第4話 全属性
魔法の指輪を手に入れてから、ティノはのんびり生活に戻った。
その日泊まれる宿代位の資金と、その日の食事代、そして現在興味を持った分野の本を買う為の資金を稼ぐ為に、色々な仕事をして、日々を過ごしていた。
今日は人不足の仕事が町に無く、仕方がないので、町の近場で魔物を退治する事にした。
その日はスライム2匹と、スライム同様、世界的に良く見られる魔物、鶏ぐらいの大きさの雀である大雀を退治して、その核を売って資金を得たので欲しかった本を買い、安宿でその本を読み込み知識を得る、そんな日々を過ごしていた。
「なるほど……、魔法は……」
元々村人であるティノは魔力が少ない、魔力量最下層の村人の中でも少ない方、と言うよりその中でも最下層の魔力しかないティノは、魔法を使ってみたい気持ちが強く、初級魔法の本を読みあさる日々を過ごしていた。
ティノがナイホソの町に来て、3年の月日が経過した。
はっきり言ってこれまでと、何も変わった事はしていない。
仕事は日雇い、もしくは近場で弱小魔物を退治し、手に入れた魔石を売って、宿代や食事代を稼ぎ、余った資金で色々な分野の本を買い、休みの日には本を読みふける。
のんびり生活を続けている為、レベルもたいして上がらず、まだまだ弱い戦闘力しかない。
しかし、何度も読み返し練習した事により、火魔法と水魔法を覚えることが出来た。
覚えたと言っても、生活する上で使えるぐらいの威力しかない。
今日も魔物退治をして魔石を手に入れた後、魔法の練習をしていた。
「ハッ!」
“ボッ!”
ティノの指先に小さな炎が灯った。
「ん~、無詠唱でようやく火が出せる様になったけど、こんな程度じゃ意味無い気がするなぁ」
初めの頃は詠唱して火を出していたティノだったが、詠唱の時間が無駄なのと、何かダサいと思ったので、最近は無詠唱で使える様に練習している。
ちなみに町に来て1年経った頃、称号が村人から浮浪者に変わっていた。
ナイホソの町に来て10年が経った。
本来の、のんびりした性格からずっと変わらない生活を送って来たティノ、しかしこの生活も明日でちょうど11年目になる為、今日ティノは次の町に移動する事にした。
この町に10年もいた為、少しだけ知り合いが出来た。
特殊スキルを知られない為に、なるべく人との関係を作らないようにしていたティノだったが、知識を得る本を買う為に、本屋に良く行っていた為、店員に顔を覚えられて仲良くなっていたので、昨日のうちに挨拶をしておいた。
家を持たず宿生活をしていた為、良く行く宿屋の店主と、安くて味もまあまあの食堂の店主に挨拶しておいた。
「さてと、次はどの町にしようかな?」
魔道書を読みあさり、全属性の魔法を戦闘で使えるレベルではないが、発動出来るようになったティノは町を出て西に向かうことにした。
――ステータス――
〈名前〉ティノ
〈種族〉人族
〈性別〉男
〈能力〉Lv 16
HP 68/68
MP 20/20
攻撃力 17
守備力 14
力 13
素早さ 13
賢さ 23
耐久 12
〈スキル〉
農業 (Lv 3/10)
火魔法 (Lv 1/10)
水魔法 (Lv 2/10)
風魔法 (Lv 1/10)
土魔法 (Lv 1/10)
雷魔法 (Lv 1/10)
闇魔法 (Lv 1/10)
光魔法 (Lv 1/10)
無詠唱 (Lv 1/10)
〈特殊スキル〉 不老
〈称号〉 浮浪者