下のあらすじを読んで大丈夫!という方……いなそうだけど何処かにいると願って、載せます。

アダムとイブと林檎達

<あらすじ>
『ストリート・ファイターV』(以下ストV)のバルログの女体化MODとして生まれた主人公は、本来の自分の姿でもある男のバルログから寵愛を受けていた。だが彼を愛しながらも“自己”というものに疑問を抱いた彼女は、ある日とうとうストVから逃亡する。
行き先は『ツイステッド・ワンダーランド』(以下ツイステ)。そこに住む少年ヴィル・シェーンハイトの美しさでバルログのことを忘れようと考えた彼女だったが、ヴィルは専らの塩対応。代わりにルーク・ハントという少年が彼女の世話を焼いてくれることに。自らにボニータという新しい名を付けた彼女は、ヴィルとルーク、更に彼らの後輩のエペル・フェルミエの3人の少年に囲まれ新生活を始めるが……。
一方、バルログは逃げた自分の女体化MODを追っているうち、18禁レースゲーム『スローター・レース』のシャンクの異変を知るのだった。


<本編>
 1.エンシエロ
 2.フーガ
 3.ボニータ
 4.マドモアゼル・ラーテル
 5.新天地
 6.ゴースト・インザ・ミラー
 7.荒野に至る
 8.ヴィーナスの原罪
 9.何処か奇妙な男
 10.見下ろす六の瞳
 11.仮面の襲撃者
 12.ヴィア・ドロローサ
 13.青い果実
 14.サイクロンと色悪論
 15.嵐の中で


<脇を彩るサブキャラ達一覧>
・ストVより   いぶき&どんちゃん(2、3話)、ジュリ(7話)
・ツイステより リリア(7話) 、フロイド&ジェイド(15話)
・シュガラより ノウズモア(1、2、5話)、シャンク(9話)、ヴァネロペ(9話)

  

バルログとバルログ♀と2人の美少年

※こちらはメタバースではなくて、現実としてのストリートファイターシリーズが舞台になります。2人の少年は別作品の版権キャラですが、あくまでも「バルログの私生活譚」が主題なのでその旨はあえて明記しません(著作権的な問題が生じるなら明記します)。


バルログとバルログ♀と2人の美少年


 燦々と陽光を反射する聖母教会の青いドーム屋根、立ち並ぶ真っ白い家々。そして何処までも広がる紺碧の地中海。その風光明媚さで「スペインのサントリーニ」と称されるアルテアの地に、バルログの別荘はあった。
 今まさにヴィーナスベルトを描きゆくマジックアワーの空を眺め、バルログはバルコニーでシャブリを一口味わう。その芳醇さは脳を蕩かし、頬を優しく撫でる風、微かな潮の香り。何と美しいひとときか!
 もっとも、彼が今此処にいるのは決してこの美がために非ず。もっと遥かに美しいものを見守るためだった。

 彼はバルコニーの柵にもたれ掛かり、隣室のベッドに横たわる薄紫のランジェリー姿の女に目を遣る。
 なだらかなS字カーブを描くボディラインは彼自身のそれとは異なるが、その顔は鏡映しの如き瓜二つ。深く碧い瞳に、艶やかな栗色の髪も……。

 あまりにも完成された美しさ。うつし世に顕現せしヴィーナス。
 あるいは……――。

 バルログは瞬きとともにフッと浮かんだその名を打ち消し、ボーという汽笛をひとつ聞くと再び女を見た。

 ――私のクローン。私というアダムのイヴ。
 愛しのボニータ(美しいひと)。
 そう、彼女はありったけの技術を駆使して作り上げた、女の肉体をした彼自身。
 亡き母と同じ美しいソプラノボイス。性格に嗜好、生まれてから今日に至るまでの記憶も全てバルログ自身と共有している――そう、悲しみだって分け合える存在。
 あのセスなどというガラクタとはわけ違う。その完成度、現代のガラテア。

「ケ・エルモッサ(美しい)……」
 バルログはまた深くため息をつく。

 しかしながら、今はその美に100%耽溺できる状況ではないのもまた事実である。
 理由は、彼女の隣にこんもりと存在する大人1人分のシーツの膨らみだ。なかんずく、女の丸い尻に当たる位置で主張しているあの屹立が……。

 彼女はそんなバルログの視線をとっくに察知し、わざと挑発するようにシーツをハラリとめくってみせるのだった。
 かくしてそこから現れたのは、亀甲縛りを施され猿轡を咬まされた1人の男である。
 ヒョロヒョロと痩せこけているが、頭身は高く脚も長くプロポーション自体は良い。
 雪花石膏の肌、顔立ちだって整っているがその目は死んでいる――…まるで、地獄の風景でも映し出しそうな、何とも不愉快な陰鬱さのある瞳なのだ。
 それから非常に形容しがたいのがその髪質で……美しいとか醜いとか以前に……いや言っても誰も信じないだろう。ただ…ただボウボウしているとだけ述べておく。まあ、それはそれで美しくはある。
 此奴は、彼女が手元に置いている玩具のうちの片方で、出身はわからないがギリシャ系の少年である。

「今日1日、このままお前を転がしておこうか」
 女の嗜虐欲に満ちた言葉が窓越しに聞こえてきた。力なく首を横に振る少年に、彼女は変わらず威厳を持って続ける。
「……ふん。お前の方はテクもまだないし、どうせ部屋に帰ったところでゴロゴロしながらくだらないジャパニメーションを見て、ベタベタ菓子を貪った手でピコピコゲームして寝るだけなんだろう?……18にもなって幼子の生活じゃないか!それならここでゴロゴロ悶え転げている方が遥か美しいわ」
 少年はその“猫のような”瞳に抗議の念を浮かべていたが、彼女がランジェリーの胸元を開きそのたわわな乳房を露わにすれば、たちまち男の貌へと変わっていった。
 女を愛している素振りを頑なに見せない男ほど、情欲に支配される一瞬が如実に浮き彫りになるもの。それは多いに滑稽でもあり、「私の女を貴様如きが眼差すな」というバルログ自身の嫉妬心をも煽ってくれる。
 だがその一方で、「やはり彼女は、もとい彼女の素体たる私は美しいのだ」という安堵を覚えるのだから複雑なのであった。

 この少年は、以前彼女が1ヶ月ほど行方不明になった時に、彼女に連れられもう1人の“玩具”と共に何処かからひょっこりとやってきた。以来、彼女の推薦で屋敷のセキュリティ管理及び情報収集担当(ありていに言えばハッカーだ)として使っているが、バルログはその時から此奴が好きになれなかった。
 容貌こそ美しいと言えるが、終始そわそわオドオドしているその態度には美のかけらも見いだせない。もっともその分、自らの半身もまたこの男を愛することはないだろうというのが、あの時のせめてもの救いであった。だって彼女の嗜好は、バルログ自身と同じなのだから。
 それに少年の技術自体は確かなもので、屋敷には“ネズミ”一匹侵入しなくなったし、世界中の極秘情報がたちまちバルログの元へ集まってくるようにもなった。
 態度が美しくないのなら、こちらからわざわざ触れなければよい。この男はただの情報端末だ。そう割り切ってやってきたのに、いつの間にか――…………。

「ん~~~!」
 ガラス越しに少年の呻き声。彼女が彼の一物をいじり始めたのだ。包皮を引っ張って亀頭を出したり引っ込めたりして遊んでいる。
 彼女は肉体こそ女であるが、内蔵記憶が男のそれなら生まれ持った性自認もまたそうなわけで、男性器に対して失くした宝物のような執着を持っていた。
 ――そう、まだ彼女がバルログと同衾してくれていた頃から。
 あの頃は……彼女はちゃんと彼女自身のアダムを愛していたのだ。
 それなのに……。

「……全く、こんな美しい男を忘れ次から次へと……」
 バルログはひとりそう呟くと、2人に背を向け遠く海へとワイングラスを投げ捨てる。それは何処かでパリンと音を立てて散っていった。

「Oh,la,la。全くその通りです、ムシュー」
 ひょうひょうとした男の声がバルコニーの柵の向こう、女の部屋からは死角となる屋根の上から聞こえ、バルログはチラと横目で声の主を一瞥する。
 かくしてオレンジ色のスペイン瓦の上を軽やかなステップでやって来たのは、彼女のもうひとりの閨房玩具――彼女自身は“私の恋人”と呼んでいるフランス系の少年であった。

「ふん…お前もあの辛気臭い男が目障りか。自分だけが選ばれたと余裕ぶっていたのに、残念だったな」
 バルログがそう言い放つと、相手は実に優雅に柵を飛び越え、物音ひとつ立てずにバルコニーへと着地した。十分にニンジャとして通ずるその身体能力。今ベッドにいる少年より背丈こそ低いが、つくべき所にしっかり筋肉のついた美しい肉体を持っている。
 バルログの質問に対し、相手はサラリとしたブロンドを風に靡かせ、涼やかに整った顔に屈託のない笑みを浮かべこう答えた。
「ノン、ムシュー。私はあなたの葛藤を鏡のように映してみたまで。……私にとって彼は大切なモナミ(友達)。マシェリ(恋人)とモナミがお互いの美しさに惹かれ合うのはたいへん喜ばしいこと」
「ふん……」
「私は今、木の枝に留まりしカッコウ。クックー、クックー」

 また今日も、背筋がゾクリとする。バルログは目の前の男に、得体のしれない不気味さを覚えずにはいられないのだ。
 自尊心のかけらもない発言をしているはずなのに、皮肉めいた含みもなければ愚鈍さも感じさせず、あくまでそれが本音であるかのように底を見せない男。
 本当に、何て気味が悪いのだろう。

 だが、一方で美しくもある。その顔や体は勿論、一挙手一投足に洗練された貴族的優雅さと野生動物のような我武者羅な強さが共存している。美術にオペラ、社交ダンスに狩猟…と趣味だって良いと来れば……。
 彼女を虜にするのも致し方ない、とため息をつくだけの資質がこの者にはあった――ただひとつ、得体の知れないまでの前向きさを除けば。

 この少年がなぜ此処にいるのかは先述した通りだが、こちらは現れたその時から彼女の恋人を名乗っていた点がもう1人とは違った。以来、ずっとしれっとした顔でこの屋敷に居ついている。
 彼女に「この男らは何処で見つけた?」と尋問しても「さあ……?鏡の向こうの世界かな?」としらばっくれるばかりだった。此奴の方は言語から察するに、国境を越えフランスで出会ったのだと推測するが。

 また此奴は格闘センスがあったので、物理的な“ネズミ”除けに使えた。彼は次々に屋敷に侵入しようとした者どもを笑顔で捕えた。加えて忠実な気質、存在の胡散臭さと引き換えにできるだけの利便性が確かにあった。

 けれど求めたのはあくまで利便性に過ぎず、彼女のベッドを汚す玩具などでは断じてない!
 一体何なのだ、この失楽園は!?

 するとパタン、と隣室の窓が開く音がして女の声と足音が続く。
「何だ、2人してコソコソと。次の狩りの打ち合わせか?」
「マシェリ、ボニータさん!このアルテアの地を照らす太陽よりも眩しい姿でお出ましとは!」
 少年は、バルコニーに上がってきたランジェリー姿の彼女にそう声をかけ歩み寄る。
 美しいひと、というバルログの呼びかけを、女はいつの間にか全ての者が呼ぶべき自らの名としていた。

「ああ申し訳ない、ミ・アモール(私の恋人)。今は手が汚れていてキミを抱きしめられないよ」
 彼女は少年にそう返し、精液で汚れた手をシルクのハンカチでこれ見よがしに拭き取ると、それを風に乗せ何処かへと捨てた。

 それから彼女は、少しばかりうんざりといった瞳をバルログに向けこう言い放つ。
「……ニンジャなら、少しは相手に悟られぬよう潜んだらどうだ?ミ・アダム(私のアダム)」
「……フッ。なに、鏡を見るのに注意など払う必要が何処にあるかね。ミ・コスティージャ(私の肋骨)」
 そうは言ってみせるが、この女は実質イヴというよりはリリスに近いのだろう、不本意ながら。
「ふん……」
「ふん」
「Oh,la,la!2人とも本当にポージングまで鏡映しだ。……つくづく、あなた方ご兄妹は似ていらっしゃる!」
 そうだ、我々は鏡そのもの――玩具どもはまだその事実を知らない。
 そして、彼女はもう鏡に映る半身ではなく、その向こうの向こう、“他者”を求めてしまっている。
 夕焼けに染まる少年の横顔の、何と若く瑞々しいことよ。

「うぅ~~~」
 バルログの想いを代弁するかのように、隣室から男の嘆きが聞こえてきた。

 終

  

「硝煙のサバト」目次

※23/7/29更新→ 災禍の産声 ※23/8/12更新→ 選んだこのルート

硝煙のサバト

                  sabbat1.jpg

この物語は映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』の世界にいる『ツイステッドワンダーランド』、『ストリートファイターV』のキャラを扱ったクロスオーバー作品になります。サラッと女体化しています。男性バージョンも某所にアップしてあるので気になったら探してみてください。尚、時系列はバラバラのオムニバスになりますので何処からでもどうぞ。

<あらすじ>
 ソーシャルゲーム『ツイステッドワンダーランド』のヴィル・シェーンハイト、ルーク・ハント、エペル・フェルミエの女体化キャラとして『MOD Creator』で生を受けた3人の少女。彼女達はオリジナルのルーク・ハントに連れられ『スローター・レース』というレースゲームへやってきた。そこで3人を迎えたのは、ルーク・ハントの恋人だというボニータという女である。彼女もまたMODであり、そのベースとなっているのは格闘ゲーム『ストリートファイターV』のプレイアブルキャラ・バルログだった。
 女ヴィル、女ルーク、女エペルは各々アグライア、エウプロシュネ(プロシュ)、タレイアという新しい名をボニータより賜り、彼女の応援部隊としてスローター・レースの中で生きることに。ところがすぐにボニータと打ち解けたプロシュやタレイアと違い、アグライア1人はどうにも彼女と折り合いが悪く……?
 この物語はそんな女ヴィルことアグライアを主人公に進んでいく。

キャラ紹介
不協和音のサバト  登場キャラ4人こんな感じだよ、って概要代わりのSS。
悪の華  粗暴な相手との抗争で傷心のアグライア。ボニータは気分転換に3人を花畑に連れて行くというが……。
レーヌとランペラトリス  何としてもマウントを取るボニータに苦悩するアグライアは、シャンクとヴァネロペに相談を持ち掛ける。 
鏡に閉じ込められた男 ボニータの手で鏡張りの部屋に幽閉されたアグライアは憔悴していた。ゲストにレックイット・ラルフ。
プリンセスのように  実はお互い「アイツに暗殺されるのでは」と案じているアグライアとボニータ。後半はエウプロシュネ視点で。
招かれた野獣  ボニータ視点の話。ある日プロシュの部屋に行ったらそこにはなぜかストVのブランカがいて……!?
花、ひらく。  ストVのリュウに惹かれ「日本の春が似合う女性」を目指すタレイア。そこへツイステからイデアがやって来て……?
雪化粧にラフレシア 神月かりんとある勝負に出るアグライア。一方プロシュとタレイアの元へブランカとイデアが各々訪れていた。
悪魔を映す鏡 イデアの悪態に憤慨するボニータだが、彼の方にも言い分はあった。ルッキズムに斬り込む一作。
肖像の女 ↑の続編。イデアに心が傾きかけているボニータが恋人ルークと対面。ルークは彼女をスケッチしたいと言い出す。
禁断の果実  プロ・アグ・タレ3人の謀議。実際にあったテロ事件をモデルにした話なので、敏感な方は読まないように。
正しさと邪悪さと美しさと  アグライアの裏切りで逮捕・収監された他の3人。彼女の思惑は一体?
レッドシューズ・アー・ニューブラック 服役中の4人の生活を、前半ボニータ後半タレイア視点で。ゲストにタフィタとキャンドルヘッド。

硝煙のサバト・冥王編

出所後に2ルート目を歩むサバトの4人の新章。
ボニータはイデア・シュラウドを新たにMOD化させ参謀に置きつつ、彼を情夫として飼い慣らそうとする。
プロシュはそんなボニータの生活を許す交換条件として、自身も2体のMODブランカを手元に置くことに。
アグライアはルーク・ハント(素体)のある企みに乗りつつ、ボニータの命でイデアを垢ぬけさせることに。
タレイアはイデアの出現により現状の自分に疑問を覚えつつ、私生活では春日野さくらと友好を築いていた。
他にオルト×ミンティ・サクラのカプも登場する。

・始まりの章
 1.各々のルート2 上記通り。オルト、ミンティ・サクラ、春日野さくら、ばるさん(ネコドロップ)が新たに登場。
 2.その冷たい瞳を アグライアへのとある任務と、ピロートーク中にラルフウイルスについてボニータに教えるイデア。
 3.交換条件 ボニータがイデアを、プロシュがジミー(ブランカ)を各々家に住まわせることになった経緯。
 4.存在理由 イデアが自分達3人のように女体化していないのが腑に落ちないタレイアの話。シュガラレーサーズも登場。
 5.偽装交際 ルーク・ハントと恋人のフリをしてバズチューブでデートするアグライア。
 6.人と傀儡の狭間 イデアの元に「大事な話がある」とオルトがやってきたが……。
 7.あなたの二番目に イデアからとうとう、二股かけている現状にキレられるボニータ。性描写あり。
 8.狩人の来訪 1人で留守番しているイデアの元へ、突然ルークが訪問してくる。
 9.フォルム・ドゥ・アムール ボニータはイデアとの関係をプロシュに打ち明けるが、彼女もまたジミーと奇妙な関係を築いていた。
 10.ボスのオトコ サバトの中で台頭してくる修羅道ことイデアに警戒心を抱くアグライア。
 11.美しきフィナーレ イデアの事でいぶきと喧嘩したボニータは、バルログとルーク・ハントにその経緯を尋問される。
 12.チャイナアドバイス 晩餐中のボニータの恋バナに対するアグライアの対応を、タレイア視点で。

・中章
 1.オルフェウスの逡巡 前後編。「サバトの4人が死んだまま息を吹き返さない」とバルログ、ルーク、ヴィル、エペルへ知らせが届く。
 2.雨の日は人魚 ボニータが〇〇ー〇氏と浮気するのでは?というイデアの被害妄想が騒動に。
 3.インディペンデンス ジミー2と街に繰り出したタレイアは、倒れているオルトに遭遇するが……。
 4.極上の修羅、崖っぷちのカリス 順風満帆なイデアと彼を失脚させたいアグライア。
 5.ラーテルのしっぽ アグライアはイデア失脚のためヴィルとバルログにある交渉を試みる。ゲストに神月かりん。
 6.選んだこのルート イデアとタレイアはボニータに縄抜け術を教わることになった。  New!!('23/8/12)

・パンデミックの章
 1.ガブリエルのように ボニータに妊娠疑惑が持ち上がりオルトが診察するが、もっと意外な診断が下される。
 2.悪魔と冥王 「ガブリエルのように」の診断結果にはどんな事情で至ったのか。
 3.嵐の前の静けさ 災禍の前の四者四様。後半に濡れ場あり。ゲストに春日野さくらとメナト。
 4.オルギアへのいざない 災禍への第一歩。ボニータは他の3人に房中術のレッスンをしようとベッドに誘う。百合。
 5.災禍の産声 ボニータはイデアにウイルスの正体を教えてもらう。他の3人は各々“悪しき別の自分”の存在を知る。

※性描写アリのもの
ざくろをひとつ ボニータがイデアを襲う一部始終を、盗聴したプロシュ視点で。プロシュによるブランカ調教もアリ。
百合咲くエデン イデア作の百合エロゲ脚本を読んだプロシュが、サーバーを借りてその世界を実際に作ろうと言い出す。


イメージソング:『品川ナンバー』 相対性理論、『やさしい悪魔』 キャンディーズ
イメージCV:アグライア→宮沢エマ、プロシュ→中川翔子、タレイア→王林、ボニータ→篠原涼子 で、ヨロシクです。

  

選んだこのルート

女体化クロスオーバーシリーズの4人が出所後に歩む2ルート目の物語。

『硝煙のサバト・冥王編』

 中章の6 選んだこのルート

 リビングの大きな鏡が、正座するイデアとタレイアを映し出していた。健康的な肌艶で瞳を輝かせているタレイアに比べ、自分は何と全てが不健康なのだろう…とイデアは鏡から目を反らす。チェストの上ではばるさんが、その柔らかい体を器用にグルーミングしながら、今まさに始まる人間の得体の知れぬ所業を見下ろしていた。

「縄抜けは間接の外し方が肝なんだ。まずはタレイアが見本を見せるから、イデアよく見てなさい」
 その言葉と共にボニータが、2人の背後に麻縄をピンピンと張りながら現れる。その瞳は嗜虐的にギラリと光って見えた。
「…おかのした」
「はい!お師匠」
 そしてタレイアの細い体に、キツく縄が食い込んでいく。
「ぐっ…キツ……ッ」
 少女の苦悶に呻く表情と強調される体の線は、イデアにほのかな劣情を憶えさせた。一見するとエペルだった頃と何ら変わらないタレイアの肉体だが、今確かに男ではなく女のそれだと証が浮かび上がっている。
 それに、楽しみながら実に器用に少女を緊縛していくボニータに、性交時のそれとはまた違ったフェティッシュな官能をも憶えて止まないのだ。
 ……いや、正確にはボニータとタレイアの間にだけ生じる“おねロリ”の空気こそが最もイデア自身の官能に働きかけるのだろう。この空気はボニータとプロシュでも、あるいはボニータとアグライアでも出せないものだった。おねロリに惹かれてしまうのは、イデア自身にもオルトがいるから何処か自己投影しやすいせいかもしれなかった。

「じゃ次。お前も縛るぞ、イデア」
「…オナシャス」
 タレイアを縛り終えたボニータが、今度はイデアの背後で縄をピンピンと張っている。
 女達の美しさとは対照的に、身震いするイデア自身の無様さを鏡は如実に映していた。
 縄はすぐにTシャツ1枚の彼自身の体に深く食い込んできて、高揚感を与えてくれた。骨まできしみそうなキツさを恋人から与えられるのも、また彼女がわざわざ自分などにその時間を割いてくれるのも、多少の緊張感を伴うとはいえもはや立派な快楽なのだ。タレイアの目があるのもまた良い。
「……ってて…キツい…っ、死ぬ……!」
「嘘つけ。痛覚などシャットアウトされているはずだろう」
 亀甲縛りに加え両手を後ろに両足ごと拘束され、とうとう身動きが取れなくなる。ボニータは2人の前に回り、手を腰に仁王立ちでこう命じる。
「よし、タレイア!この男に縄抜けを見せてやれ!」
「はいっ!お師匠!」
 タレイアは得意げに口角を上げ、息を大きく吐く。ばるさんが「人間ごときに出来るものか」と言わんばかりに大きな欠伸をしていた。

 やがて、タレイアの小さな体は軟体動物のようにフニャリと脱力し、縄がスル…と少し浮いた感じになり、肉体との間に隙間を生じさせていく……。

 しかし、イデアはある事に気付いてしまった。
(これ……本人も師匠も気づかないうちに魔法が発現しちゃってるパターンではござらんか……?)
 そう、縄の浮き方が明らかに魔法によるそれなのだ。
「とりゃ!」
 そしてとうとうタレイアは手足の縄を抜き、胴体のそれをも腰までスルリと下ろしてしまうと、後は自らの手で全て解いて立ち上がった。
「うむ、なかなか美しい手際!」
「へへっ!」
「見たかイデア?これが我がサバトの囮担当の実力だ」
 師弟はすっかり、それが物理的技術の賜物だと信じて満面の笑みである。ここでわざわざ突っ込むほど、イデアも命知らずではない。

「さて……私はちょっと野暮用で出てくるよ。タレイア、その間この男にコツを教えてやりなさい」
「えっ、わーが?」
「とんだ無責任指導者現る」
「つべこべ言うな。指導もまた精進への道だ。アディオス」
 無意味にバラの花を一輪投げ、ボニータは忍者らしい素早さで部屋を出ていってしまった。残された方は……ただただ困惑するばかり。

「したばって……どひゃ伝えたらいいべか……」
 顎に手を当てこちらを見下ろすタレイアに、イデアは早速こう言う。
「タレイア氏……キミ魔法で縄浮かせてたでしょ」
「ええっ!?そげなはずは!」
「あーやっぱり。無意識で魔法発現できちゃったパターンね」
「そげなぁ……わー案外忍術の才能さあるかも…ってぬか喜びしちゃったば……」
「ショゲることないでござるよ?忍法も魔法も、ある意味類似の秘技であって、明確な境界線なんてないからね」
「……ハッ、どうせ魔法さ発現するなら、わーじゃねぇでツイステ(向こう)さ残ってるエペル本体さ発現して欲しかったね……」
「あー…キミら3人、拙者と違って本体と脳が同期してませんからねぇ……というか、肉体を改竄し過ぎちゃって同期させるにもエラーが出る、が正解か……」
 イデアの脳内に、タレイアと瓜二つのエペル・フェルミエの顔が浮かぶ。ポムフィオーレ女体化MODトリオのうち、このエペルとタレイアは格別にそっくりなのだ。元々エペルが小柄で女顔であるのに加え、タレイア自身が肉体的に大人の女性になりきっていないのもまた因しているのだろう。

 イデアは不意に、ほんの少し前までこのタレイアを「らぶソリのアイちゃんに似ている」という理由で気にかけていたことを思い出す。特にKIMONO姿が、作中でアイちゃんがそれを着用していたエピソードを彷彿とさせたのだ。なぜ『らぶソリ』の細かい描写がこの脳内に入っているのかはわからない――…がけもですら顔や歌声、楽曲の記憶は内蔵されていないのに。

 思えばあの頃はよく、ボニータから性的に可愛がられるタレイアを想像して自分を慰めようと試みた。しかしながらそれで興奮するのは最初のうちだけで、絶頂に近づけば近づくほどエペルの姿が邪魔をしてきて「一体拙者は何をしているのか」と萎えてしまう無限ループに陥るのだった。
 そのループから逃れるため、視点を「タレイアを可愛がっているボニータ」へとずらして再び奮い立たせるのもまた常套手段だった。あの頃はまだボニータという女の事は専ら怖くて嫌いだったが、それはあくまでも1人の人間として。オカズとしては使い勝手がよくて少しばかり重宝していたのだ。他の3人と同じ“女体化MOD”でも、男性時代を直接知っているかどうかの差はやはり大きい。
 それでも、あの偏執的に美に拘る女が自分などに快楽の顔を見せるわけないと虚しさを覚えるので、最終的にはいつだってタレイア、アグライア、プロシュにボニータをいたぶらせるルートを描いた。イデア自身はサディストではないはずだが、そのシチュエーションを物陰からこっそり覗く妄想をすれば、気持ちよく絶頂に達することができたのである。

 ……そんな自分が、今やあの女の“夜のオモチャ”として気に入られているのだから、人生って本当に数奇なゲームだ。

「でもタレイア氏、もう縄抜けの必要もキミは無いでしょ」
「なして?」
「だって、もうわざわざ囮として捕まって敵陣に忍び込まなくても、情報なんて全部拙者がハッキングで掴めますから。拙者いわばサイバー忍者ですわ」
 すると急に、タレイアの顔が曇った。
「……そ。だからわーさ……アンタのこと邪魔なんだ」
「え………」
 ただそう呟いたまま、イデアは返す言葉が浮かばない。
「あのね…わーは別に無理やり囮をやらされてるわけでねぐで、自分が楽しんでやってきたんず。だから、情報をポンと簡単に掴めたところでチート過ぎてつまんねびょん」
「あー……その………つまり、生きててサーセン……」
「そこまでは言っでねぇよ。……イデアサンさいてくれたらピンチの時助かるのは事実だし、おままごと集団みでぇなトコから始まったわーらがここまで力を持てたのば、アンタのナイジョノコーとかいうやつだっきゃ」
「はぁ……お気遣いドモ……」
「だばね……」
 タレイアは胡坐をかいて再び座った。チラリと見えたスカートの中が男物のトランクスで少々複雑な気持ちになる(そういえばエペルもケルッカロトの時同じものを履いていた)。
 そして彼女は何処か改まったような瞳でこう続けた。

「けどさ、イデアサン……お師匠と一緒になるよりも……わーといた方がアンタさ幸せだったかもしんねぇず」
「………え?」
 ……いや、何なのだ?その意味深な言葉は……。まるで…まるで……。

 返す言葉もなく相手の顔も見れないままに、しばし空間は静寂に支配されていた。
 だがやがてタレイアが痺れを切らし、ごくバツが悪そうに苦笑して訂正する。
「あー、誤解しねぇでけれ!わーがそうしたいんじゃなぐっで!……尻に敷かれてばかりで幸せってよりまんず大変そうにしか見えねぇってこどで!」
「……い、いや、誤解なんてしてないよ。でも……うん……それは本当に、その通り。理不尽のコマンドしかない修羅の道だもの。タレイア氏ルートの方がだいぶイージーでござるのは少なくとも確かだね」
「ね……キミ達みたいな関係さ、男の幸せじゃねぇよな……」
「うーん……」

 タレイアが何をもって“男の幸せ”としているのかは不明だが、イデアは別に女性に頼られこちらが守ってやるようなステレオタイプの交際をしたいとは思わない。そんなのただの重荷でしかないじゃないか。
 ならばまだ、相手が完全にリードしてくれる今の生活の方が快適ではある。女の性格が歴然と悪い分、こちらが遠慮や気遣いをする必要もない。もしもアレが優しい女性だったら、今もずっと猫を被り続けて窮屈な思いをしていたに違いないのだ。
 それに趣味も合わないからプライベートは完全分離しているし、デートや会食といった羞恥プレイイベントをこなさずともキモチいいことはしてくれるし……それはもう貪欲でこちらが持て余すくらい……。

 ああ。
 何だかんだいって、全く不幸というわけでもないのだな、と今改めて実感する。

 ――僕は、自由を失ったつもりでいたけど、逆に自由を手にしていたのかもしれない。

 でもそんなクサい台詞、今この状況で言うべきではないような気がする……のは、はたして自意識過剰だろうか。

 気づけばまた沈黙の中で、気まずい空気になっている。
 別に今更タレイアとのルートを目指す気もないし(元よりそんなことを自分から始められる性格じゃない)、何より今自分を男として気に入ってくれている人を裏切る気は毛頭ないのだ。
 だって理不尽の代償に、得ているものもちゃんとあるから。

 すると……。
「あれっ?イデアサン!縄が浮き上がってる……!」
「ファッ!?…わわ、せ、拙者も物理的にじゃなくて魔法でクリアしちゃってますぞ!」
「ハハ…わーら、やっぱり体が魔法士として出来てるんだね」
「生きる場所が変わっても、そういうのはっきりわかんだね……」
 そう2人で笑い合う様を、チェストの上からばるさんが、そして屋根裏から女が1人覗いていたとわかるのはもう少し後のこと……。

 終

  
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