分数の割り算は算数で習いますが、負の数は数学で習う範囲です。
この二つの計算は習う時期が離れている分、一方の知識は覚えているけれど、もう一方は忘れてしまっている......ということもあるかもしれません。
今回の問題で、知識が欠けていないか確認してみましょう。
問題
次の計算をしてください。
11/12÷11/15×2×(−2)
解答
正解は、「−5」です。
−を含めて、答えを出せたでしょうか?
計算過程で迷いがあったという人は、ぜひ次の「ポイント」を確認してください。
ポイント
この問題のポイントは、「分数と整数、そして負の数の掛け算を効率よくこなせること」です。
それでは、計算過程を順番に見ていきましょう。
まずは冒頭の分数の割り算です。
11/12÷11/15×2×(−2)
分数の割り算では、割られる数と割る数の逆数(分数の分子と分母を反対にした分数)を掛けます。
11/12÷11/15×2×(−2)
=11/12×15/11×2×(−2)
こうしてみると、この問題はすべて掛け算で構成されていると分かります。
分数が含まれた式では、途中で約分を行っていくと計算が楽になります。
今回の式のように掛け算ばかりの場合は、一つ一つ計算をこなすよりも、一気に掛け算してどんどん約分していった方が効率的です(掛け算には、どこから計算しても良いという計算ルールがあるので、計算する順番にはこだわらなくて大丈夫です)。
今回の問題でも11/12×15/11を計算してから×2,×(−2)に進むのではなく、すべての計算を一緒に進めてみましょう。
このとき、分数と一緒に計算するために整数は分数に直します。
整数は分母1の分数として表現できますので、式は次のようになります。
11/12×15/11×2×(−2)
=11/12×15/11×2/1×(−2/1)
ここで、掛け算内の負の数−2/1に注目してください。
負の数が混ざった掛け算では、負の数が「偶数個あれば全体の答えは正の数」「奇数個あれば全体の答えは負の数」になります。
今回の掛け算には-2/1の一個しか負の数が登場しないので、この掛け算の答えは負の数になります。
分かりやすいように、掛け算の最初に−記号を付けてしまいましょう。
11/12×15/11×2/1×(−2/1)
=−(11/12×15/11×2/1×2/1)
後は、()の中を約分をしながら計算していくだけです。
−(11/12×15/11×2/1×2/1)
=−{1×5×1×1}/(1×1×1×1)
=−5/1
=−5
約分できる数が多かったため、最終的な掛け算はかなりシンプルになりましたね。
まとめ
今回は、分数と負の数の計算問題に挑戦しました。
一つの問題を解くにも、複数の知識が必要でしたね。
このように計算問題のレベルが上がってくると、分数だけ、負の数だけの範囲の知識では太刀打ちできない場合があります。
普段から様々な問題に触れて、複数の算数・数学知識をストックしておくとよいでしょう。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
分数が混ざった計算にもう一問挑戦!