映画やドラマをオンラインでストリーム再生できる有料サービスのNetflix(ネットフリックス)で広告つきの新プランが2022年11月から提供開始になるということで広告運用の視点で本件を深堀してみることにしました!
まず広告出稿に際しては2022年7月に大手IT企業群のGAFAMの一角を担っているマイクロソフト(Microsoft)との提携を発表しています。
そのため詳細は不明ですが、広告技術パートナーとして提携したマイクロソフトが用意した広告配信システムなどを利用して動画広告が出稿できることになると思われます。
今回は明らかにアメリカの中間選挙の広告費狙いでの半年足らずの突貫工事で11月の広告つきプランの展開なので今後はネトフリ独自のシステムを構築することも考えられます。
とくに収益の悪化でZenlyサービス終了などで切り抜けようと大苦戦しているスナップの幹部2人を2022年9月にはNetflixが引き抜いているので、広告事業で事業の立て直しを狙うならMicrosoftと組まないで独自路線で収益を上げていくことは容易に想像できます!
ともあれ日本国内ではMicrosoft広告が日本国内で展開を開始したのも同月の2022年7月だったこともあり、Netflix広告を他社の広告との差別化を図るために取り込んで日本市場を狙っていると考えるのが順当です。
そのため、業績悪化で解雇を行なっているネットフリックスとしては好条件を出してきたマイクロソフトと提携したと考えるのが自然でしょうね!
主観的な意見ですが、動画広告ではGoogleのYouTubeが広告技術パートナーとしてはベストな選択なはずです。とくにMicrosoftが動画広告に深い知見があるという要素が見当たらないので、やはり条件面でグーグルとは合意できなかったと考えるのが自然でしょう。
さて動画広告を出稿するとしてネットフリックスの既存のユーザー層は20代がメインです。日本国内では500万人の有料会員がいますが、この層に広告出稿できるわけではないので注意が必要です。
ただし今回の新プランでは廉価にサービスを提供するということで20代を中心に新規顧客や離脱した顧客を呼び戻すなどの深堀が軸になるでしょう。また子育て世代の30代や40代のネットフリックスに金銭的な負担という意味で手を出せていなかった層にもアプローチできると考えています。50代以降は金額の問題でネットフリックスを利用していないといことはなさそうなので新プランで加入者が増えるという判断は難しいですね。
そう考えるとネトフリで動画広告出さなくても、似たような層は動画ならYouTubeを見てる可能性が高いからYTで動画広告を出稿すればいいでしょ?って話になるのは否定できません。
ただ動画コンテンツという意味ではYouTubeよりもABEMAやGYAO!などの無料動画の方がNetflixの広告つきプランを選ぶ層が被ってきそうです。
さらに急速に広告主が増えて魑魅魍魎な状態になっているYouTubeと比較して新規媒体での出稿はいい意味でも悪い意味でも賭けになるので広告主が少ないうちがコンバージョンの獲得につながりやすい可能性もあります。
単純には比較はできませんが、まだまだ認知度が低く、スイッチングコストの面でも大変なTikTokの動画広告も広告主が少ないうちがコンバージョンのチャンスが広がっています。
これは動画に限らず、流行語大賞になる前のInstagramも同様に擦れてないユーザーが多い時期の広告価値は非常に高かったのは周知の事実です。
さらに動画コンテンツという意味では前述の通りABEMAやGYAO!も考慮すべきでしょう。コンテンツの違いはありますが広告モデルも課金モデルもあるABEMAやGYAO!は他媒体では接触できていない層にアプローチできるので有力です。
最終最後はどのような形態で出稿できるのか?が課題になってくると思います。
YouTubeのような視聴単価などの入札形式であれば試しに出稿してみるという広告主はかなり多いと思いますが、最低出稿金額は100万円からみたいな初動のLINE広告みたいなスタートだと広告主が伸び悩むことが容易に予想されます。
とくに急造の広告システムということもあり、細かなセグメントなどはできないことが想像できるため、イメージとしては完全に日本国内のテレビコマーシャルのように広告枠を買い付けるみたいな感じになると思います。
そうなると広告主がいなくて、GoogleのようにYouTubeで自社スマホの宣伝広告を流したり、アマゾンプライムのようにコンテンツの広告を出すみたいな感じになってくると、せっかくの広告収益が入ってこないということになり、業績の立て直しにはならないという本末転倒な感じになると思います。
特に数か月で新プランに加入するユーザー数が数百万人などの急激な増加にはならないと思うので広告出稿対象者は当面は限られる点には十分注意が必要でしょう。
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