尖閣発言問題「NHKの存在意義を揺るがす」稲葉会長ら役員報酬自主返納、理事1人辞任

国際放送での尖閣諸島に関する発言について、会見冒頭で頭を下げるNHKの稲葉延雄会長(中央)ら=10日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)
国際放送での尖閣諸島に関する発言について、会見冒頭で頭を下げるNHKの稲葉延雄会長(中央)ら=10日午後、東京都渋谷区(鴨川一也撮影)

NHKのラジオ国際放送で中国籍の男性スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「中国の領土」などと主張した問題で、NHKは10日、「NHKの存在意義を揺るがすきわめて深刻な事態である」として、稲葉延雄会長以下役員4人が役員報酬月額50%(1カ月)を自主返納し、男性と契約していたNHKグローバルメディアサービスの元社長の傍田賢治理事が同日付で辞任すると発表した。

NHKグローバルメディアサービスでは、神田真介代表と馬場広大専務が役員報酬月額30%(1カ月)を自主返納。NHK国際放送局の天川恵美子局長を減給、同局の職員4人を懲戒処分とした。

NHKの調査によると、先月19日昼のラジオニュースで男性スタッフは約20秒にわたって「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)と付属の島は古来、中国の領土だ」と中国語で発言。さらに英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった」などと主張した。

NHKグローバルメディアサービスは8月21日に男性スタッフとの契約を解除。NHKは9日、男性スタッフに対し「法的措置により厳正に対処する」として、東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起した。

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