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なぜ人は「好きなものがない」ことに思い悩むのか

そんな事より、ハリネズミかわいいですよね。
僕はハリネズミが好きなんですが、どのくらい好きかというと三十路手前のヒゲをはやしたおっさんが昼休みがてら1人でカップルや女子大生でひしめくハリネズミカフェに行き、店員さんに痛いから手袋をしろと止められながらも、耐えられず素手で愛でまわすくらいには好きです。寝顔がたまらん。

このノートを書こうと思った理由

僕は何かを好きになったりハマったりすることが苦手で、浅く広くのタイプだという自覚があり長らく「オタク・コンプレックス」がありました。要は、なにかに打ち込めるタイプの人への憧れと嫉妬が強かったわけです。冒頭のハリネズミの話みたいな文章を濃度×10倍くらいで書く人を見ると「面白いなあ、ハマれてていいなあ。個性がある。そうなりたいなあ。」と思っていました。

そんな自分もコーチングを受けたり、学んだりして「あれ?おれ好きな事って結構あるじゃん」とか、逆に「あ、いまあれ気になったのにスルーしたわ」という瞬間を自分で認知できるようになってきたので、その気づきをちゃんとまとめたいな〜と思ったのがきっかけです。

それと、コーチングをしていて多くの人が「XXといえば◯◯」みたいな自分らしさが欲しいと言っていて「みんなやりたい事なくて悩んでるな〜」と思ったので、少しでも役に立てばという気持ちでもあります。

読んでほしい人

・好きな事/やりたい事が見つからないでぼんやりと悩んでいる人
・趣味がないからなにか作りたくてはじめても長続きしない人
・なにかに打ち込んでいる人を見て「いいな〜」と思っている人

ざっくりいうとこんな内容

①「好きな事がない」んじゃなく好きな事に価値がない」と思っている
②好きが見つからないのは「誰かのモノサシ」で測っているから
③人間は慣れている・説明しやすいものを好きだと「錯覚」する
④好きを見つけたら、自分が楽しく続けられる方法を考える
⑤好きなものに「自覚的になり自分で選択すること」が変化を生む

そもそも好き嫌いってなに?

さあ書くぞと意気込んだものの、好き嫌についてまったく学んだことがないので、こんな本を読んでみました。

この本に書いてあることをめちゃくちゃ簡素にまとめると、

・好き嫌いの多くは後天的な選択と経験から生まれる
・つまり好みとは期待と記憶のことである
・好みは流動的で思考の外にあるので自分が何か好きかを知ることは難しい

といった具合。僕はこれを読んで少し安心しました。
「そうか、好きな事に気づくのって難しいことなんだな」「あと経験によって変えられるんだなあ」と。

じゃあ、どうしたら好きなことを見つけられるんだろう、という核心に迫る前に、陥りやすい罠について書いていきたいと思います。

ここからは本の引用をしつつ、僕の考えを中心に書いていくので、もしコレ系のプロがいらっしゃったら優しく補足してほしいです。優しくね。

「好きなものがない」は本当か

大半の人は「好きな事がない」んじゃなく「好きな事に価値がないと思っている」んだと思うんです。

例えば「マンガ好きだけど、マンガ好きとか行ったらちょっと意識低いやつだと思われるし、割とみんな好きだからこれは無し!」みたいな思考のプロセスがあって、好きなことから除外される。

あとは、「子どもの頃から動物が大好きだけど、それを仕事にするのは流石に儲からないし無理だな」とかとか。

少しパターン化すると、

・やりたいけど仕事にならない
人から評価されない
・明確な目的・目標がないがないからやるべきじゃない
常識的には自分が好きであるべきじゃない
一般的に考えて特徴的とは言えない

みたいなものに分けられそうかなと思います。

コーチとして僕がこんなキーワードを耳にすると「このクライアントさんは自分の価値観を押し殺してるだけかも」と感じます。

実際に質問していくとかなり曖昧な状態で「誰に評価されたいんですか?」「お金どのくらい儲けたいですか?」なんて聞くと、実はそれって本人にとって重要じゃなかったりします。

こんな具合にコミュニケーションしていくと、他人の目を気にしていたけど、それって実は自分で作り出していた思い込みや暗黙の前提によって苦しめられているんだと、クライアント自身が徐々に気づいていきます。

結局の所、好きな事が見つからないのは「誰かのモノサシ」で測っているから。しかも、実際には「誰でもない」わけです。

だからまずは、どんなに小さくても自分の中にあるピュアに好きな事やテンションの上がる瞬間に「自覚的になること」が重要だと思うんです。

その価値を考えるのはその後で良いんじゃないかと。

「慣れ」と「好き」は隣り合わせ

人間は慣れている・説明しやすいものを好きだと「錯覚」するようにできているようです。

これを難しい心理学の言葉でいうと「知覚的流暢性の誤帰属」というそうです。

「ある刺激に接触し続けることで,刺激に対する知覚情報処理レベルでの処理効率が上昇することによって刺激への親近性が高まる。この親近性の高まりが,刺激自体への好ましさに誤帰属される」というものです。
繰り返し接しているうちにどんどん好きになるのはなぜ?

つまり、たくさん接していると好きだと勘違いするって話ですね。最初はイヤイヤやっていた仕事も、慣れてくると案外好きになっていたりするじゃないですか?それ、誤帰属かもしれません。

だから、慣れていることを好きな事だとしてしまうと本当の意味で好きなものではないので、心から楽しめなかったり、極めたりするのは難しいんじゃないかと思うわけです。だって錯覚だし。

好きなものを見分ける時に、慣れているからなのか?それとも心が躍る瞬間があるのか?という自問はぜひ持っておきたい観点ですね。

ちなみに同じような話で、「好きな理由を説明しやすいことを好きだと思い込みやすい」という性質もあるようです。

恋愛だと分かりやすいかも知れません。長く付き合っていて慣れており、年収が高くて見た目も良いパートナーだったりすると結婚相手として説明しやすいじゃないですか。皆までは言いませんよ?

好きな事に気づく、そして持続するには?

大前提として、別にすぐ飽きちゃっても良いんじゃないかと思うんです。「あ、好きかも」と思っても続けないと意味がないみたいな思考になってしまうと重たくて腰が上がらないですし。

大切なのは、

①なにかに興味関心を持っている自分に気づく
②確かめるために実際に行動する
③その時の心の動きを知る
④やめるor続けるを判断する

というサイクルをちゃんと回せるかどうかなんじゃないかと。大半の場合①②の間で落ちてしまってる気がしていて、行動してみると検証されて、結果的に好きかどうか整理できるのでスッキリします。

僕の場合は冒頭で書いたハリネズミの例をとると、

①ハリネズミカフェに興味を惹かれる
②勇気を出してお店に入ってみる
めちゃくちゃかわいいやんけ
④好きだけど飼う程じゃないからたまに行けばいいや

となり、検証済みフォルダーに入って自分がどの程度それが好きか語れるようになったので、自己評価可能になったわけです。

この考え方に行き着く前だったら、「おじさんひとりでハリネズミカフェとか入ったらキモいよな」とか考えて行動をしなかったわけなんですが、この気になった感情に重要性を感じたら検証せずにはいられなくなったので、自分を突き動かすことができたという感じです。

人は好きかきらいかをその理由を知るより先に判断する
好き嫌い――行動科学最大の謎 (早川書房) p357

らしいので、好き!と感じた自分を観察してあげるくらいの気持ちが良いんじゃないかと。

そして、持続するには自分のモチベーションの源泉を把握することが一番だと思います。一般になにかにハマりやすい人って、「知的好奇心旺盛」で「知らないことを知る」プロセス自体が報酬になるので、どんどん好きになってハマっていくんだと思うんですが、まあ大半そうじゃないわけで。

そういう人の真似をしても続かない。だったら自分が頑張れる時って?と考えるほうが良いアプローチだと思います。例えば誰かから褒められたり注目されたりすると頑張れる人もいれば、なにかを収集していくことが快感で続けられる人もいます。

人に褒められる=誰かのモノサシじゃないの?と若干矛盾するように見えると思うんですが、好きの根源は自分から、モチベーションの維持は人からっていう分けができていればぜんぜんOKだというのが個人的な意見です。

「やる気スイッチ君のはどこにあるんだろ〜」っていうCMが流行りましたが、あれって大人にも大切だよね!っというのが言いたいことです。

おわりに(そんなときコーチングがいいよって話)

「やりたい事がないタイプなんだよね〜」って言いがちじゃないですか。でもそれって、性質というよりも状態だと思っています。

なんでかって自分自身もそうだったから。でもそこに真剣に向き合って行動を変えていくことで、確実に変化を実感しています。

だから冒頭に本から引用した、

好き嫌いの多くは後天的な選択と経験から生まれる

はきっと本当なんだろうな〜と思っていて、そのためにどういうマインドセットと行動を起こしていくと変化するのか?について書いてみました。

ぼくは「好きなものに自覚的であり自己選択すること」が幸せつながるんじゃないかと思っています。逆にいえば自分の意志で選択できていない状態が続くと、相対的に個性を感じられなかったり行動に起こせない事で自己嫌悪に陥って人は悩むんじゃないかと思うわけです。(やっとタイトルの疑問を回収できた)

この「好きな事・やりたい事が見つからない」って一種の現代病のようなもので、あまりにも言う人が多い。そして解決可能な手段がなかなかない。

そんなとき、自分自身の内面にじっくり向き合って、強く自覚した関心に従って継続的に行動することで、現実世界を変化させていくサポートのできるコーチングは、悩める現代人にとって唯一といっていいほど希少な解決策なんじゃなかろうかと。

本気でそんな事を日々考えながらコーチングのサービスをつくっています。

来週くらいからやっとこさサービスを稼働しますが、需要に対して供給が追いつかない状況でして、事前登録いただいたユーザーさん向けに人数制限をかけながら少しずつサービスを提供していく予定です。

少しお待たせするかもしれませんが、頑張って面接した甲斐あり経験豊富なコーチがそろってきたので、ぜひぜひご利用くださいませー!

長いポストに最後までお付き合いいただきありがとうございます。感想をぜひTwitterなどでシェアしてもらえると嬉しいです!


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mento Inc. CEO パーソナルコーチングサービスmento(https://www.mento.jp)を運営しています。コーチングやサービス運営についてを中心にnoteを書いていきます。
なぜ人は「好きなものがない」ことに思い悩むのか|キムラノリヒト / mento
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