牛角が「女性半額セール」で大炎上…「男性差別じゃない」「非モテの僻み」と言い張る人たちの「お粗末すぎる擁護論」

御田寺 圭 プロフィール

「モテない人の僻み」?

たとえば(1)や(2)についてだ。これらは本件を扱ったテレビ番組でもタレントやコメンテーターの主流意見として紹介されており、なおかつSNS上でも一番多くみられる意見だった。たんなる性差別で、本来なら論ずるにも値しない放言である。しかしどういうわけかこれを「どうだ!(ズバリ核心を突いてやったぞ!)」というテンションで提起している人ばかりだ。本当にそんな認識で大丈夫なのかと言いたくなる。

今日においては、女性差別に憤るフェミニストがいたとして、その人に対して「モテない女の僻みw」などと言うのは絶対に許されない加害的言説とされているはずだ。あまつさえそれが反論の根拠として支持されるなど(もはやフェミニストを批判する人々ですら、それを稚拙な対人論証にすぎないと否定する向きが主流で)ありえないものだ。

ところが、こと「男性差別批判批判」となると、いまだそのようなレベルの主張が「反論(論破)」の顔をして堂々と提示され、しかも数万もの「いいね」を獲得して大きな共感と称賛を集めているというのは、いくらなんでもお粗末が過ぎるだろう。議論の周回も人権感覚のアップデートも遅れているとしか言いようがない。

 

もとより今回「男性差別批判」をしている人びとは、異性にモテることにそこまで関心を持っているわけでもないだろう。差別に対して真摯に怒っている人に「モテないw」とか「器が小さいw」とか「弱者しぐさw」などと嘲りを向けることは、私の記憶が正しければ、社会の分断を煽る「冷笑系」の言動として非難されてきたのではなかったのだろうか。

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