牛角が「女性半額セール」で大炎上…「男性差別じゃない」「非モテの僻み」と言い張る人たちの「お粗末すぎる擁護論」

「原理原則」の時代

焼き肉チェーン「牛角」が打ち出した食べ放題メニューの女性半額キャンペーンに、SNS上で「男性差別だ!」との非難の声が殺到し、炎上騒動となった。賛否を二分する大激論となり、その騒動は地上波のニュースでも報道され、あっという間に全国的な関心事となってしまったようだ。

〈大手焼き肉チェーン「牛角」が2024年9月2日(月)~12日(木)の期間、女性が食べ放題コースを注文すると料金が半額になるキャンペーンを展開すると発表。しかしこれに対しSNS上では「男性差別だ」「男女平等はどこへ行った」「受けられるサービスを性別で区切るなんて今の時代許されない」といった批判の声が相次ぎ、“炎上”の様相を呈しています〉(LASISA【牛角の“女性半額”キャンペーンは「性差別」? 男性たちから批判が相次いだワケ】2024年9月1日より引用)

本誌に寄稿した前回の記事でも述べたように、いち企業もしくは個人の「悪気のない」言動であっても、それが男女の別にかかわるものであれば例外なく、原理原則的な「社会正義(差別反対)」の論理に照らし合わせて理非をジャッジされ、不適切だと判断されれば問答無用で激しい糾弾と制裁を科せられる時代がやってきている。いうなれば、だれもが目を血走らせながら、原理原則的な平等を求めて「真顔」で闘争を展開する時代である。

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このような風潮は、たしかにフェアネス(公平性)やジャスティス(社会正義)が担保されるものとして評価することもできる。しかしながら、これらはユーモアやアイロニーとはきわめて相性が悪い。人生で味わう「たのしい」「面白い」という感情はフェアネスやジャスティスよりも、往々にしてユーモアやアイロニーのなかにある。ゆえにこそ、これから私たちのもとにやってくるのが、過去のどんな時代よりも差別や不公正が(それらを受けている属性や立場にかかわらず)糾(ただ)される「善い」時代であることは否定しないが、同時に不謹慎さを含んだジョークやユーモアを一切許容しない「おもんない」時代であるともいえる。

……だがそれはそれとして、今回の騒動で牛角を擁護する側、つまり「男性差別だ!」という声に対して反論・批判する側の人びとの主張は、想像を絶するほどお粗末だ。私はむしろそちらのほうに閉口している。

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