コメが高くて誰が喜ぶのか…「令和の米騒動」は政府が起こした「人災」だと、荻原博子が断言するワケ
「平成の米騒動」を振り返ると
スーパーマーケットの棚からからコメが消えています。しかも、昨年の2倍の価格で店頭に並べてもすぐに売れ切れるという、異常な状況となっています。
大阪府内では約8割の小売店などで品切れが発生していて、こうした状況に対して、大阪府の吉村洋文知事は「無くて困っている方がいるのに、“備蓄米”を放出しないという判断を続ける。倉庫に眠らせておく方がいいんだという理由が全く分からない」と“備蓄米”の放出に躊躇する政府に激怒しています。
これに対しては8月27日、坂本哲志農水大臣は、「(市場は)今後順次回復していくものと見込んでいる。コメの需給や価格に影響を与える恐れがあるため、慎重に考えるべき」と“備蓄米”の放出に後ろ向きの考えを示しました。
しかもダメ押しするかのように、8月30日に重ねてはっきり“備蓄米”を放出しない考えを示しました。
なぜ、農水省はこれほど頑なに“備蓄米”の放出を拒否するのでしょうか。そのまえに、“備蓄米”とはなんなのかを見てみましょう。
“備蓄米”は、「平成の米騒動」で制度化。
今から約30年前の1993年、日本は記録的な長雨と冷夏、日照不足に見舞われ、コメの収穫が激減しました。そのため、スーパーからコメが消え、高い闇ゴメが出回って、コメの価格が高騰したことがあります。さらには、農家にある出荷前のコメを狙ったコメ泥棒が横行するなど、米不足が犯罪にまで発展し大騒動になりました。
当時の日本には、コメは国産米で自給するという不文律があったのですが、このままだと社会不安にまで発展しかねないことを危惧した当時の細川政権は、「国産米で自給」の方針を大転換し、タイ米などの外国米の輸入に踏み切りました。
タイ米は日本人には馴染みがなかったために、私も「どうすればタイ米を美味しく食べられるか」などという記事を書いた覚えがあります。
これが、約30年前に起きた「平成の米騒動」です。