ファクトチェック機関へのデータ公開に懸念 EU、メタに情報を要求

ブリュッセル=牛尾梓
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 欧州連合(EU)の行政府にあたる欧州委員会は16日、フェイスブック(FB)やインスタグラムを運営する米メタに対して、研究者やファクトチェック機関がアクセスできるようデータを公開しているかについて、情報を提供するよう要求した。

 要求は、巨大IT企業に差別的な内容や偽情報などを含む違法なコンテンツへの対応を義務づける、EUのデジタルサービス法(DSA)に基づくもの。

 欧州委は特に、メタが14日に、投稿を追跡したり分析したりするためのツール「クラウドタングル」を廃止したことを問題視した。「ファクトチェック」に取り組む機関や研究者が、6月に実施された欧州議会選などで、選挙関連の投稿の検証作業に使った機能だ。「市民の言論や選挙プロセスを、第三者が即時に監視できないことに懸念がある」とした。

 メタは9月6日までに、第三者がアクセス可能なデータなどについて報告しなければならない。報告しなかった場合、制裁金が科される可能性がある。(ブリュッセル=牛尾梓)

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この記事を書いた人
牛尾梓
欧州総局|欧州連合(EU)担当
専門・関心分野
国際政治、データジャーナリズム、AI、OSINT
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    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2024年8月18日16時44分 投稿
    【解説】

    偽誤情報の削除や誹謗中傷の防止など,コンテンツモデレーションは現在のところプラットフォーマーの手にゆだねられていますが,それが適切に行われているのかを確認することは現代の情報空間を健全に保つためには重要でしょう. 危険な偽誤情報が残っている

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