朝日新聞記事<「初動に人災」「阪神の教訓ゼロ」 能登入りした防災学者の告白>への疑問

朝日新聞など一部のメディア、れいわ新撰組等の反自民党勢力は

 「令和6年能登地震 は 岸田政権による人災」

として、人々の記憶に残したいようだ。
私個人はその主張に大いに疑問を抱く。
今回は、朝日新聞の記事、

 「初動に人災」「阪神の教訓ゼロ」 能登入りした防災学者の告白

の内容について、疑問点を列挙して行く。
検証済み事実による反論ばかりでは無いし、再反論される部分もあるかも知れない。
ただ、早さを優先しないと”既成事実化”が進みそうなので、取り敢えず記事投稿する事を優先したい。

記事の構成

インタビュー形式で能登地震について論評を行っている。

語り手は室崎益輝(むろさきよしてる)氏(79)。
神戸大学名誉教授で、防災工学者
日本火山学会会長日本災害復興学会会長地区防災計画学会会長消防審議会会長などを歴任。
物凄いスペシャリストである事は間違いない。
そして、石川県の災害危機管理アドバイザーも務めて来たと言う。

聞き手は山内深紗子氏。朝日新聞記者。

有料記事であるが、有志が24時間限定で誰でも読める状態にしたURLの紹介を見付け、私も読む事が出来た。

冒頭部分

室崎氏は発災から5日後、1月6日から7日にかけて能登入りし、珠洲市と能登島以外の全域を視察して来たと言う。
県庁、被災自治体、避難所を回り、さらに活動しているNPOとも接触したと語る。

その経験を基に、室崎氏は「初動の遅れ」を指摘する。

  • これまでの震災では、発災後2~3日後には自衛隊による暖かい食事、お風呂の提供が行われていた

  • 緊急消防援助隊投入も小出しで、救命ニーズに追い付いていない

  • 被災状況の把握が直後にできなかった事で、国や県のトップが震災を過小評価したのではないか

こう論じた上で、初動に「人災」要素があったと語る。

冒頭部分への疑問

※室崎氏のような防災のスペシャリストと私のようなずぶの素人では、視点が根本的に異なっている可能性もある為、私の反論については鵜呑みしない事をお勧めする。

順序は前後するが、「震災の過小評価」の可能性について論じる。

私は、これは無いと見る。

何故か?
震災の評価に関して、行政側トップの個人的印象は、被害規模の把握に影響を与えないと見るからだ。

自然災害の評価の在り方

基本的に、

 自然災害における一次的対応責任は、市町村にある

のだ。

これは、別に国や都道府県のやる気の問題とは関係無い。

現場対応が重要な問題に関しては、現場に一番近い市町村に権限を与える。
権限を与えた以上、対応責任も市町村が受け持つと言う事なのだ。

社会科で習う「権利と責任は切り離す事が出来ない」は、災害対応についても当然適用される。

ちなみに、この発想は新型コロナ対応とも共通する。
新型コロナ発生者の把握は地域保健所が担い、患者受け入れ可能な療養施設の把握、及び患者の割り振りは自治体マター。
何故そうするかと言えば、医療リソースの把握は現にその土地に存在する病院、その状況を一番詳しく知り得るのは現場の自治体だからだ。
「国は何をしているのか」との声が繰り返し上がったが、個別事案を差配するようなマンパワーはそもそも厚労省には無いし、生活圏のイメージがなければ紹介先のミスマッチも起こるだろう。
市町村、そしてその情報を取りまとめる都道府県の出番が多くなるのは、地方への権限移譲を踏まえるとごく当たり前の話。
逆に、このシステムを解説する事無く日がな一日政府批判ばかりを繰り返していた報道番組、ワイドショー、新聞、週刊誌たちは、政府批判ありきでファクトに対して誠実ではなかったと言う事になる。

以下の総務省、研究会用に作られた総務官僚によるPDF資料でも、行政がどう災害対応を行うのか、その仕組みが説明されている。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000759070.pdf


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上掲PDF3ページ目


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上掲PDF4ページ目

つまり、市町村からの被災情報が県や国に上げられ、そこで得られた情報を繋ぎ合わせる事で全体像を把握する、そう言う手順になる。
そして、市町村をサポートする為に国、都道府県が連携、一体となる。
消防、警察、自衛隊と言った実働部隊は与えられた任務を遂行する。
被害の大きな市町村に、軽微な被害で済んだ周辺市町村が助けたり、遠くの自治体が被災者サポートの一部を受け持ったり、類似災害経験を持つ自治体から職員が派遣されるなど、様々なパッケージが同時並行的に展開する。

「総理大臣、県知事の受けた印象が全体像把握に影響するのではないか?」

との疑問は素朴なもので、その発想自体を否定するつもりは無い。
だが、行政による災害対応の基本を知る人ならば、
 「そんな事はまずあり得ない」
と答えるはずだ。
なので、防災の専門家である室崎名誉教授が、何故このような発想から初動対応の是非を語っているのか、私には全く理解出来ない。

そもそも、「初動が遅い」は本当なのか?

先に結論を述べると、「初動が遅い」は完全に誤りだ。


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上掲日本経済新聞記事の表を引用
  • 発災1分後 首相官邸に対策室設置

  • 発災5分後 岸田首相から関係省庁に対応指示

  • 発災35分後 石川県が陸上自衛隊に災害派遣要請

  • 発災59分後 在京中だった馳浩石川県知事が官邸入り

  • 発災66分後 岸田首相、官邸入り

  • 発災約4時間後 防災相トップの特定災害対策本部

  • 発災翌朝 岸田首相トップの非常災害対策本部

  • 発災翌朝 自衛隊が統合任務部隊を1万人規模で編成

官邸の動きとしては、全く問題が無い。
問題が無いどころか、理想的なスピードで初動対応を行っている。

自衛隊の災害派遣は、基本的に被災地からの出動要請がなされた後になる。
なので、自治体からの要請の早さが災害出動の早さと直結する。

1月1日は、皇居にて「新年祝賀の儀」が執り行われる。
三権の長や閣僚、都道府県知事や各国大使などが招かれる国事行為だ。
馳浩石川県知事は、これに参加していた事もあって、東京都内の自宅にいた。
発災から間もない頃、馳知事に対し
 「当然いるべき地元、石川県におらず、災害対応で陣頭指揮を取れなかったのは大失態」
との誹りがネットで散見されたが、全くの事実誤認であり、石川県の自衛た出動の要請が非常に速かった事も正しく記憶されるべきだ。

自衛隊の初動


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上掲統合幕僚監部HPより引用

上掲のHP情報を普通に読み解けば、自衛隊活動の早さ、その活動規模において、何ら問題視される所はない。

先ず認識すべきは、発災時間と津波警報、及び能登半島における道路事情だ。

夕方の発災であり、自衛隊の初動でも最初は上空からの状況把握から始まり、それも間もなく夕闇によって制限を受けた。
被災状況確認自体は被災地からの派遣要請と関係無く行える為、上掲資料においてもそれが示されている。

自衛隊の活動を大きく制限したのは、偏に道路の寸断によるところが大きい。
地方の主要な高規格道路である「のと里山海道」、その先から珠洲市へ向かう珠洲道路、また、能登半島先端部の形状に沿って走る国道249号線、その何方も大きく痛み、通行止め区間があちこちで発生してしまう。
能登半島付け根近くの七尾市以南は安全性の確認の後、順次通行止め解除が進む一方、奥能登方面は進入が難しい状況が継続した。
県道、市町村道の痛みは更に酷く、孤立集落が大量に発生した。

https://www.mlit.go.jp/common/001716288.pdf


画像
上掲リンク、令和6年能登半島地震における被害と対応について(第5報)(1月2日付け)、の添付資料

寸断された道路の復旧が進まない事には、自衛隊員の活動範囲も広がらないし、救出作業、復旧作業に必須の重機も送れない。
それ故に、

  1. 先ずは道路啓開

  2. 到達可能エリア拡大に伴い、派遣人員を増員

との手順が取られる事になった。
ちなみに、国土交通省による緊急復旧(道路啓開)の進捗状況は此方から確認できる。


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1月5日時点の道路啓開状況

5日以降の道路啓開状況を順に見て行けば明らかだが、地方の主要道が奥能登の4市町を辛うじて繋いではいるものの、国道249号、及び非主要道はほぼ機能していない。
このタイミングで自衛隊を1万人送り込んだところで、活動可能な範囲は拡大しない。
活動可能エリアに見合わない人員の分だけ、待機人数が増えるだけだ。
道路復旧に不可欠な重機無しに生身の人間だけを増やしても、出来る事はほとんど増えないのだ。

海上自衛隊、LCAC投入のタイミング

一部で
 「海上自衛隊の投入が遅かったのでは?」
との声もある。
だが、この主張も時系列をきちんと追っていない者の想像の産物に過ぎない。

LCACとは「Landing Craft Air Cushion」の略で、「エアクッション型揚陸艇」、「ホバークラフト艇」と呼ばれる船だ。

海上自衛隊のLCACは全て広島県・呉基地所属であり、LCACを輸送し得る艦艇も全て呉基地所属。
LCACを積んだ護衛艦おおすみは、1月2日15:00に呉基地を出港。
3日に京都・舞鶴に寄港。重機の積み込みを行う。
4日には能登へ到着し、大川浜(輪島市、珠洲市のほぼ中間地点の海岸)にて物資の輸送任務を開始している。

私には、これ以上早く被災地への投入は事実上不可能だと思われる。

また、似たような話として
 「ヘリコプターの活用が遅い」
との主張も未だに見掛けるが、ヘリコプターによる輸送は可能な場所から随時行われており、そもそも
 「初動でヘリコプターが活用されなかった」
との認識が誤認なのだ。

また、ヘリコプターの発生する強烈な風への対応、及び着陸場所の安全性確保の面から、着陸場所にヘリ対応の知識を持つ人間が必要であり、結局は道路啓開の進捗を待たねばヘリを活用出来る地域も広がらない。

以上の事から、
 自衛隊は出来る事を全力でやり続けている
との評価が妥当であろう。

「国や県のトップが、震災を過小評価した」との段落

室崎名誉教授は、避難所への各種物資搬入が遅れた事について、道路寸断の地理的要因を認めつつも、被災地情報を把握するシステムが機能しなかったからではないか、と推察する。

だが、発災初期の物資搬入が遅れた最大の理由は、通行可能な数少ない道路に大きな渋滞が発生したからだ。
渋滞発生は、救援物資の輸送に大きな影響を与えただけでなく、緊急車両の移動もままならなくした。
それ故、渋滞の緩和を目的として、国、県から不要不急の移動を控えるようお願いが出されたのだ。

室崎氏は、とにかく発災後の早い時期から、可能な限り人を送れば良かったとの発想で語り続ける。
だが、渋滞によって物資搬入が順調に行かなかった事実を普通に受け止めれば、道路が寸断された地域に乗り込もうとする人が増えれば増える程、移動困難に陥る被災者も増え、緊急車両が向えずに命の危険に晒される人も増えてしまうはずだ。
そして、物資搬入も上手く行かない地域において、外部からボランティアが入ると言う事は彼らも生活物資を消費してしまう。
現地入りの際にどれだけ多くの物資を用意したとしても、道路状況の完全回復が見込まれてなければ十分との保証は誰にも出来ない。
そして、物資が無くなったから調達しに戻ろうとなれば、結局は交通量の増加を招く。
渋滞悪化要素が常につきまとう事になる。
だから、国や自治体側は
 「ボランティアを含め、まだ来ないで欲しい」
と呼び掛ける必要があるのだ。

「1月5日夜に1月5日消費期限切れのおにぎりが大量に…」との批判記事に関して

今回取り上げた朝日新聞ではないのだが、「プッシュ型支援」の在り方を問う記事を書いていた。

その内容はざっくりと、
 「物資不足が深刻な自治体に、1月5日夜に1月5日消費期限切れのおにぎりが大量に届いた。
  プッシュ型支援を行うには、事前にその地域の情報を得る事が大切だ。
  プッシュ型支援を積極的に行おうとする国に問題がある。」
と言ったようなものだ。

ハッキリ言うと、この批判を語った経済ジャーナリスト、及び記事を書いた記者は「プッシュ型支援」について正しく理解していない。

消費期限直前のおにぎりを大量に受け取った自治体側から、もう少し消費期限の長い食べ物をとの要望が出される事自体は至極もっともな意見だ。
同地域被災者の立場でも、折角届いたのに食べられないのでは溜息も出るだろう。
そこに対して寄り添う気持ちを抱くのは必要だし、「何も無いよりはマシだろう」と言った態度を取る事は許されない。

だが、「プッシュ型支援」の性質を考えた時、ギリギリ間に合わない食料が運ばれた事自体は、やむを得ないのだ。

「プッシュ型支援」と「プル型支援」

被災地支援には大きく分けて2種類ある。
「プッシュ型支援」「プル型支援」だ。

プッシュ型支援:支援する側が必要な物資を見繕って送る支援
プル型支援  :被災者が要望を出し、支援者が応える支援

元々は、「被災者支援」と言えば「プル型支援」の事を言っていた。

だが、発災直後の混乱の中、被災者の数を把握し、何処に何がどれだけ必要かをリスト化するのは、被災現場にとって非常に難しい任務になる。
情報が出揃うまで待っていると、どうしても支援の初動が遅れてしまう。
そもそも、被災の最初期に必要な物資はどんな災害でも大体決まっているのだ。
だったら、要望が出る前に、一方的に送り付ける方が支援を早く始められる。
仮に不要とされた物資が残るかも知れないが、一番大変な最初期に被災者、被災自治体を効率的に助ける為のコストと考えれば、安いものじゃないか。

こう言った発想から「プッシュ型支援」が生まれ、熊本地震でその必要性が国会でも議論され始め、その後の広島豪雨災害において実際に行われるようになった。

「プッシュ型支援」で大切なのは、要望を待たずに速やかに送るその「早さ」なのだ。

記事執筆者認識の何が問題か?

1月5日夜の出来事と言う事は、発災から既に4日経っている。
そこで食料が十分届かないと言う状態が続いていたのなら、その地域の食糧不足はかなり深刻だ。
渋滞の深刻さも繰り返し語られていた頃の話であり、物資輸送を差配する側の認識としては、折角確保した食料を何処まで届けられるのか?は思案した事だろう。

その状況で
 「道路状況が何とも言えないし、消費期限切れになる”可能性”があるから、今回は送らない事にしよう」
との判断は妥当なものだろうか?
5日夜、夕食時間後に届いてしまったと言う事は、もし交通渋滞がもう少し酷くなければ、夕食時間までに届く可能性もそれなりにあったと言う事ではないか?

仮に最初から送らないと決めてしまえば、食品ロスは発生しないが、当該被災自治体に食べられる状態のおにぎりが届く可能性もゼロで確定する。
食糧事情が綱渡り状態に対する支援食糧としてであるなら、それなりに届く可能性に賭けて発送する事自体は責められない。

物資輸送に掛かる時間がほぼ確定し、人の往来自体も自由な状況とは訳が違うのだ。
「プッシュ型支援で巧く行かない事例が発生した」
→「じゃあ、プッシュ型支援はもう止めよう」
なんて発想では、プッシュ型支援を始めた意味が無い。

これで国、政府対応の不味さを語る記者は、そもそもプッシュ型支援の意義、必要性について理解していないと言わざるを得ない。

室崎名誉教授に話を戻すと……

奥能登地域は1月5日時点でも、プッシュ型支援が予定通りに届かない程、渋滞が常態化していた事になる。
そうなると、やはり「発災直後からどんどん奥能登の方にもボランティアが入って行くべきだった」との室崎氏の発想は、余りに現実離れしているのではないか。

「ボランティア絞り、公の活動足りず、後手の対応続く」の段落

この段落でもボランティア不足を嘆く室崎氏。

医療看護、保健衛生、避難所のサポート、住宅再建の相談などでは公ではなく、民の活動が必要だったと語る。

避難所のサポートまでは理解しなくもないが、「住宅再建の相談」は明らかに緊急性が落ちる。
被災者にとって不安な事であるのは間違いない。
だが、緊急車両の通行にも困る最中、そんな相談を急いで行う必要はどう考えたって無いはずだ。

室崎氏は災害関連死に言及し、具体的な対策を出すべき、それも時々刻々と変わる現場のニーズを吸い上げて、すぐ実行すべきだと語る。

こんな事、どれだけマンパワーを注入した所で誰も解決しようが無いだろう。
空理空論を操り、政府批判したいだけにしか思えない。

そもそも被災地域がそれなりに広く、震災復興がどの辺りに落ち着きそうかは現段階で誰にも言えない話だ。
となれば、自分がどうしたいのかも当然、決められないはずだ。
地域住民がほとんど地域に残ると決めた場合、逆に集落を諦める住民が続出した場合、更には住民の意思だけでなく、復旧復興の見積もり額によって行政側の出来る出来ないも変わって来る。
相談員がどれだけ優秀であろうが、多くの相談員を集めようが、最終的な結論は地域住民が話し合い、案を出し合った先でしか決められない。
室崎氏は一体、何をイメージしてこんな実現可能性の低い案を提示しているのだろうか?
私にはさっぱり理解出来ない。

「司令部と被災地の距離遠い」「縦割り気になる」の段落

室崎氏は石川県の震災対応能力を危惧し、過去の震災で指揮を執った幹部行政職員を派遣するよう提言している。

発想自体は理解するが、過去の被災から学ぶ姿勢は最初から石川県も見せている。
特に東日本大震災において派遣され、震災対応の経験を積んだ職員は各地にいて、職員の派遣の申し出が進んでいる。
また、国としても発災から間を置かず、被災経験職員の派遣斡旋を行っている。

室崎氏は行政側の動きについて、十分に追っていたのだろうか。

そして、この段でも繰り返しボランティア不足に対する批判を行っている。
先に入ったボランティアまで行政と一緒になって、「来ないで」と言った事にショックを受けたそうだ。
室崎氏はこのような流れを見て、ボランティアの本来的な機能が失われてしまったのではと嘆く。

私の目線では、ボランティアが行政側の問題意識を共有し、必要な呼び掛けを行っただけにしか見えない。
室崎氏はこのようなボランティアを権威主義化してしまったと強烈に批判する。だが、権威主義的なのは何方なのか?
自身の見立てに絶対の自信を持ち、国と自治体、ボランティアらが辿り着いた結論を根拠薄弱な自説を基に一刀両断する姿勢は、真に被災地支援に役立つものなのか?

「教訓が活かされるよう軌道修正を」の段落

※「あすの命を大切に」 先読みして的確な判断を
 の段落については特に異論は無いので省略する。

阪神大震災の事例を引き合いに、仮設住宅の建設着工の遅れを指摘する室崎氏。

これも、奥能登と言う道路復旧すらままならず、未だ孤立集落の解消が終わっていない現状で擦る話なのか?との疑問を抱く。
奥能登全体が山がちであり、集落傍に広く平らな土地確保が難しいとの理由もあるだろうが、着工出来ない理由は動かせる土木系パワーを道路啓開に向けてる事が一番だろう。

室崎氏はさらに復興委員会も立ち上がっていない、そこに向かう議論も出来ていないと批判する。

此方も同じ話。
復旧までも道半ば、孤立集落解消の見通しも無い中で、復興のビジョンを語り出した時、それを聞いた孤立集落住民はどう思うだろうか?
自分達がまともな被災者支援を受ける前に将来見通しを語り、方向性を打ち出す行政に信頼を抱けるだろうか?

まとめ

室崎氏による能登地震の被災地支援評は、ひとえに

 「人を送り込みさえすれば、どうにかなったはずだ」

 「十分なマンパワーが送り込まれていないのは、国、自治体が震災規模を過小評価しているからだ」

との誤解がベースになっていると見る。

私は岸田政権の災害対応について、「これ以上無い程素晴らしい」とまでは思っていない。
具体的指摘によって改善すべき点が露わになる事も十分あり得るだろうと考える。

だが一方で、今現在語られている

 「岸田政権の初動が遅かった」

 「岸田政権が震災を過小評価しているせいで、災害派遣人員が増えない」

 「被災地の現実を知られたくないから、入るなと言っているのだ」

と言った形式の岸田政権批判については、まるで論理性が無く、客観的な証拠の提示も出来ていないと言う理由から全く賛同できない。

この記事の論評を通じて、是々非々で論評を行うと言う事、自身の抱える認知バイアスに意識を向ける事の難しさを改めて思い知らされた。
認知バイアスに支配されない為にはマスコミ報道は殆ど役に立たず、一次情報に当たる事が大事だ。
また、一次情報を浚う事に手間を惜しまない複数のファクトチェッカーの主張にアンテナを張ると、マスコミの無責任な誘導に気付きやすくなる。

震災関連で虚偽情報に踊らされる事は、被災者の心理的負担を増す事に加担するのとほとんど同義だ。
被災者に寄り添う気持ちを常に持ち続け、ファクトチェックに気を配るべきだ。

<了>

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