ホロライブ運営の変化
基本的に公式から出ている情報のみを材料として推察します。
各タレントの仰る通り「公式の発言」のみが真実でありそれ以外は憶測となりますので、当記事もそれを真実とするものではなくあくまで推察の域を出ない事をご了承下さい。
まずはじめに
まず先日、2期生の湊あくあさんがホロライブ事務所を卒業する運びとなりました。
理由はまず「運営との方針の違い」であるという。
同配信において「ホロライブは大きく変わった」「誰が悪いとかではない」「私にはどうしようも出来ない事が沢山あった」「ファンを嫌いになったわけではない」等の発言があり
カバー株式会社との「企業と個人間での問題」であるという事には納得感がある。
少し話が逸れてしまうが湊あくあは2022〜2024年初頭まで月4〜7回程に配信頻度が落ちていた時期があり、所謂「サボり組」としてカテゴライズされていた。
卒業発表時によればこの配信頻度が落ちていた時期から運営との活動方針の違いに思い悩んでいたという。
そして4月頃から徐々に配信頻度が上がり現在100日連続配信を記録しているとの事なので、恐らく運営に卒業意思を伝え吹っ切れた事により配信頻度が戻ったのだろう。
タレント・スタッフとの関係は一見良好
まず記念グッズに関する采配はどのタレントも意思を最大限に尊重してもらえている様に見える。
湊あくあの6周年グッズからもそれは読み取れるだろう。
ゲストのオファーについても事務所の垣根なくタレントの意見を取り入れ実現している。
なればこそ、どうして卒業に至ったのか。
ホロライブ運営の変化
カバー株式会社は2023年3月に上場
同年6月には27億円をかけた3D配信スタジオをオープンしたのは有名な話だ。
しかし翌2024年1月に衝撃的なルール改訂があった。
最大年2回の3Dライブ配信を年1回に減らすというのだ。
理由は当該記事を見るのが早いが要約すると
・タレントとスタッフの負担を減らす
・3D配信にリソースを割かれ他の事が出来ない
・周年記念ライブは各期生でまとめて行う
といった事が主であり、空いたリソースで外ロケやバラエティ企画を増やしていくという内容。
しかし個人的には「27億もかけたスタジオの活用方法を制限する理由」としては弱いように感じた。
なぜなら資本はタレントによる努力の結晶であり、それを注ぎ込んだ設備を運営の都合で使用制限するのは理不尽だからだ。
そもそもタレントの負担や健康等は普段から個人単位で管理するのがマネージャーや運営の仕事であり、設備使用から全体として制限するのはライブモチベーションがあるタレントの足まで引っ張る事になるだろう。
実際タレントの多くは自費でライブ費用を賄ったりスタジオが使えない場合は外部スタジオを利用するなど、3Dライブにこだわりのあるメンバーが少なくない。
代替案となるバラエティや他の活用用途についても暫く見守っていたが、同年8月現在も公式配信は2Dが多く使用制限前後で変化は見られない。
空いたリソースは一体どこへ行ったのか。
こうなってくるとこのスタジオは話題作りや株主へのアピール以上の価値がなくなっており、ライブモチベーションの高いタレントは大きく失望したのではないかと思う。
そして特に大きく影響を受けた1人が今回卒業することとなった湊あくあだ。
彼女はデビュー時から毎年周年記念ライブを行ってきており、運営とのすれ違いにより配信頻度が落ちていた時期でも決してライブを欠かさなかった。
そんな彼女がこの方針を告げられた時の気持ちは想像に難くないだろう。
「止まらないホロライブ」とは真逆の方針に、疑問しかない。
カバー株式会社から見たタレントの価値
直近の株主質問にてこのような回答をしている
個人的にこれは大きな間違いであると思う。
何故ならタレントが1人いなくなるのは単純に数字が減るだけではなく、その後の環境を変えていくからだ。
今回の湊あくあ卒業についても、彼女は2期生としてデビューし歌唱ユニットやゲーム大会参加など様々な活動を行ってきた。
あくありうむ。の完全新作ゲームも卒業により白紙となっている。
これらに関わった他のタレントや企業は彼女の卒業に際し仕事上やメンタル面等で影響を受けるだろう。
特に2期生は紫咲シオンが休止中の為、これで3名となるが百鬼あやめは活動量が著しく低く箱内での活動も消極的になっている。
その為今後2期生で安定した活動が出来るのは大空スバルと癒月ちょこの2名しかいないという事態に陥っている。
これでは「周年ライブを各期生まとめて行う」メリットであるパフォーマンスも発揮できず、ステージに立てば否が応でも「いなくなったメンバー」の存在が際立ってしまうだろう。
上場時から箱内トップとして挙げている宝鐘マリンも直近では「3期があと1人でも欠けたらキツイ」と発言しており、この質問で「依存度は5%」と回答した運営はタレントの心情を理解出来てないのではないだろうか。
収益分散を図るという点も個人的には問題に感じている。
要はリスクマネジメントなのだが、この回答では収益の低いタレントに優先して案件を回しているように捉えられる。
だが人気商売かつエンターテイメントの分野でそれを行うことはパフォーマンスを下げる要因でありクライアントにもファンにも不誠実、地道に頑張って人気を上げているタレントのモチベーションは下がる一方だ。
一体どんな収益分散を図っているのか、是非詳細を聞いてみたい。
処分対応の格差
ホロライブは2024年からbilibili動画を含む各中国市場へ再進出している。
これに際し幾つか問題が起きた。
中国担当者が自身のチャンネルで「bilibiliに復帰するタレントや契約にサインした様子など様々な内部情報」を喋ってしまったのだ。立派な情報漏洩である。
詳細についてはこちらの方が大変詳しくまとめているので一読して欲しい。
ホロライブは過去に数名の契約解除者を出しているがその理由の多くが「情報漏洩」となっており、処分が厳しい印象を持っているファンも多い。
しかしこの件に関してはbilibili内の証拠動画削除や予定されていた配信を中止にするなど水面下で様々な対処をしており、また件の中国担当者はいまだに運営を任されている状態だ。
推しが契約解除されたファンからすればこの事実は容認し難いだろう。
また厳しい契約で縛られているタレントからしてもこの対応の差は納得出来ないのではないだろうか。
会社構造とタレントの我慢
確定している材料から運営方針・状態の変化について推察してきたが、ここから見えてくるのは
会社本位な経営陣と、それに対しマネージャーや各現場スタッフがタレントをケアしているという構図だ。
普段からホロライブタレントの配信を見ているファンであれば配信の節々で心当たりがある。
雑談配信などで溢す愚痴は「会社だからね」等の諦観めいた言葉を使う事がかなり多く、現場スタッフへの愚痴はあまり聞かない。
また、「出来ない事が増えてきた」という話は複数のタレントから聞こえてきており、最近増えてきた一部タレントの水着衣装も他社にタレントを引き合いに出して交渉する事でやっと許可が貰えたという事なので、信憑性は高い。
自主的に攻めたことは出来ないけど他者との競争には敏感、というのも情けない話だ。
こういった公式から出ている情報だけでも所属タレントは「多くの我慢を強いられる環境」である事が伺えてしまう。
そしてこれが一時的ではなく、会社の方針という個人ではどうにも出来ない問題というのがタレントの多くを悩ませている問題だ。
今回の湊あくあ卒業も、そうした壁と多くの我慢が積み重なった結果なのだろう。
経営陣が現状維持とコスト削減に終始しているうちはこの環境は変わらない。
そうして限界を迎えた者から、スタッフ/タレント問わず去っていく事になる。
湊あくあ卒業を経て多くのファンが推しに「辞めないよね」と念押しする光景が見られたが、この環境でそれを強いるのはタレントの幸せに繋がらないかもしれない。
ファンに出来る事は、せめていつか来る終わりの覚悟をする事しかないのだろう。
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