"災害流言"誤情報・偽情報に備えるために

~関東大震災から考える~

公開:2024年9月1日

災害時の「誤情報・偽情報」への対策が急務となっている。その“原点”ともいえるのが,1923年に発生した関東大震災だ。この震災では,火山の噴火や津波と結びついた「災害流言」と呼ばれる多種多様な誤情報・偽情報が流れた。しかし,この災害流言がなぜ発生し広まったのかについて,詳しく調査・分析した先行研究はほとんど見当たらない。本稿では,現代の誤情報・偽情報対策に資するためにも,これまであまり注目されてこなかった関東大震災における災害流言の発生と拡散の様相について,子細に検討した。また,その過程で,関東大震災以外で広まった災害流言についても,その内容や発生パターンなどを数多く摘示した。
さらに,現代のメディアが対策に取り組む際の課題についても検討。▼視聴者・聴取者や読者のメディア情報リテラシーを高めるため,誤情報・偽情報の発生・拡散パターンをあらかじめ知っておく「予防接種効果」の重要性を指摘した。また,▼過去の災害で発生した誤情報・偽情報を,事例集として「データベース化」しておくことで,災害発生時の迅速・的確な「打ち消し報道」につながることなどを提言した。

メディア研究部 中丸憲一

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