NHK「緊張感欠いた」と稲葉延雄会長 中国スタッフの尖閣発言問題で担当理事が引責辞任

記者会見するNHKの稲葉延雄会長(右)、井上樹彦副会長=10日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)
記者会見するNHKの稲葉延雄会長(右)、井上樹彦副会長=10日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)

NHKのラジオ国際放送で男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「中国の領土」と主張し「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言していた問題で、NHKの稲葉延雄会長らが10日記者会見し、国際放送担当の傍田賢治理事が責任を取って同日付で辞任すると発表した。稲葉氏や井上樹彦副会長ら役員4人は月額報酬50%を1カ月、自主返納する。

役員の引責辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した平成20年以来。このほか、国際放送局長ら5人を減給などの懲戒処分とした。

稲葉氏は「放送法で定められた責務を果たせず、極めて深刻な事態であり深くおわび申し上げる」と謝罪。激変する世界情勢の安全保障上の観点から「危機意識が高まってしかるべきだったが、ラジオ国際放送の現場では緊張感が欠けていた」と述べた。

NHKによると、男性は48歳の中国籍。8月19日の放送で、靖国神社で落書きが見つかったニュースを報じた後、約20秒間原稿にない発言をした。調査結果によると、男性は「日本の国家宣伝のためにこれ以上個人がリスクを負えない」と述べた。また、以前から報酬や働き方など待遇の不満をNHKの職員に伝えていた。

過去3カ月分の放送では、男性による原稿にない発言はなかったが、それ以前は記録がなく不明だという。

問題発言の際、マイクの音量を下げるなどの対応が取れなかったことも問題視。職員への緊急対応訓練や放送の事前収録などの再発防止策をまとめた。

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