立憲代表選の4候補、外交・安保政策は継続性に配慮 朝日新聞討論会

松井望美

 立憲民主党代表選(23日投開票)に立候補した野田佳彦元首相(67)、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)、吉田晴美衆院議員(52)による朝日新聞社主催の10日の討論会。政権奪取を見据える4人は、外交・安全保障政策の継続性に配慮する姿勢をにじませた。野田氏は特にその傾向を重視する立ち位置をみせた。

 立憲の源流となる民主党の初代政権が2009年に「最低でも県外」を掲げ、迷走の末に辺野古(沖縄県名護市)に回帰した米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題。当時は「公約違反」との批判を浴び、立憲は今、現政権の強引な移設推進に「沖縄の民意に反する」との立場をとる。4人は党代表として政権奪取した場合、辺野古移設の見直しにどう向き合うかが課題となる。

記事後半で討論会全編のアーカイブ動画がご覧頂けます。

 現代表の泉氏は「県民の声に寄り添うことは非常に重要。政府と県の対話の間、工事を止めることも考える。昔に決めた計画のままでいるのはおかしく、再検討の姿勢を米国と共有したい」と強調。枝野氏は「本当に米軍は辺野古を求めているのか。一から議論する。『移設を止めることができる』と約束できないが、かなり期待しながら進められるし、できなかったとしてもちゃんと理由を説明できる」と訴え、吉田氏は「沖縄の心に寄り添う。100%の決着がないかもしれないが、誠実に向き合う」と語った。

 一方、民主党政権の3代目で最後の首相を務めた野田氏は「米国といろいろ話し合うことはできる」と見直しに言及しつつ「私も(首相在任中に)辺野古移転を進める役割を一生懸命果たそうとした。今も基本形は変わらない」と強調した。

 日米同盟のあり方をめぐっても、野田氏は微妙なスタンスの違いをみせた。

 4人とも日米同盟を基軸とする立場を示しつつ、枝野氏は「しっかりと米国にものを言える外交を」、泉氏は「国民のための日米地位協定の改定」、吉田氏は「経済力で対等な外交ができる」などと主張。枝野、泉、吉田の3氏は「対等な関係」の構築に軸足を置いた。これに対し、野田氏は「東アジアに対する米国のコミット」の必要性を強調。中国が海洋進出、北朝鮮が核・ミサイル開発を進める中、米側に「関与」を求めていく立場を示した。

【アーカイブ動画】朝日新聞東京本社で開かれた立憲民主党代表選の候補者討論会

 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法をめぐっては、党として「違憲部分の廃止」を掲げるものの、4人は政権奪取後も直ちに法改正することは困難との認識で足並みをそろえた。

 泉氏は「政府間で運用がスタートしている。個別的自衛権の範囲で米軍とどのような国防ができるか考える」、枝野氏は「閣議決定さえまともなものに戻せば、『個別的自衛権の範囲でここまでやる』と参院が(与党少数で)ねじれていてもできる。個別的自衛権を発動し、米国に助けてもらう場合も、やることは(現行法と)一緒だ。閣議決定を変えて違憲状態を正す」と主張。野田氏は「検証し、実態を把握した後、どう結論を落としていくかの作業になる」、吉田氏は「もう(自公政権が)突っ走ってしまった。もう一度、国民の声を聞きたい」と述べるにとどめた。(松井望美)

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