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　グラミー賞14回受賞を誇る米人気歌手テイラー・スウィフトさんは10日、インスタグラムに「私はカマラ・ハリスに一票を投じる」と投稿した。11月に迫る米大統領選で、民主党のハリス副大統領を支持することを明確にしたものだ。スウィフトさんは2020年の前回大統領選で、民主党のバイデン大統領の支持を公言。今回の大統領選でも発言に注目が集まっていた。

　スウィフトさんは、10日夜に開かれたハリス氏と共和党のトランプ前大統領の討論会の終了直後、「私も今夜の討論会を見た」と投稿。ハリス氏について「着実な手腕と才能を備えたリーダー」と指摘し、「この国を混沌（こんとん）ではなく冷静さをもって導くことができれば、私たちはこの国でさらに多くのことを達成できる」と期待をつづった。

　投稿の中でスウィフトさんは、自身がトランプ氏を支持しているようにみえる偽画像が、トランプ氏のSNS上に投稿されたことに触れた。「偽情報には、真実で対抗するのが最もシンプルな方法だ」とした。

　ハリス氏や副大統領候補のウォルズ氏が、LGBTQ（性的少数者）や女性の権利の保護を訴えてきたことも指摘し、「勇気づけられ、感銘を受けた」とも書いた。スウィフトさんはこれまでも、こうした権利の擁護について積極的に発言をしており、ハリス氏の中核的な主張とも重なっている。

　スウィフトさんは投稿に、自らが猫を抱いた写真を添えた。また、投稿文の末尾には自らの氏名とともに「子どものいない猫好き女性」と記した。

　これは共和党の副大統領候補であるJ・D・バンス氏の過去の発言をめぐる痛烈な皮肉といえる。バンス氏は21年のFOXニュースの番組内でハリス氏を名指しして、「惨めな思いをしている子どものいない『猫好きの女性たち』によって、この国は運営されている」と発言したことが話題を呼んでいたためだ。

　米国で「猫好きの女性」という言い回しは、子どもを持たず猫を飼っている中高年の女性を指し、中傷の意味合いで使われることが多い。一方、スウィフトさんは大の猫好きとして有名で、バンス氏の発言に対してはスウィフトさんのファンからも批判が殺到していた。

　スウィフトさんはこれまでも、SNSでの呼びかけを通じて、3万5千人に有権者登録をさせるなど、若い層を中心に絶大な影響力を持つ。スウィフトさんのハリス氏への支持表明は、トランプ氏に逆風となりそうだ。

　スウィフトさんは前回大統領選時には「私たちは、あなた（トランプ氏）を落選させる」とSNSに投稿していた。そうした経緯もあり、トランプ氏は今年2月、SNSに「彼女（スウィフトさん）をこれほどもうけさせた男に対して、彼女が不誠実になるはずがない」と投稿。大統領在任中の自身の音楽界への貢献を理由に、スウィフトさんが民主党候補を支持しないよう牽制（けんせい）するなど、警戒感を示していた。（ワシントン＝榊原謙、高野遼）

テイラー・スウィフトさんのインスタ投稿の全訳

　多くのみなさんと同様、今夜の討論会を見ました。まだ見ていないなら、今こそ、自分にとって一番大事な争点や、（大統領選の）候補者たちがどのような立場を取っているか調べる絶好の機会です。有権者として私は、候補者たちがどのような政策や計画をこの国のために提案しているか、できる限り見聞きするように努力しています。

　最近、AI（人工知能）で作られた「私」がドナルド・トランプ氏を支持するという偽情報が、彼の（SNSの）サイトに投稿されたと知りました。AIに対する不安、そして誤った情報が広まることの危うさを思い知らされました。このことで、有権者として私がこの選挙にどう向き合っているか、明らかにする必要があるという考えに至りました。偽情報には、真実で対抗するのが最もシンプルな方法なのです。

　私は、2024年の大統領選挙でカマラ・ハリス氏とティム・ウォルズ氏に投票します。私は権利と大義のために戦う人が必要だと信じていますが、カマラ氏は戦っているからです。ハリス氏は着実な手腕と才能を備えたリーダーだと感じています。混沌（こんとん）ではなく冷静さをもって導くことができれば、私たちはこの国でさらに多くのことを達成できるでしょう。

　ティム・ウォルズ氏を副大統領候補に選んだことにも、とても勇気づけられ、感銘を受けました。ウォルズ氏は、LGBTQ+の権利や体外受精、そして女性の身体の権利のために長年立ち上がってきた人だからです。

　私は自分で調べ、選択しました。どのようなことを調べ、選択するかはあなた次第です。もうひとつ、特に初めて投票する人に伝えたいことがあります。投票するには、有権者登録しないとだめですよ！　期日前投票する方がずっと楽だと思います。（インスタグラムの24時間で投稿が自動的に消える）ストーリーにどこで登録できるのか、期日前投票の日程の情報をリンクします。

愛と希望を込めて、

テイラー・スウィフト

子どもがいない猫好き女性（Childless Cat Lady）