編集局から

NHKでゆゆしき事態 中国籍外部スタッフの「放送テロ」事件後、「バタフライ・エフェクト」の放送内容が皮肉

NHK放送センター
NHK放送センター

NHKラジオの国際放送で起きた〝放送テロ〟事件ですが、公共放送であるNHKの電波を使って、「尖閣は中国の領土」などという誤った情報が全世界に発信されたことはゆゆしき事態というほかありません。

どういう事件だったかざっくり振り返ると、8月19日午後、NHKラジオの国際放送などで、40代の中国籍の男性外部スタッフが、靖国神社の石柱が落書きされた事件を伝えました。

問題はその後です。「釣魚島(魚釣島の中国名)と付属の島は古来から中国の領土です」など原稿にない、独自の主張を中国語と英語で約20秒間にわたって繰り広げたのです。

NHKが謝罪、訂正したとはいえ、いったんは公に放送されてしまっているため、何十年もたった後、この誤った音源が悪意をもってプロパガンダに使われないかということが懸念されます。

この事件の後、NHKは8月26日、「バタフライ・エフェクト」を放送しましたが、その内容が「太平洋戦争 日米プロパガンダ戦」というものでした。戦争ではいかに放送を使ったプロパガンダが展開されるのか、というものでした。何とも皮肉な話です。

番組で紹介された米国へのプロパガンダ放送に登場した〝東京ローズ〟が活動したのは、現在のNHKワールド・ラジオ日本である「ラジオ・トウキョウ放送」でした。

いかに放送がプロパガンダに使われてきたかを伝えながら、その一方で脇の甘さで自らをその危機にさらしたことは残念でなりません。 (F)

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