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日本一周中に余命宣告…“すい臓がん”公表で「詐病だろ」誹謗中傷を受けたYouTuberが今、伝えたいこと

アンチコメントに心を痛める一方で…

サニージャーニー

多くの人に応援されていることを改めて実感したそうだ

――みずきさんは、ご自身がただでさえ辛い希少がんの宣告・治療を受け止めるなかで、いわば炎上を経験したわけですが、そのときに何が精神を支えてくれたのでしょうか? みずき:もっとも支えてくれたのは、夫であるこうへいくんですね。常に「大丈夫だからね」「俺が何とかするからね」と優しく言ってくれました。パートナーがこのような大病を患って、自分も不安があるなかで、誰もができる行動ではないと思います。本当に頼れるなぁと思いました。  また、アンチコメントはかなりの数がありましたが、その一方で、見も知らない私たちを心の底から心配してくれる人たちの書き込みにも力をもらえました。「今日、◯◯神社にいったので、みずきちゃんの快復を祈ってきたからね」という書き込みがあり、話したこともない人のためにこんなに行動してくれる人がいるんだなと思うと、温かい気持ちになりました。知らない人によって傷ついたこともありましたが、その数の比ではないくらいの多くの人に私は応援してもらっているんだなと改めて感じます。  あるいは、地元で治療をしていたこともあって、リアルな友達とは会う機会もあったのですが、そのときにする他愛もない会話に癒やされました。がん患者でもYouTuberでもない頃から、私を知ってくれている人との、なんでもない会話が幸せでしたね。  YouTuberとして自分の病状を配信することによって、人の見たくない部分を見て悲しくなる場面もありましたが、総じて「こんなに優しい人がいるんだ」と感動することの方が多かったですね。また、どうしてもネガティブな面がクローズアップされてしまう傾向がありますが、見過ごされているポジティブな面にも目を向けた方が人生は楽しくなるはずです。少なくとも私はそう考えています。 =====  経験したことのない病に冒され、その不安に翻弄されるなかで遭った、姿形の見えない誹謗中傷。「がん患者がこんなに明るいはずがない」という固定観念が、「他人の金で治療をしようとしているやつ」という歪んだイメージと相まって炎上を巻き起こした。サニージャーニーの配信を追うなかで筆者がもっとも気がかりだったのは、病気の進行もさることながら、「2人が世界を嫌いにならないか」ということだった。前を向き、手を取り合って進む2人の姿。紆余曲折ののち、神に誓いを立てて結ばれたドレス姿を見ると、その不安は杞憂とわかって、霧散した。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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