プロフェッショナル 仕事の流儀

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【ディレクターズノート】がん治療の、ライジングサン ~呼吸器外科医 安福和弘~

初回放送日:2024年8月21日

「カナダ・トロントに、世界にその名が轟く日本人医師がいる」。

その言葉を頼りに取材を始めたのは、今年5月下旬のことでした。日本を飛びだし、世界有数のチームを束ねる安福さんはどんな人なのか・・・、ドキドキワクワクしながら、1か月の一発勝負の撮影が始まりました。

しかし、初めて挨拶をする約束の日、安福さんは現場に現れません。聞けば、「肺移植」の緊急手術が入り、前日夜から手術をされているとのこと。トロント総合病院は年間217件の肺移植を行うため、およそ2日に1日はこうした移植手術が入ります。打ち合わせが飛ぶのはしょっちゅうらしく、こういったことはよくあるとスタッフの方が教えてくれました。

待つこと6時間、患者さんの容体も安定し、手術室で安福さんと初めてのご挨拶をすることになりました。安福さんは涼しい顔に優しいトーンで「1か月間どうぞよろしくお願いいたします・・・」と声をかけてくださりました。長時間の手術後でありながら、全く疲れを感じさせない雰囲気に、ロケクルー一同、非常に驚いたことを記憶しています。

今回の取材で痛感したのは、世界最高峰の医療現場は驚くほど「穏やか」だということでした。

命をつなぐ医療現場に撮影クルーが入る場合、私たちロケクルーは異質で邪魔な存在です。極力邪魔にならぬよう、端っこで撮影をしようと考えていたのですが、トロント総合病院の皆さんは「もっと近くで撮ってください」とカメラを患者さんに近づけてくださり、足場を組んでくださったこともありました。

世界最高峰の医療現場だから、きっとピリピリした現場なのだろうと勝手にイメージしていたのですが、現実はその真逆で非常に穏やかで静かな現場。呼吸器外科チームの皆さんに、撮影では助けられてばかりでした。時間が許せば、トロント総合病院で働くさまざまな「プロフェッショナル」な人たちの様子も多く伝えたかったです。

どんな時も穏やかに患者さんと向き合い、その命をつないでいく。

仕事は違えども、その姿勢は学ばなければいけないと感じ、安福和弘さんとの1か月は自分自身にとっても非常にかけがえのない時間になりました。本当にありがとうございました。

(ディレクター・村田 潤)

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